リスキリングの取り組みが進捗したことで新たな課題も?

株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170)のグループ会社で、全国でキャリアスクール(「パソコンスクール アビバ」、「資格スクール 大栄」)を運営する株式会社リンクアカデミー(本社:東京都中央区、代表取締役:横山 丈二、以下当社)は、企業の①リスキリング施策導入者層(経営者・人事担当者) ②リスキリング対象者層(経営者・人事担当者以外の従業員)を対象に、「リスキリング対象者層のITスキル教育」に関する調査を実施しました。

DX推進の加速にともない、“リスキリング(Re-skilling)”※という言葉を耳にすることが増加しています。

経済産業省はリスキリングについて、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義しており、また、「近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えている」としています。

しかし、ITやデジタルに苦手意識を持つ方々も多く、リスキリングは非常に難しいのも事実です。
実際、経営者や人事担当者といったリスキリング施策を導入する側の層と、第一線で業務を行う従業員などのリスキング対象者層とでは、課題や不安も異なるでしょう。

※本記事での「リスキリング」とは、「現職とは異なる職種、特にデジタル職種に転換するためにスキルを塗り替えること」と定義いたします。

調査概要:「リスキリング対象者層のITスキル教育」に関する調査
【調査期間】①2022年2月25日(金)~2022年2月28日(月)※1
      ②2023年3月23日(木)~2023年3月27日(月)※2
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,015人(①リスキリング施策導入者層507人 ②リスキリング対象者層508人)※1
      1,054人(①リスキリング施策導入者層521人 ②リスキリング対象者層533人)※2
【調査対象】企業の①リスキリング施策導入者層(経営者・人事担当者)
         ②リスキリング施策導入者層(経営者・人事担当者以外の従業員)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ

《リスキリングの取り組み状況》
【リスキリング施策導入者】「既に取り組んでいる」と回答した方の割合は、昨年度調査では15.9%→2023年度は52.9%に増加
【リスキリング対象者】「何も取り組めていない」と回答した方の割合は、92.7%→13.1%と激減
はじめに、リスキリングの取り組み状況について、リスキリング施策導入者層とリスキリング対象者層(リスキリングを受ける方)それぞれ、かつ年度別(2022年度と2023年度)で調査を行いました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202305165669-O1-vS8gPksT

「“リスキリング”について、ご自身で何らかの取り組みをされていますか?」と質問したところ、2022年度調査では、リスキリング施策導入者層の回答結果は「既に取り組んでいる(15.9%)」「取り組むことを決めている・検討している(31.0%)」「何も取り組めていない(53.1%)」となり、リスキリング対象者層の回答結果は「既に取り組んでいる(1.4%)」「取り組むことを決めている・検討している(5.9%)」「何も取り組めていない(92.7%)」となりました。

一方、2023年度調査では、リスキリング施策導入者層の回答結果は「既に取り組んでいる(52.6%)」「取り組むことを決めている・検討している(42.4%)」「何も取り組めていない(5.0%)」となり、リスキリング対象者層の回答結果は「既に取り組んでいる(42.8%)」「取り組むことを決めている・検討している(44.1%)」「何も取り組めていない(13.1%)」となりました。

リスキリングの取り組み状況については、全体的に(リスキリング施策導入者層とリスキリング対象者層)昨年よりも進捗している様子が窺えました。

特にリスキリング対象者層についてはその傾向が顕著となっており、2022年度調査では実に9割以上(92.7%)の方が「何も取り組めていない」と回答しましたが、2023年度調査では1割台(13.1%)と大きく変化していることが明らかになりました。

そこで、現在どのような状況にあるのか具体的に伺ったところ、以下のような回答が寄せられました。

■リスキリングの取り組み状況について(2023年度調査。リスキリング施策導入者・対象者のすべて)※一部抜粋
・【既に取り組んでいる】DX戦略を行っているためITスキルを習得する必要があり、資格試験などを中心とした取り組みを行っています(20代/女性/会社員(人事部門以外)/北海道)
・【取り組むことを決めている・検討している】ITスキルが身についていない社員がほとんどですが、小売業である当社は今後スキルをつけてもらう必要性を感じています。その上で、何ができないか何ができるかを考えたいです(40代/男性/会社員(人事部門以外)/千葉県)
・【取り組むことを決めている・検討している】DXにより今までとは環境が変わる可能性があると考えているため、リスキリングに取り組むつもりではいるが、具体的に何から取り組めばよいのか分からないのが現状(40代/男性/経営者/大阪府)
・【既に取り組んでいる】現代社会に必要不可欠なデジタル分野で日本は世界的に遅れをとっているため、ITに関するスキルを幾つか身につける必要があると思う(50代/男性/経営者/東京都)

