大幅な増加を見せた2021年上半期(1~6月期)の調査から1ポイント増の70%を記録

2022年1月26日
太陽グラントソントンhttps://www.grantthornton.jp/

太陽グラントソントンは、 2021年10~12月実施の2021年下半期(7~12月期)の非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した。この調査は、グラントソントン主要加盟国が年に2回実施する世界同時調査の一環である。

・世界29カ国の平均景況感(2021年7~12月期)は70%、前回調査比でほぼ横ばい
・調査対象国のうち18カ国の景況感が前回調査比で改善
・日本の景況感は前回調査比17ポイント増の34%

全調査対象国平均は前回調査時の水準を維持
世界29カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する2021年下半期の調査結果では、全調査対象国の平均景況感は、大幅な増加を見せた2021年上半期(1~6月期)の調査から1ポイント増の70%を記録した。約半数の調査対象国で2桁ポイント増を記録し、全調査対象国平均で新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回った前回調査と比較すると、今回の調査では改善幅は小さかったが、回復傾向を維持した。

中国・米国・英国はほぼ横ばいに推移、日本は二桁ポイント増
日本・中国・米国・英国の4カ国をみると、直近2回の調査で顕著な景況感の伸びをみせていた中国と米国がいずれも3ポイント減となった。前回大幅に回復した英国は1ポイント増の69%となり、引き続き回復傾向を維持した。近年調査対象各国より大きく引き離され最低水準にとどまっていた日本は、前回調査比17ポイント増の34%と大きく改善し、2018年下半期の調査ぶりにワースト1位から脱却した。また、2015年第二四半期調査で記録した17ポイント増に次ぐ上昇幅であった。

今回の結果について、太陽グラントソントン広報担当パートナー石井雅也は次のように述べている。
「東京都などに発出されていた緊急事態宣言が2021年9月末に解除され、時短要請といった行動制限が緩和された。その結果、飲食・宿泊といったサービス関連業の需要は改善し、非製造業の景況感は好転したと言えるだろう。一方で、原材料の価格高騰と東南アジアを主とする世界的な物流停滞に起因する部材の供給不足にあいまって、製造業の景況感は横ばいとなっている。タイ、ベトナムといった東南アジア諸国のポイントは概ね前回比回復傾向にあり、製造業についても2022年1月以降に回復局面に入るであろうと考えられる。今回の結果では、非製造業を中心に日本経済は回復基調にあると見受けられるも、オミクロン株の感染拡大に伴うまん延防止等重点措置の実施の他、日米金利差の拡大による円安、原材料高により企業物価指数も1980年以来の上昇を示すなど、2022年の日本経済には懸念材料が山積している。政府による柔軟な感染症対策を基本とした経済政策の推進により、経済の本格的な回復を期待したい。

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前回調査比でマイナスに転じた国も減少幅は概ね小ぶり
今回の調査では、調査対象国の6割にあたる18カ国で景況感の上昇を記録した。
調査対象国のうち17 カ国が、新型コロナウイルスの影響による世界的な経済的打撃が生じる前に実施した 2019 年下半期(7~12 月期)調査時の水準を上回る景況感を記録した。

ランキング上位では、アイルランドが最も高い景況感を示しトップとなった( 85%、前回調査比9ポイント増)。 2位には中国(83%、前回調査比3ポイント減)、3位には米国(80%、前回調査比3ポイント減)と、前回の調査に引き続き景況感の安定を見せた。
ランキング下位では、韓国が調査対象国中唯一の20%台まで落ち込み最下位となった(22%、前回調査比16ポイント減)。28位は日本(34%、前回調査比17ポイント増)、27位はロシア( 34%、前回調査比6ポイント減)であった。

国ごとの上昇幅をみると、トップにベトナム(前回調査比22ポイント増)、日本(前回調査比17ポイント増)フィリピン、シンガポール(いずれも前回調査比14ポイント増)、タイ(前回調査比13ポイント増)、イタリア(前回調査比10ポイント増)と6カ国で二桁増加を記録した。

