2019/11/1



公益財団法人 上原美術館



伊豆をめぐる名画ー伊豆市所蔵の名品を公開ー



 伊豆という言葉は、輝く海、険しい山、温泉、歴史、文学など、さまざまなイメージを思い起こさせます。 川端康成は、伊豆が「詩の国」、「歴史の縮図」、「南国の模型」、「海山のあらゆる風景の画廊」であると述べて、その魅力を語っています。こうした豊かな伊豆の自然と文化は、多くの日本画家たちをも惹きつけてきました。

 明治  41(1908)年、奈良で古画を学ぶ安田靫彦(ゆきひこ)は、胸を病んで帰京を余儀なくされます。そのとき、旅館を営む友人の 相原沐芳(あいはらもくほう)の勧めにより、伊豆・修善寺で静養することにしました。静養中に研究を重ねて自らの画風を見出した靫彦は、その後もたびたびこの地を訪ね、画家仲間の今村紫紅(しこう)や小林古径、速水御舟(ぎょしゅう)らも集まるようになりました。

 明治末、横山大観も夫人や自らの静養のため修善寺を訪れ、沐芳と交流するようになります。昭和 5(1930)年には大観らの渡欧壮行会が修善寺で開かれるなど、その繋がりは長く続きました。

 こうした交流から伊豆は名画が生まれる場所となり、多くの作品が残されることになりました。本展では、伊豆市が所蔵する絵画を通じて、伊豆の魅力、そして日本画の魅力をご紹介いたします。





展覧会概要

1)展覧会名 

伊豆市共同企画展

「伊豆をめぐる名画 ―横山大観、安田靫彦を中心に―」



2)会期 

2019 年 10 月 12 日(土)~2020 年 1 月 13 日(月・祝) 101 日間

前期:2019 年 10 月 12 日(土)~11 月 24 日(日)

後期:2019 年 11 月 27 日(水)~2020 年 1 月 13 日(月・祝)

※11 月 25 日(月)、26 日(火)は中間展示替えのため全館休館



3)開館時間 

9:00–17:00(最終入館は 16:30 まで)



4)会場 

上原美術館 仏教館・近代館

〒413-0715 静岡県下田市宇土金 341



5)料金 

一般 1,000 円/学生 500 円/高校生以下無料

※団体 10 名以上 10%割引

※障がい者手帳をお持ちの方は半額になります



6)関連イベント

〇学芸員によるギャラリートーク(作品解説)

展覧会を学芸員が作品を一緒に見ながらご案内します。

日時:会期中の毎月第3土曜日  11:00~/14:00~(所要時間約 40 分)

会場:上原美術館 ※要入館券 当日、仏教館にお集まりください。



〇学芸員によるミニ講座

『伊豆をめぐる名画』をより深く楽しむための講座です。展覧会に出品されている画家と  温泉地・修善寺をめぐるエピソードなどについて、画像を交えてお話します。

日時:11/8(金)、12/14(土)  13:30~15:00(開場 13:00~)

*各回とも同じ内容です

会場:上原美術館【近代館】会議室

定員:各回とも 30 名。予約制、先着順。※要入館券

参加方法:①お名前 ②郵便番号とご住所 ③お電話番号 ④参加人数(2 名様まで)⑤参加希望日を明記の上、郵便はがき、もしくはEメール(info@uehara-museum.or.jp)にてお申込みください。



7)販売物 

本展図録:『伊豆をめぐる名画―横山大観、安田靫彦を中心に―』

価格:1 冊 500 円(税込)

本展絵葉書:計 12 種 1枚 100 円(税込)





―展覧会の見どころ

■ 伊豆市が所蔵する日本画 43 点を紹介[前期:24 点/後期 20 点]

平成 16(2004)年に修善寺町、土肥町、天城湯ヶ島町、中伊豆町が合併した伊豆市は、山々や森、温泉など豊かな自然に囲まれ、その中から多様な文化が育まれました。とりわけ修善寺町には多くの画家が訪れ、日本画の名品の数々が伊豆市に残されています。

