【研究成果】 金属が金属結合で一次元状に並んだ金属錯体は、常温超伝導(リトル)モデルの対象化合物であり、金属上の電子の揺らぎに起因した多彩な電子相が見出され、一次元伸長方向への異方的な導電性が明らかにされてきました。一方で、近年、有限個の金属が連なった一次元金属オリゴマーのEMAC(= Extended Metal Atom Chain)に興味がもたれています(図2上)。現在、最も長いEMACは、ニッケル(Ni)が11個並んだもので、約3ナノメールの長さをもち、量子細線として大きく期待されています。最近では、金属の種類が複数種のEMACであるHMSC(= Heteronuclear Metal String Complexes)が注目されており、非対称構造に基づいて、一方向にしか電気が流れない整流効果が確認されています。これらEMACとHMSCは、多座配位可能なポリピリジルアミンやπ共役配位子を用いたテンプレート(鋳型)法で得られており、実際に合成すると様々な構造体ができあがり、望みのものを得るのに労力や課題を伴います。