対照的に、 11カ国の国で景況感の低下がみられたが、韓国(前回調査比16ポイント減)、トルコ(前回調査比12ポイント減)を除き、減少幅は概ね小ぶりであった。

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<調査実施期間> 
2021年下半期:2021年10月~12月 (29カ国)
2021年上半期:2021年5月~6月(29カ国)
2020年下半期:2020年10月~12月(29カ国)
2020年上半期:2020年5月~6月(29カ国)
2019年下半期:2019年10月~12月 (32カ国)

日本の中堅企業が直面する新型コロナウイルスによる影響
人材確保・雇用維持の課題は継続
日本の中堅企業に、新型コロナウイルスが自社の経営に与えた影響(前年同期比)を尋ねたところ、売上高については、減少すると回答した企業の割合は前回調査比8ポイント減の36%となった一方で、増加すると回答した企業の割合は1ポイント減の20%となった。(図3)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202201266591-O1-RW31w4i3
営業利益についても同様に、減少すると回答した企業の割合は前回調査比5ポイント減の35%、増加すると回答した企業は横ばいの25%となった。(図4)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202201266591-O6-KQs5E60Y

コストについては減少すると回答企業が前回調査比5ポイント減の21%であった。対照的に、増加すると回答した企業は前回調査比3ポイント増の26%となった。 (図5)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202201266591-O7-Rk3Wbvs6

自社の経営について、現時点で主に影響を受けている点について尋ねたところ、「渡航および移動による出張や営業活動への影響」との回答が52%となり、前回調査より引き続き最も多かった。「営業活動や製造の停止による売上高および受注減少」は28%まで低下し、2020年上半期の調査と比較すると19ポイント減となった 。いずれの回答項目は概ね低下傾向にあるのに対し、「人材の確保」については引き続き増加がみられた。(図6)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202201266591-O4-T8a85487

今後の自社の経営に対する影響について尋ねると、「人材採用および確保の厳しさ」との回答が50%と前回同様最も多かった。(図7)

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202201266591-O5-y58re7V2

今後政府に期待する対応に関しては、これまで「減税や補助金などの景気対策」を求める声が最も多かったが、その割合は前回調査比6ポイント減の44%となった。「労働者の雇用維持のための支援」は43%と2番目に多い回答となり、ここでも中堅企業が人材確保や雇用維持での難しさに直面する様子がうかがえた。(図8)

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以上
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調査概要
実施期間:2021年10月~12月
参加国数:29カ国
(アジア太平洋地域) 日本、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、 フィリピン、韓国、ベトナム
(EU加盟国) フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、スペイン、スウェーデン
(北中南米) 米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ
(アフリカ) 南アフリカ、ナイジェリア
(その他)英国、トルコ、ロシア、アラブ首長国連邦
    
調査対象:世界29カ国4608社の中堅企業ビジネスリーダーまたは経営トップ
日本からは従業員数100名以上1,000名未満の全国の中堅・中小企業(上場および非上場)から232社の意志決定権を持つ経営層が回答した。

調査について:質問票を各言語に翻訳し、オンラインおよび電話で行い、調査会社Dynata(旧社名:Research   Now)がデータの取りまとめを行った。

分析手法:景況感について、各国の全回答数のうち「非常に楽観的」または「やや楽観的」と回答した社数の割合を当該国の景況感とする(単位:%)。
※2019年上半期以前に実施した本調査では、   (楽観的と答えた人のパーセンテージ)-(悲観的と答えた人のパーセンテージ)として算出するバランス統計手法 DI(Diffusion   Index)を用いていたが、2019年下半期調査結果およびそれに含まれる2019年上半期以前の数値に関してはDIを使用せず、上記の割合(単位:%)に統一表記した。

利用上の注意:  調査結果の数値は、表章単位未満の位で四捨五入しているため、総数と内訳の合計は必ずしも一致しない。

Grant   Thorntonは、1992年にヨーロッパの中堅・中小企業に関する年次調査「European Business Survey」を開始。2002年から、日本を含む世界の中堅・中小企業を調査対象に加えた「International Business Report」(IBR)として年次調査を実施。2010年11月~12月実施の調査以降は、調査対象を中堅企業経営者とし、四半期ごとに調査結果を公表、2018年からは半期ごとに調査・結果公表を行っている。

情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 第39回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界29カ国同時調査~を発表