本展では伊豆市が所蔵する日本画を前期と後期の 2 期に分けて 43 点を紹介します。





■ 新井旅館・相原沐芳と安田靫彦の友情

伊豆市の日本画コレクションの多くが修善寺の新井旅館が寄贈した作品です。

新井旅館の 3 代目当主を務めた相原沐芳(もくほう)(1875-1945)は、東京で学業を修める一方、日本画を学びました。芸術に深い理解のあった沐芳は、友人の日本画家を修善寺に招いて、彼らをサポートしました。中でも安田靫彦(ゆきひこ)は、20代前半で病気をした際に沐芳に誘われて修善寺で療養、二人の友情は生涯続きます。修善寺には、靫彦の友人である今村紫紅(しこう)、小林古径、前田青邨(せいそん)、速水御舟(はやみぎょしゅう)など多くの画家が集うようになります。





【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201910252640-O13-Ous8drUS

明治 42(1909)年、新井旅館にて。左から安田靫彦、相原沐芳、中村吉右衛門





■ 横山大観と修善寺

相原沐芳が支援した画家の一人に横山大観がいます。明治時代後半から療養のために沐芳のもとを訪れていた大観は、次第にこの地で制作もするようになります。昭和 3(1928)年、沐芳は大観のために離れの「山陽荘」を設けます。昭和 5(1930)年1 月には横山大観が総代を務めるローマの日本美術展のために、日本美術院の壮行会が新井旅館で開かれました。そこには大観や靫彦のほか、多くの日本画家が参加します。大観≪神州第一峰≫、靫彦≪萬古天風≫はそのときに描かれたものといわれています。





【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201910252640-O14-VP65RmWt

昭和 5(1930)年、新井旅館中庭にて、日本美術院の渡欧同人壮行会の記念写真





■ 伊豆の仏教文化や地形にも注目

平成30(2018)年、伊豆半島はユネスコの世界ジオパークに認定されています。こうした豊かな自然は古くからさまざまな文化が花開きました。空海が開いたという伝承をもつ修禅寺のほか、伊豆各地には平安時代や鎌倉時代の古い仏教文化の痕跡が数多く残っています。こうした長い歴史が近代の芸術家たちを惹きつける魅力の一つになったかもしれません。

今回の展示では、修禅寺から発掘された平安時代の独鈷杵や、ジオスポットである旭滝に関係する仏像などを展示し、伊豆の仏教文化の一端をご紹介いたします。





―主な出品予定作品



1.  安田靫彦≪萬古天風≫昭和 5(1930)年  [前期]

2. 安田靫彦≪鴨川夜情≫昭和 9(1934)年頃  [後期]

3. 横山大観≪神州第一峰≫昭和 5(1930)年  [後期]

4. 横山大観≪松竹遊禽≫大正元(1912)年頃 [後期]

5. 今村紫紅≪枇杷叭叭鳥≫大正元(1912)年頃 [前期]

6. 菱田春草≪秋郊帰牧≫1909(明治 42)年 [後期]

7. 速水御舟≪手向≫大正 2(1913)年 [後期]

8. 川端龍子≪湯浴≫1927(昭和 2)年 [後期]

9. ≪独鈷杵≫平安時代、修禅寺蔵 [全期]





以上



―関連動画のご紹介

・展覧会につきまして、担当学芸員による解説動画を公開しております。

【動画: https://www.youtube.com/watch?v=mhRKTeaCkCc



・TVCM

【動画: https://youtu.be/UjCNuXmfvh8





―広報用画像

本展紹介記事等を記載される場合、以下の画像と展覧会チラシデータをご提供できます。電話、または メールにてご連絡ください。 ※画像掲載をする場合、作品クレジットの明記をお願いいたします。



情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 【上原美術館】伊豆市共同企画展「伊豆をめぐる名画ー横山大観、安田靫彦を中心にー」開催