取り組み状況についてはさまざまのようですが、リスキリングについては前向きに取り組みたいと考えている方が多いようです。

《リスキリング対象者層が求めていること》
リスキリング対象者が企業側に求めているのは「ITスキルに関する研修の提供」。その割合も34.8%→52.0%と増加傾向が見られる
昨年度と比較すると、基本スキルから中程度~高度なスキルまで幅広く求める傾向がある
昨年と比べるとリスキリングの取り組み状況は進捗していることが分かりました。
特にリスキリング対象者層に顕著な変化が見られましたが、リスキリング対象者層は企業側に対して、どのようなリスキリングの機会を求めているのでしょうか。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202305165669-O2-TP7JMAK8

そこで、リスキリング対象者層に対して質問したところ、2022年度調査では、「ITスキルに関する研修の提供(34.8%)」「ITスキルに関するeラーニングの提供(29.5%)」「外部からのIT人材(指導者)の確保(25.4%)」が上位3つとなりましたが、2023年度調査では「ITスキルに関する研修の提供(52.0%)」と回答した方の割合が増え、「OJTの場の提供(40.0%)」と回答した方の割合も大幅に増加しました。

※「OJT」=「On The Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略で、社員同士が実務を通して行う現任訓練のこと」

2022年はeラーニングの提供や外部のIT人材の確保といったことを企業側に求める傾向がありましたが、リスキリング対象者が企業に求めている内容についても変化が生じているようです。

では、リスキリングによって高めたいスキルについては変化があったのでしょうか。

調査を行ったところ、2022年の調査では「ExcelやPowerPointなどの基本的スキル(28.4%)」「マーケティングなどの知識(25.8%)」「プログラミングなどの高度なスキル(22.1%)」となった一方、2023年に行った調査では3位だった「プログラミングなどの高度なスキル(30.2%)」が最も多くなり、「ノーコードやRPAなどの中程度のスキル(23.6%)」が続きました。

※「RPA」=「ソフトウェアロボットによる業務自動化」
※「SaaS」=「クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービス(例:Googleスライド、Googleスプレッドシート、Googleドキュメントなど)」

2023年では、基本的なスキルに加え、RPAやプログラミングといった中程度~高度なスキルまで、個人によって学びたい内容の個別化が進んでいます。

《リスキリング施策導入者層の課題》
3~4社に1社の割合で、「コア人材が不足している」ことが明らかに
「レガシーシステム(古いシステム)が残ってしまった」の割合が17.4%→34.0%に増加
ここまでは、リスキリング対象者層について2022年度と2023年度に行った調査結果を比較しました。
では、リスキリングを実施する側は、現在どのような課題を感じているのでしょうか。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202305165669-O3-rm2Z6qch

そこで、リスキリング施策導入者層に対して調査を行ったところ、2022年度調査では「そもそもDX戦略を描けていない(30.0%)」が最多となり、「特に課題はない(28.0%)」「プロジェクトを推進するコア人材が不足している(24.1%)」「DX推進のための投資判断ができない(22.3%)」と続きました。

一方、2023年度調査では「DX推進のための投資判断ができない(35.3%)」が最多となり、「レガシーシステムが残ってしまっている(34.0%)」「プロジェクトを推進するコア人材が不足している(32.8%)」「そもそもDX戦略を描けていない(28.8%)」と続きました。

「特に課題はない」と回答した方の割合が28.0%から7.5%と大きく変化したことから、リスキリングの取り組み状況が進捗したことで新たな課題も浮上しているようです。

内容を見てみると、最多となった「DX推進のための投資判断ができない」のほか、「レガシーシステムが残ってしまっている」の割合も17.4%から34.0%に大幅に増加していることが分かりました。

また、「プロジェクトを推進するコア人材が不足している」の割合についても24.1%から32.8%と、慢性的な課題となっている様子が窺えました。

《リスキリング施策導入者層の期待》
コア人材については中途採用を検討しても、既存従業員のITスキル育成には研修の提供を増やしたいと考える傾向がある
既存従業員に対しては、基本的なスキルから中程度のスキルまで、幅広くスキルを高めてほしいと考える傾向がある
前の調査で、「プロジェクトを推進するコア人材が不足している」という課題があることが分かりました。
では、このようなIT人材の不足はどのようにして解決したいと考えているのでしょうか。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202305165669-O4-90jy53xj

リスキリング施策導入者層に質問したところ、2022年度調査では「中途採用(46.8%)」と回答した方が最も多く、「既存従業員へのITスキル育成(30.0%)」「フリーランスなどへの業務委託(24.1%)」となり、2023年度調査では「中途採用(43.0%)」が最多で、「派遣会社やアウトソーシングの活用(34.7%)」「既存従業員へのITスキル育成(28.6%)」と続きました。

