その仕組みからABPD(Automated Business Process Discovery:自動的なビジネスプロセスの発見)とも呼ばれるプロセスマイニングは、2010年頃までに欧州の大学などで関連する理論や手法が考案されました。それと前後してプロセスマイニングのためのソフトウェア製品やサービスが登場し、欧州の製造業や金融業、サービス業などがこぞって導入・活用を進めています。2010年代後半には、北米の大手企業にも広がり、関連市場は急激な拡大を見せています。
一方、日本においてプロセスマイニングは、まだ認知されたとは言えず、ビジネスプロセスの高度化に携わる専門人材も非常に少ないという現実があります。代表理事の百瀬公朗は、「日本企業こそプロセスマイニングを導入・活用する必要がある」と考え、日本における認知度の向上や実践ノウハウの共有、専門人材の育成などを目的に、プロセスマイニング協会を設立いたしました。名誉会長にプロセスマイニングの世界的権威である独アーヘン工科大学教授ウィル・ファン・デル・アールスト(Wil van der Aalst)博士を迎え、プロセスマイニングに関わる様々な活動を展開していきます。第一弾として、欧米企業の事例をまとめた書籍を翻訳し、日本語版「プロセスマイニングの衝撃(原題:Process Mining in Action―Principles, Use Cases and Outlook)」を発行いたしました。
上智大学特任教授であり、一般社団法人プロセスマイニング協会の代表理事。2017年10月に独Celonis社を知り、プロセスマイニングの重要性、将来性を感じてCelonis社の日本への招致に携わる。プロセスマイニングの父とされるWil van der Aalstの著書「Process Mining Data Science in Action」の出版も手がけた。また日本におけるプロセスマイニングの発展に向けて一般社団法人プロセスマイニング協会を立ち上げ、その普及活動に尽力している。中央大学で会計を学び1983年にアーサーアンダーセン共同会計士事務所に入所し、事業分離後のアンダーセンコンサルティングでパートナーを務めた。その後、SAS Institute Japan筆頭副社長、電通マーチファースト社長などを歴任し、最近では2020年3月末まで三菱総合研究所で事業開発をリードする。2020年4月、上智大学特任教授に就任し、プロセスマイニングを含むデータサイエンス領域を担当している。
一般社団法人プロセスマイニング協会 名誉会長 ウィル・ファン・デル・アールスト博士(Wil van der Aalst)
オランダ・エールセル出身のコンピューターサンエンティスト。現在、ドイツ・アーヘン工科大学(RWTH Aachen University)の教授としてProcess and Data Science(PADS)グループを率いている。研究分野はプロセスマイニング、ビジネスプロセス管理(BPM)、ワークフロー管理、プロセスモデリング、プロセス分析、ペトリネットなど広範にわたる。220以上のジャーナル論文、20冊の書籍、500の査読付き論文などを発表・出版。10以上の科学雑誌の編集委員を務める。プロセスマイニングに関しては、1990年代後半よりオランダ・アイントホーフェン工科大学で研究を始め、以降、第一人者として同分野を牽引。Fluxicon、Celonis、ProcessGold、Bright Capeなどの企業でアドバイザリーを務める。