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日本マイクロソフト株式会社
※本ブログは、アジア太平洋地域時間9月28日に公開された“Data Sharing Key to Solving Asia’s Biggest Economic and Societal Challenges: Microsoft Asia Whitepaper”の抄訳を基に掲載しています。
●Open Data Institute と共同で作成したホワイトペーパーでは、データ共有の取り組みに着手したアジア地域の政府機関や組織の教訓を分析
●信頼の基盤、官民連携強化、政府による積極的アプローチが、アジアの最大の課題の解決に貢献できるイノベーションを創出
マイクロソフトは、ODI(Open Data Institute)との協力により、アジア地域の政府機関や組織がデータ共有とコラボレーションの価値を最大限に発揮するための教訓をまとめたホワイトペーパーを発表しました。データ共有を推進するためには、プライバシー、セキュリティ、ガバナンスによる信頼の基盤を確立すること、官民の利害関係者が協力すること、政府が強力な支援環境を構築することが重要であることが明らかになりました。
今日、オンラインでのやり取りで発生するデータの 50 パーセントが 100 社以下の企業によって蓄積されています。このような”データデバイド”が継続すると、経済的価値を享受できるのは、地域の経済や企業の一部のみになります。データデバイドの解消に向けたマイクロソフトの継続的取り組みの一環として発表したホワイトペーパー:Sharing Data for Impact: Lessons from Data Sharing Initiatives in Asia(「効果的データ共有:アジアにおける取り組みの教訓」)は、人々や組織がより効果的かつ公平にデータを共有・利用できるよう支援することを目的としています。ODI の協力により、オーストラリア、インド、インドネシア、日本、ニュージーランド、シンガポール、台湾など、アジア地域におけるデータコラボレーションのケーススタディ 10 件から得られた知見を紹介しています。
Microsoft Asia External and Legal Affairs 担当 Regional Vice President and Director of Corporate マイク イェー (Mike Yeh) は次のように述べています。「パンデミック対策、二酸化炭素排出量削減、サイバーセキュリティへの対応など、アジア地域における最も緊急の課題に対処するためには、データが不可欠です。アジアが直面している問題に対して、データが解決策の一部になる可能性は十分にあります。人口の多さ、携帯電話の普及率を考えれば、アジア地域は、データ共有を最大限に活用できるユニークな位置にあります。しかし、そのためには、信頼の基盤と確立と官民の協力体制が不可欠です。マイクロソフトは、データがアジアにもたらす様々な機会を見出すために、この地域の政府や組織と提携し、共に成長していくことにコミットします。」
Open Data Institute Data Institutions 担当 Programme Lead ジャック ハーディング (Jack Hardinges) 氏は次のよう述べています。「データ共有が最も成功するのは、政府や組織が協力して、セキュリティ、プライバシー、相互運用性を維持するための環境構築を推進するときです。ODI は、データがすべての人のために貢献できる世界の構築にコミットしています。具体的には、特に国連のSDGs(持続可能な開発目標)に対応して、データを必要とする人に届けることが必要です。本ホワイトペーパーで紹介されているケーススタディは、アジアがオープンで信頼できるデータエコシステムを確立しつつあること、そして、”データデバイド”解消の積極的措置により社会や経済に利益をもたらすことが可能であることを示しています。」
Standard Chartered Bank Chief Data Officer メリ ローシック (Meri Rosich) 博士は次のように述べています。「データには、より持続可能性が高いアジアの未来を開き、企業、政府、社会にさらなる価値を生み出す膨大な可能性があります。この地域ではデータサイエンスが成熟しつつあり、労働力のスキルアップと成熟、顧客ソリューションのカスタマイズ、より良いインフラの構築、イノベーションの機会をもたらしています。ここでは、高度なデータと AI ソリューションがもたらす変革の推進を確立されたガバナンスポリシーと強力な倫理原則によって強化していくことが必要です。」
データシェアリングには信頼が不可欠
共通するテーマは、信頼の欠如がデータ共有の取り組みの効果を弱めるということです。しかし、この課題は、プライバシーとセキュリティ保護の努力と、強力なガバナンスモデルによって克服できます。
●プライバシー管理の実践は不可欠であり、Confidential ComputingやDifferential Privacy(リンクトインによる労働市場に関する分析の公開に使用された手法)のようなツールが重要な役割を果たします。
●データ共有におけるセキュリティを維持するためには、設計思想としてのセキュリティ対応やセキュリティ認定による信頼の確立が必要です。特に、クラウドベースのデータ共有ソリューションは、組織に最先端のセキュリティ保護を提供します。
●ビジネス上の機密性を保護するためのガバナンスモデルの構築も重要です。日本の AI データ活用コンソーシアムでは、AI 実務者が容易にデータを共有するための契約テンプレートやスマートコントラクトが開発されています。
官民連携の強化
さらに、本ホワイトペーパーでは、データ活用機会の拡大には官民の積極的コラボレーションが不可欠であることが示されています。データの利用可能性と相互運用性が高ければ、データのもたらすインパクトはさらに大きくなります。
●データに基づくコラボレーションは大きなメリットをもたらします。たとえば、LinkedInの高需要の職種に関するデータの共有によるアジアにおけるスキルギャップの解消、そして、マイクロソフトの COVID-19 関連のサイバー脅威インテリジェンス関連オープンソースデータの活用によるサイバーセキュリティ強化と政策立案への貢献などがあります。
●誰もが利用・再配布でき、利用制限のない一般的なフォーマットで利用できるデータを公開することで、利用性と相互運用性を高めることができます。
政府による主導
最後に述べたい点として、本ホワイトペーパーでは、データ共有を促進する環境を整えるために、政府が重要な役割を果たすことが示されています。政府にとっての優先事項は、より使いやすい公共データを公開すること、国のデータ共有政策を確立すること、データ共有に関する規制が公平で透明性の高いものになるよう産業界や他の利害関係者と協力することです。また、ASEAN や APEC のような組織を通じた、データ共有を支援するための地域内の協力体制も大きな効果をもたらすでしょう。
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