2018年10月2日



アッヴィ合同会社



アッヴィ、1つ以上のレジメン治療歴がある慢性リンパ性白血病の新たな治療薬として、一定の投与期間、従来の殺細胞性の化学療法を含まない、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)の併用療法について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)より承認勧告を受領



●欧州委員会(EC)による承認を取得すると、一定の投与期間のベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法は、1つ以上のレジメン治療歴がある慢性リンパ性白血病の治療薬として、従来の殺細胞性の化学療法を含まない最初の併用レジメンに

●今回の承認勧告はMURANO第III相試験に基づいており、MURANO試験では、標準治療の化学免疫療法レジメンのベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群と比較し、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群において主要評価項目である無増悪生存期間の延長、および患者の大半が末梢血における微小残存病変陰性を達成(1)

●ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群の安全性プロファイルは、各薬剤を単剤療法とする投与時の既知の安全性プロファイルと一致(1)



2018年9月21日 イリノイ州ノースシカゴ-研究に重点を置くグローバルなバイオ医薬品企業であるアッヴィは、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が、1つ以上のレジメン治療歴がある再発/難治性慢性リンパ性白血病(R/R CLL)の治療薬としてベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)の併用療法について、承認勧告を採択したことを発表しました。このCHMPの承認勧告は、欧州委員会(EC)に向けた製造販売承認に関する科学的推奨事項となり、ECは、欧州連合の全28加盟国ならびにアイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェー内で有効となる最終判断を示すことになります。



2016年、ベネトクラクスは、R/R CLLで染色体17p欠失またはTP53変異が認められ、B細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤が適していないか無効である成人患者さん、もしくは化学免疫療法およびB細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤が無効であり、染色体17p欠失またはTP53変異が認められない成人患者さんに対するCLLの治療薬、いずれも単剤療法としてECから承認を取得しています。ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法がECから承認された場合、欧州においては、ベネトクラクスの単剤療法を対象に現在承認されている適応と比較して、より広範囲の患者さんにこの併用が処方されることになります。



アッヴィの研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高科学責任者のマイケル・セヴェリーノ医師(M.D.)は、次のように述べています。「アッヴィは血液がんに対する標準治療を変革する可能性がある新たな医薬品の研究開発を継続的に進めています。このような中、この度のCHMPの承認勧告はアッヴィにとって1つの重要な前進となります。ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)の併用療法は、再発/難治性慢性リンパ性白血病患者さんに対し、病勢進行を伴うことなく生存期間を延長する機会を提供し、2年間の治療後には治療を止めることができる可能性があります」



今回のCHMPの承認勧告は、MURANO第III相臨床試験の結果に基づいています。MURANO試験では、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与の有効性および安全性を、ベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与と比較しました。主要解析の時点において、本試験では、治験担当医師の評価によるベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群での無増悪生存期間(PFS:病勢進行および死亡のみられない投与期間2)は、ベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群に比較して統計学的に有意な改善を示しました1。



MURANO臨床試験では、微小残存病変陰性[undetectable minimal residual disease(uMRD)またはminimal residual disease negativity(MRD陰性)]を副次評価項目として、併用投与終了時に評価しました(9カ月時評価)。本試験でベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群における大半の患者さんが末梢血でのuMRDを達成しました1。uMRDとは、治療終了後に血液または骨髄中に残っているCLL細胞が白血球10,000個中に1個未満と定義されます2。



MURANO試験の治験責任医師であり、Peter MacCallum Cancer Centre &Royal Melbourne Hospital(オーストラリア)の腫瘍内科部長でもあるジョン・シーモア医学博士(MBBS, Ph.D.)は次のように述べています。「ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用療法は、再発/難治性CLL患者さんにとって真の変革をもたらす可能性があります。MURANO試験で観察された無増悪生存期間や一定の投与期間後に患者さんが治療を中止できることは、有望な進展であり、再発/難治性CLL患者さんの治療および管理を進展させる可能性があります」



CLLは、増殖が遅い形態の白血病(血液がん)であり、主に血液および骨髄に非常に多くの未熟なリンパ球(白血球の一種)が認められます3。CLLは、新たに診断される白血病のうち約3分の1を占めています4。



ベネトクラクスはアッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。



MURANO試験について

1つ以上のレジメン治療歴があるR/R CLL患者さん計389例が、国際多施設共同非盲検無作為化第III相MURANO試験に登録されました。この試験は、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群(194例)の有効性および安全性を、ベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群(195例)と比較するためにデザインされました。本試験の患者さんの年齢中央値は65歳(範囲:22~85歳)でした1。