昨年と比較して割合や順位の変動は若干見られましたが、プロジェクトを推進するコア人材の確保については、「中途採用(経験者採用)」で解決したいと考えている方が多いようです。

一方、既存従業員のITスキル育成については、どのような機会を提供したいと考えているのでしょうか。

調査を行ったところ、2022年度調査では「外部からのIT人材確保(37.5%)」「ITスキルに関する研修の提供(36.5%)」「OJTの場の提供(25.4%)」と続き、2023年度調査では「ITスキルに関する研修の提供(46.3%)」「外部からのIT人材確保(43.4%)」「OJTの場の提供(39.9%)」となりました。

昨年の調査結果と比較すると、全体的な割合は高まっているものの「外部からのIT人材確保」よりも、「ITスキルに関する研修の提供」と回答した方の割合が10%近くも増加しており、先程のリスキリング対象者層が企業側に求める調査結果と同様、リスキリング施策導入者層についても、この割合が高まっていることが分かりました。

では、既存従業員に対して具体的にどのようなITスキルを高めて欲しいと考えているのでしょうか。
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調査を行ったところ、2022年度調査では「ExcelやPowerPointなどの基本的スキル(23.3%)」「プログラミングなどの高度なスキル(20.3%)」「マーケティングなどの知識(18.0%)」と続き、2023年度調査では「ノーコードやRPAなどの中程度のスキル(27.8%)」「ExcelやPowerPointなどの基本的スキル(25.0%)」「プログラミングなどの高度なスキル(23.6%)」となりました。

Excelといった基本的スキルからRPAなど中程度のスキルまで、幅広く実務に活用できるスキルを身に着けてほしいといった結果が見受けられます。

《DX実現に向けて》
DX推進のために必要なのは、若手の育成よりも「管理職や中堅層」のIT研修
ここまでは、リスキリング対象者層とリスキリング施策導入者層それぞれ、かつ年度別での調査を行いました。

リスキリングの取り組み状況については、2022年と2023年を比較すると進捗していることが明らかになりました。
リスキリングによって高めたいスキルについても、基本スキルというよりも中~高程度のスキルを求める傾向があることが分かりました。

リスキリングの取り組みが進捗したことでさまざまな課題も浮上するなか、現在(2023年以降)、DX実現に向けてどのように取り組むべきなのでしょうか。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202305165669-O6-0H59J8bv

そこで、リスキリング施策導入者層に対して、「DX推進を阻む人的要因・課題をどのように解決したいと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、「中堅層の(IT研修など会社主導での)育成(31.3%)」が最多となり、以降「管理職の(IT研修など会社主導での)育成(30.3%)」「若手の(IT研修など会社主導での)育成(25.9%)」と続きました。

さらに、その理由について具体的にお聞きしました。

■なぜ管理職や中堅層にIT研修が必要?そう思う理由とは(2023年度調査。リスキリング施策導入者)※一部抜粋
・【管理職の(IT研修など会社主導での)育成/中堅層の(IT研修など会社主導での)育成】上が変わらないと社員がついてこない(20代/女性/会社員(人事部門)/東京都)
・【管理職の(IT研修など会社主導での)育成】管理職の意識が変わらないと会社全体が変わらないと思うから(30代/男性/経営者/東京都)
・【管理職の(IT研修など会社主導での)育成】まずは指導者がITについて熟知しないといけないと思うため(50代/女性/経営者/神奈川県)
・【管理職の(IT研修など会社主導での)育成/中堅層の(IT研修など会社主導での)育成】まずはトップからの研修が最適だと感じるからです(50代/男性/会社員(人事部門)/埼玉県)

などの回答が寄せられました。

DX推進を拒む人的要因や課題について、解決策となるのは「(企業主導による)管理職や中堅層へのIT研修」であると考えている様子が窺えました。

【まとめ】DX推進のエンジンは「外部人材」にあらず。リスキリングなど社内人材のITスキル教育が必要不可欠
DX推進の「推進フェーズ」では、実際にシステムを活用していく従業員全員のITスキルが非常に重要であり、リスキリングなどによって従業員のITスキルを育成する必要がありますが、まだまだ課題も多いのが現状です。

DXは、企業の価値創出など企業の根幹から大きな変革をしていくわけですから、従業員一人ひとりのITスキルは必須です。
これからの時代を生きていくためにも、企業は、外部のITリソースを頼るのではなく、リスキリングなどで従業員のITスキルを育成し、内部のITリソースを増やしていかなければなりません。

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情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 【2022年度・2023年度比較調査】リスキリングが高まるなかDX推進に必要なのは管理職や中堅層のITスキル教育