(2) 大森監督の主な発言 ① 映画の意図したところについて 「主人公の福士蒼汰さんと松本まりかさんが演じる二人をどう見るかというところがこの映画の難しいところだが、この二人は、我々が通常持ってるカップルや夫婦のイメージには全くカテゴライズできない。この二人をどう見るかというのが私の中でも大きなテーマだった。この二人のやっていることは全く生産性がない。それは、時に美しく、時にグロテスクで、いわば琵琶湖のようなものだと思っている。琵琶湖は、ある意味鏡に似ていて、我々が湖を見ているとき、湖も我々を見ている。」
② 歴史上の事件が題材になっていることについて 「映画には、浅野忠信さんが演じる過去に深く傷つき、しかし、今は悪の限りを尽くす刑事や、三田佳子さんが演じる戦時中の出来事を一生悔いている方が登場する。これらは過去のことではなく、今も現在進行形で続いていて、歴史の積み重ねの中で生きてきている我々全員が背負わなきゃいけないものなんじゃないかと思っている。」
③ 俳優にどのようなアドバイスをしていたかという会場からの質問に対して 「自分で感じるということを俳優には大事にしてほしい。撮影中は、自分の中で役柄のイメージを作りこんで撮影に臨むのではなくて、先に「個」があることを大事にしましょうっていっていた。するとどんどん自分の振る舞いになっていく。自分の声の色でセリフを言ってくれる。すると、演技もどんどん生々しくなってくるし、感情の振り幅も大きくなってくる。」