主要有効性評価項目は治療担当医師(INV)の評価によるPFSとしました。その他の有効性評価項目は、独立中央審査委員会(IRC)の評価によるPFS、INVおよびIRCの評価による奏効率(完全奏効+骨髄回復が不完全な完全奏効+部分奏効+結節性部分奏効と定義)、全生存期間ならびにuMRD達成率でした1。



ベネトクラクスについて

ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。いくつかの血液がんおよび他のがん腫瘍では、BCL-2が過剰発現し、アポトーシスと呼ばれる、がん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的としており、アポトーシスの過程を回復させる作用があります2。



ベネトクラクスはアッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社共同でBCL-2研究に取り組んでおり、ベネトクラクスについては種々の血液がんおよび他のがんを対象とした複数の臨床試験で現在評価されています。



ベネトクラクスは、米国を含め50を超える国で承認されています。アッヴィとロシュ社は現在、適格な治療を必要とする患者さんにベネトクラクスを提供するため、世界中の規制当局と協力しています。







ベネトクラクスの欧州における重要な安全性情報5

禁忌

有効成分またはいずれかの添加物に対する過敏症は禁忌となります。腫瘍崩壊症候群(TLS)のリスクが高まるため、投与開始時および用量漸増期間中の強力なCYP3A阻害剤との併用も禁忌となります。ベネトクラクスの効果が弱まる可能性があるため、セントジョーンズワート含有製品との併用も禁忌となります。



重要な基本的注意と使用上の注意

治療歴があり腫瘍量が多いCLL患者さんにおいて、ベネトクラクス投与により腫瘍崩壊症候群(TLS)が認められ、致死的事象も含まれています。ベネトクラクス投与により最初の5週間の用量漸増期間にTLSが発生するリスクがあります。迅速な管理を必要とするTLSと一致した電解質の変化が、早ければベネトクラクス初回投与後6~8時間、あるいは各増量時に認められることがあります。リスクの有無を評価し、TLSに対する適切な予防措置を講じる必要があります。血液生化学検査の結果をモニタリングし、異常がみられた場合は速やかに対処してください。全体的なリスクが増大する場合は、それに応じてより集中的な対策(静脈内水分補給、頻回なモニタリング、入院など)を取る必要があります。



好中球減少症(グレード3または4)が報告されているため、投与期間を通じて全血球数をモニタリングしてください。死亡に至った敗血症を含む重篤な感染症が報告されています。感染症の徴候が現れた場合には対症療法または抗菌剤を考慮してください。



投与期間中、または投与期間終了後はB細胞が回復するまで、生ワクチンは接種しないでください。



薬物相互作用

CYP3A阻害剤は、ベネトクラクスの血漿中濃度を増加させる可能性があります。投与開始時および用量漸増期:TLSのリスクを増大させるため、強力なCYP3A阻害剤は禁忌とし、中程度のCYP3A阻害剤の投与も避けてください。中程度のCYP3A阻害剤を使用しなければならない場合、医師は製品情報概要を参照し、用量調節に関する推奨事項を確認してください。1日量が安定した時点:中程度または強力なCYP3A阻害剤を使用しなければならない場合、医師は製品情報概要を参照し、用量調節に関する推奨事項を確認してください。



投与開始時および用量漸増期間中のP-gpおよびBCRP阻害剤との併用は避けてください。



CYP3A4誘導剤は、ベネトクラクスの血漿中濃度を減少させる可能性があります。



強力または中程度のCYP3A誘導剤との併用は避けてください。これらの薬剤は、ベネトクラクスの血漿中濃度を減少させる可能性があります。



胆汁酸捕捉剤とベネトクラクスの併用投与によりベネトクラクスの吸収が低下する可能性があるため、この併用投与は推奨されません。



副作用

グレードを問わず最も多く発現した副作用(20%以上)は、好中球減少症/好中球数減少、下痢、悪心、貧血、上気道感染、疲労、高リン酸塩血症、嘔吐および便秘でした。



最も多く発現した副作用(2%以上)は、肺炎、発熱性好中球減少症およびTLSでした。



副作用により投与が中止された患者さんは9.1%、用量調節が行われた患者さんは11.8%でした。



特殊な集団

腎機能が低下している患者さん(CrCl <80 mL/min)は、TLSのリスクを軽減するために予防とモニタリングを強化する必要があります。重度の腎機能障害がある患者さん(CrCl <30 mL/min)、または透析中の患者さんの安全性は確立されていません。また、このような患者さんに推奨される用量も特定されていません。重度の腎機能障害がある患者さんには、有益性がリスクを上回る場合にのみ、ベネトクラクスを投与してください。TLSのリスクが増大するため、毒性の徴候がないか注意深くモニタリングしてください。



