2017年10月2日



大阪大学、プロトセラ、ウシオ電機



ウシオ電機子会社のプロトセラと大阪大学が、腎臓移植における拒絶反応の早期診断と早期治療を目的にしたバイオマーカー探索で共同研究契約を締結



 ウシオ電機株式会社の子会社である株式会社プロトセラと大阪大学は、移植後の慢性拒絶反応による腎臓の脱落を事前に予測し、早期の治療介入による移植腎の長期安定化を図るために、『BLOTCHIP®-MS法(ペプチド質量分析法)※による腎臓移植後の抗体関連型拒絶反応特異的バイオマーカーの探索等』に関する共同研究契約を9月25日付で締結した。



  末期腎不全に対する腎代替療法として、腎臓移植は血液透析や腹膜透析と比較して生活の質(Quality of life;QOL)の改善のみならず、心血管系疾患等重篤な合併症を抑制しうる唯一の根治療法だ。しかしながら、慢性期には自己免疫能により移植された腎臓を非自己(異物)と認識し排除しようとするため、腎機能廃絶に至る可能性が出てきている。患者のQOLと治療効果を持続するためには移植腎に対する拒絶反応をいかに抑制するかが最大の課題となっている。

 また早期に拒絶反応を診断するためには経皮的移植腎針生検という侵襲的検査が必要となり、患者および移植腎に対する負担が大きいため負担の少ない簡便な検査が待たれている。



 この度の共同研究では、腎臓移植患者を生検に代わる侵襲性の低い血清検査によって、早期診断なしでは治療介入が極めて困難な拒絶反応の一つである抗体関連型拒絶反応の特異的バイオマーカーの発見とその臨床的有用性を検証する。



  「抗体関連型拒絶反応の診断方法として、現在フローサイトメトリー法を用いた血液検査が施行されています。しかしながらこの血液検査では拒絶早期には反応が認められず診断がつかないことも多いという欠点があります。また一番の問題点として、本検査で新規抗体が確認できても、その抗体が必ず拒絶反応を起こすとも限らないのです。我々は抗体を持ちながら拒絶反応を起こした群と起こさなかった群それぞれに属する患者グループの血清を保存しており、BLOTCHIP®-MS法によって拒絶反応の早期診断と治療介入の必要性を判断しうるバイオマーカーが見つかることを期待しています。」(大阪大学大学院医学系研究科 先端移植基盤医療学寄付講座 高原史郎 教授)



  「BLOTCHIP®-MS法は、電気泳動によってタンパク質とペプチドを完全に分離した後、ゲルからペプチドを定量的にBLOTCHIP®に電気転写することで、試料に含まれるペプチドの総量解析を実現しました。大阪大学が保存された患者血清からBLOTCHIP®-MS技術で得られるバイオマーカーが、腎臓移植領域における日本発の新たな診断法と治療法の創出につながることを期待します。」(プロトセラ 代表取締役社長 田中憲次)



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※BLOTCHIP®-MS法(ペプチド質量分析法)

  ペプチドの質量分析を妨害するタンパク質や、生体組織からの抽出工程で混入する高濃度の塩類などを電気泳動工程で完全に除去し、泳動終了ゲル中のペプチドを電気転写によりBLOTCHIP®へワンステップで写し取ることで、従来法(ゲル内ペプチドの染色、ゲルからの抽出、その後の濃縮・脱塩や測定板への添加)の煩雑な工程を省略した世界初のペプチドーム定量解析技術です。

→ より詳細な技術情報はコチラをご覧ください(http://www.protosera.co.jp/technology/blotchip/



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情報提供元: PRワイヤー
記事名:「 ウシオ電機子会社と大阪大学が共同研究契約を締結