産総研と共同研究、静岡県の先端企業育成プロジェクト推進事業に採択



産総研と共同研究する新技術の応用例

2020年8月19日

アドバンスコンポジット株式会社



アドバンスコンポジット(静岡県富士市)、産総研と共同研究を実施へ マルチマテリアルで次世代歯車、大幅に軽量化 令和2年度「静岡県先端企業育成プロジェクト推進事業」に採択



 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202008183223-O1-QEBodA9h】 (マルチマテリアル技術を活用して軽量化する歯車に関する強度構成の模式図)



 金属素材・複合材開発インキュベーターのアドバンスコンポジット株式会社(静岡県富士市大渕2259番地9、代表取締役:庄司隆敏)は19日、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」)と共同で、「金属と樹脂」など性質の異なる素材を組み合わせるマルチマテリアル技術を活用した次世代型の歯車について研究開発を進めることで合意したことを発表いたします。これはアドバンスコンポジット株式会社が本社を置く静岡県の「先端企業育成プロジェクト推進事業」(後述)に18日付で採択されたことに伴うものです。



 さまざまな機械・機器類に使われる従来の歯車は、尖った「山」の部分が均一の素材から成り立っているのが一般的であり、高強度の歯車が必要な場合には鉄などの強度が高く重い素材で成形することが必要でした。このため、高い強度と耐久性が不可欠で、かつ大量の歯車を使用する自動車や建設機械、またオフィス用の複合機(教則のプリンターやコピー機)などでは、製品が重くなり、燃費や物流の費用が高コスト化することが大きな課題になっていました。



 今回、アドバンスコンポジットが産総研と共同研究する歯車は、尖った「山」の部分の構成部材を見直し、マルチマテリアル技術を用いた新しい成形技術を活用します。歯車の「山」の部分を必要に応じて高強度にして強化したり、一部には強度を低めた軽量な素材を使ったりすることで、1つの歯車の強度を部分最適化し、全体を軽量化できる最先端の技術を導入します。



 性質の異なる異種材料の一体化により接合することは非常に困難なうえ、歯車全体の強度を保つことも難しいのが当たり前と考えられています。今回の共同研究は、接合技術を活用して異種の材料をシームレスにつなぎ合わせるアドバンスコンポジット保有の鍛造効果を利用した部材の成形技術と、産総研が開発した金属の導電性を利用した短時間焼結現象を組み合わせることで、次世代型の歯車として軽量化実現を進めるものとなります。



 金属同士の異種材料だけでなく、金属と樹脂のように非金属の様々な種類の部材を組み合わせて歯車を作製に応用できる技術を研究開発し、アドバンスコンポジットが持つ鋳造技術を組み合わせることで、複雑形状への対応や強固な一体化が可能となります。異種材料を活用した軽量化が欠かせない次世代の電気自動車(EV)や高性能ドローン(無人小型機)の実現や低コスト化など、広い産業分野で活用が可能であり、用途が大きく拡がるものと考えられます。



 本研究で開発をめざすマルチマテリアル技術では、歯車の中心に最も近いところをヤング率(高剛性で変形しにくい、変形量が小さい割合を示す)が中程度の「鉄」で、その上に重なる(接合される部分)を当社が独自開発した「鉄と同等の硬さがありながらアルミのように軽量化」が可能な複合材「 AC-Albolon®︎ (エーシー・アルボロン)」で構成。また、歯車同士が接触して高い強度が求められる部分には、高硬度で耐熱性や耐久性に優れていてヤング率も高い「炭化ケイ素(SiC)」で構成することなどを検討しています(本プレスリリース1枚目の見出し下にある模式図をご参照ください)。



【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202008183223-O2-Zt1VTU49】 (上記の「素材」でSCMはクロムモリブデン鋼、SCrはクロム鋼、SUSはステンレス鋼、Ni-Crはニッケルクロム鋼の略です)



●マルチマテリアル技術を活用した次世代型歯車が必要とされる背景

 世界中の多くの企業が現在、「軽量化」「高効率」「静音性」を達成するための素材・部材を求めています。単一の材料を高度化するだけの従来の手法では限界が見えはじめており、今後は部材のマルチマテリアル化により軽量化を達成しようとする流れが、徐々に大きくなってきています。



 次世代自動車では、さらに軽量化を追究するために金属と樹脂などのマルチマテリアル化が求められていますが、金属と樹脂などの組み合わせでは化学的な結合が期待できないうえ、熱膨張率の材料差が大きいため、界面を強固に面接合することが極めて難しいとされてきました。しかし、サステナブル(持続可能)な社会を実現するためにも、次世代自動車で実際に活用するには部材の交換が容易であることやリサイクルができることが必須とされています。



 そこで、マルチマテリアル技術を活用して素材性能を高めることにより、製品のトータルバリューの向上とトータルコストの低減を目指そうというのが、本共同研究の趣旨です。異種材料の接合技術に関しては、量産に対応する技術開発がまだ開発途上の段階にあります。産総研との共同研究では、必要なコストを低減させることを目指しながら、研究・試作段階において積層方法や接合工程など、量産技術を確立することも大きな目標に掲げてまいります。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202008183223-O4-uN2s4h2c



 国連が「SDGs」(Sustainable Development Gaols=持続可能な開発目標)を掲げるなど世界規模でのサステナビリティ(持続可能性)と社会的な発展の推進が求められるようになる中、従来のように既存の金属素材を用いて大量生産・大量消費することにも限界が感じられるようになってきました。軽量で強度が高く、長い期間の利用にも耐えうる金属基複合素材やマルチマテリアルは、世界的に高まるサステナビリティ推進の観点から、今後は多方面で活用される新しい素材として期待されています。



 当社は、鉄と同等の硬さがありながらアルミの軽さを持つ独自開発した複合材「 AC-Albolon®︎ (エーシー・アルボロン)」なども提供しています。当社が手掛けるこうした複合素材やマルチマテリアル技術は、新しい時代の要請にも応えうる大きな可能性を持ち、また「ものづくり日本」のさらなる成長・発展を期する新しい複合素材として、国内企業を中心にパートナーシップを組んで研究開発を今後も進めてまいります。



●静岡県先端企業育成プロジェクト推進事業について

 アドバンスコンポジット株式会社は令和2年度に静岡県が実施した、産総研が保有する高度な技術シーズを活かした革新的な技術開発・新製品開発を推進する「静岡県先端企業育成プロジェクト推進事業」に応募し、本日までにこれに採択されました。同事業は静岡県内の企業などが産総研と共同で行う、成長産業分野(次世代自動車、航空宇宙、医療・福祉機器、ロボット、環境、新エネルギー、光関連技術)の新技術・新製品の研究開発を支援するものです。



 

●アドバンスコンポジット会社概要

会社名:アドバンスコンポジット株式会社

所在地(本社):〒417-0801 静岡県富士市大渕2259番地9

電話番号:0545-32-7904

FAX番号:0545-32-7905

設  立:2015年7月22日

資 本 金:2億円

代表取締役社長:庄司 隆敏

ホームページ:https://advance-composite.co.jp/



[本件についてのお問い合わせ先]

アドバンスコンポジット株式会社

担当:石田公一(営業部・部長)

電話番号(オフィス):0545-32-7904

携帯電話:090-7352-1551

メールアドレス:ishida@advance-composite.co.jp



 

以上



情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 アドバンスコンポジット、マルチマテリアル技術で次世代歯車を大幅に軽量化