ベネトクラクスを妊娠中の女性に投与すると、胚・胎児に害を及ぼすおそれがあります。妊娠可能な女性には、投与期間中に避妊するよう指導してください。また、授乳中の女性には、投与期間中は授乳を中止するよう指導してください。



上記は、すべての安全性情報を完全に要約したものではありません。ベネトクラクスの製品情報概要(SmPC)の全文については、www.ema.europa.eu(http://www.ema.europa.eu/)をご覧ください。世界各国で処方情報は異なります。詳細な情報は各国の製品表示をご参照ください。





がん分野におけるアッヴィについて

アッヴィでは、当社が持つ生物学の中心分野における深い知識を、最先端の技術と独自に組み合わせ、科学者、臨床専門家、同業企業、支援団体、患者さんなどのパートナーと協力して、がん治療に変革をもたらす医薬品の発見と開発に努めています。当社は、⼀部の非常に消耗性の高い広範囲ながんの治療法で、このような革新的な進歩を実現することに重点を置いています。また、患者さんが当社のがん治療薬を使用できるようソリューションの探求にも取り組んでいます。2015年にファーマサイクリックス社を、2016年にはStemcentrx社を買収し、現在アッヴィのがん分野のポートフォリオは研究開発と共同研究により、市販されている医薬品と複数の新規分子を含むパイプラインで構成されています。それらは20種類を超える、異なる型の腫瘍について、200件以上の臨床試験において世界中で評価されています。詳細については、http://www.abbvie.com/oncologyをご覧ください。





アッヴィについて

アッヴィは、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。世界で最も複雑かつ深刻な疾患に対する、革新的な先進治療薬の開発を行っています。その専門知識、献身的な社員、イノベーション実現に向けた独自の手法を通じて、自己免疫疾患、がん、C型慢性肝炎などのウイルス感染症およびニューロサイエンスの4つの主要治療領域での治療を大きく向上させることをミッションに掲げています。世界中の人々が持つ健康上の課題への解決策を進歩させるため、75カ国以上の国でアッヴィ社員が日々取り組んでいます。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、FacebookやLinkedInでも情報を公開しています。





アッヴィ 今後の見通しに関する陳述

本リリースにおける記載には、1995年米国私募証券訴訟改革法に示される「今後の見通しに関する陳述」が含まれています。「確信」「期待」「予測」「計画」という言葉およびそれに類する表現は、一般に将来予想に関する陳述となります。当社からの注意喚起として、このような将来予想に関する陳述はリスクおよび不確実性による影響を受け、実際の結果と将来予想に関する陳述での予測との間に大幅な相違が生じる可能性があります。このようなリスクおよび不確実性には、知的財産に対する脅威、他社製品との競合、研究および開発プロセスに特有の困難、敵対的訴訟または政府による介入、業界に関連する法律および規制の変更などがあります。



アッヴィの経営に影響を及ぼす可能性のある経済、競合状況、政府、科学技術およびその他の要因については、Securities and Exchange Commission(米国証券取引委員会)に提出済みのアッヴィの2017年度アニュアルレポート(10-K書式)の1A項「リスク要因」に記載しています。アッヴィは、法律で要求される場合を除き、本リリースの発表後に発生した出来事または変化によって、今後の見通しに関する陳述を更新する義務を負わないものとします。



1 Seymour JF, Kipps TJ, Eichhorst B, et al. Venetoclax-rituximab in relapsed or refractory chronic lymphocytic leukemia. N Engl J Med. 2018;378(12):1107-1120.

2 Hallek M, Cheson BD, Catovsky D, et al. Guidelines for diagnosis, indications for treatment, response assessment and supportive management of chronic lymphocytic leukemia. Blood. 2018;806398.

3 NCI dictionary. NCI Dictionary of Terms. Chronic Lymphocytic Leukemia. https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms. Accessed September 2018.

4 World Health Organization. 2014 Review of Cancer Medicines on the WHO List of Essential Medicines. http://www.who.int/selection_medicines/committees/expert/20/applications/CLL.pdf (http://www.who.int/selection_medicines/committees/expert/20/applications/CLL.pdf) . Accessed  September  2018.

5 Summary of Product Characteristics for VENCLYXTO. Ludwigshafen, Germany: AbbVie Deutschland GmbH &Co. KG.





情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 慢性リンパ性白血病の新たな治療薬としてベネトクラクスとリツキシマブの併用療法が欧州医薬品庁より承認