世界中で自動運転の実用化が進むとともに、あらゆる走行条件を仮想的に再現し、安全かつ正確に検証できる高性能なシミュレーション技術への期待がますます高まっています。完全な自動運転の実現のためには、車載センサやECU(Electronic Control Unit)、車内ネットワークなどの自動車システムに留まらず、道路、環境、人間工学など交通社会を網羅する数多くの要素を正確にシミュレーションできる環境が求められます。OTSLでは、最先端技術を持つ世界の企業との協業を通じてエコシステムを構築することで、優れた自動運転向けシミュレーション環境の早期実現を目指します。
■ 自動運転シミュレーションにおけるSILS環境の構築
ドイツのCOSEDA Technologies社との協業により、同社の半導体からシステムレベルまで対応した電子システム設計ツール「COSIDE®」とCOSMOsimを連携させた自動運転システムの開発が可能になりました。すべてのシミュレーションをソフトウェアで行うSILS(Software in the Loop Simulation)環境の設計ツールとして、IEEE Std 1666.1-2016であるSystemC AMSを言語とするシミュレータとして世界的に市場をリードしているCOSIDE®上で、自動運転システムのシミュレーション環境が構築できます。自動車本体はもとよりセンサやECUなどのハードウェアを一切用意することなく、すべてをソフトウェアで行えるようになり、ECUやセンサの内部の半導体の開発から自動車のシステムレベルの開発まで使用されている、様々なレベルでのモデルが使用可能で、開発期間とコストを大幅に削減できます。また、COSEDA Technologiesが持つシステムレベルのシミュレーション技術により、センサ開発から将来的に機能安全要件や標準規格への対応が検討できるため、自動運転ソフトウェアの開発効率が大幅に向上します。
■ 国際的標準のASAM OpenDRIVE規格に対応
自動化システムと測定システムの国際標準化団体「ASAM e.V(Association for Standardization of Automation and Measuring Systems)が規定する、交通シミュレーションに必要な道路ネットワークの形状を記述するための道路フォーマット書式「ASAM OpenDRIVE」に対応しました。米国のVectorZero社との協業により、同社の道路モデリングおよび交通シミュレーションツール「RoadRunner」を介して、「ASAM OpenDRIVE」ファイルの読み書きに対応し、COSMOsim上で交差点や橋、標識に至るまで、よりリアルな道路環境が再現できるようになります。国際的な道路ネットワークの標準規格に対応することで、世界市場をターゲットとした自動運転関連企業に高精度のシミュレーション環境を提供します。