新規開発案件のアナウンスをみると、都心主要駅直結の複合大型開発が継続。池袋駅西口周辺再開発では、三菱地所、東武鉄道が主導する商業施設、ホテル等に加えアート・カルチャー都市として情報発信施設も入居予定(総延床面積:約176,267坪) 。また、湾岸を中心に大型施設の開業も相次いだ。万葉倶楽部は江戸の街並みを模した木造の飲食街と温浴施設を併設した豊洲千客万来(総延床面積:約4,444坪)を開業。その他、東京オリンピック選手村跡地を活用したららテラス HARUMI FLAG (総延床面積:約3,065坪) 、ヴィーナスフォート跡地に体験型テーマパークのImmersive Fort Tokyo (総延床面積:約9,075坪)が開業した。一方、ヒューリックによる再開発が継続する銀座では銀座コア(店舗面積:2,562坪)が閉館。また、ピーク時の2000年代初頭対比で売上がほぼ半減した地方百貨店の閉店も相次いでいる。
期中のハイストリート出退店の動きを総括すると、検討範囲が限られたラグジュアリー・ブランド間の陣取り競争の激化から、プライムエリアの高額物件オーナーの価格支配力はさらに強まった。 このため、財務基盤の強いブランドの中では、条件に見合った開発物件であれば賃貸から所有への長期的な転換を検討する事例も散見されている。一方、Tier I エリアの上限値を牽引してきたラグジュアリー・ブランドやインバウンド需要が限定的となるTier II エリアでも、新興アパレルブランド等の路面出店が増加しつつあり、コスト増から賃料下限値にも押し上げ圧力がかかる。
出所1:Global Wealth Data Book (2023) ,世帯別、金融純資産をベースに集計 。なお、全世界のトップ1%に属するには、米ドル1,081,342の金融純資産が必要と試算されている。 また、国別にみると、日本のトップ1%世帯の同金融純資産シェア(18.8%)は、米国(34.2%)や中国(31.1%)を下回る。集計対象人口は全世界の58億人。 出所2:Global Luxury Brands の定義としては、Global Top Brands 100にランキングされたパーソナルグッズの販売会社うち、総じて2割以上のプレミアムプライシングを実現している上位10社を対象としている。