トランプ大統領は、先日、日本が通貨安を利用してアメリカから貿易黒字を掠め取っているとの発言に日本の政府、閣僚が一斉に反発をしました。
その日本政府の反論は介入も為替操作も行っていない、という反論でしたが、間違いであれば恫喝や何も知らないことを平気で言う新大統領ですから、放置をしておけばいいのに反論するなんて愚の骨頂と感じます。
実際、財務官僚は去年12月のドル円の想定レートを105円に設定をしており、現在の水準が110円台ですので、割安です。トランプの言っていることの方が正解です。
要するに、為替が割安過ぎると認識しているけど、円安でないと今の政権が倒れてしまいますので必死に反発をしているだけの話です。
本当のドル円レート
昨年12月の段階で、為替レートが105円と設定しているとしましたが、実は105円でもおそらく50%程度円安過ぎるレートです。
実際のアメリカのフェアといえるドル円レートは現段階で75円程度でしょう。
これが50%も割安水準にとどまっているのは、かんたんなことで固定相場が誕生した360円が割安過ぎるだけの話です。
この変動相場に移行してから約50年の月日がたちますが、未だに日本円はドルに対して割高になったことなどありません。
こういう理屈でアメリカが日本に反論をしたら、日本政府は呑まざるを得ません。ですから、我が国の首相は今度の日米首脳会談でお土産をもっていくのです。
日本の国益をアメリカに差しだすのか、とわめいている国会議員が国会でいましたが、無知蒙昧の極みです。
肝心の相場動向
最近、私は朝の経済ニュースをよく見るのですが、有名か無名かは知りませんが、円安論者が「円安に行きます」、といつも宣言をしています。
MCの女性が、「これだけ円高に言っているのに」と、半ばあきれ顔で聞いているのに、「円安」と脂汗をかきながら言っているのを見て笑っています。
為替相場は、今、債券相場をみて動いているのは周知の事実で、アメリカの10年債が、力強く価格が上昇し、金利は低下傾向というのはトランプラリー当初とは真逆の動きになります。
このアメリカ10年債の価格が上昇することは、ドル円は円高方向にいくということになります。
大統領令で出された「財政拡大」は議会を通らない
そしてトランプラリーの起因というのはアメリカの財政拡大になります。
この財政拡大は大統領令によって命令は出されていますが、議会はおそらく承認しないでしょう。
予算は議会を通らないとアメリカでは財政拡大はできません。
つまり、トランプ大統領の宣言する、インフラ投資、減税等は議会を通らないだろうという見通しをマーケットが織り込んでいるのです。
トランプラリーの起因が、財政拡大にあるとすれば、円は元の木阿弥になると考えるのが普通でしょう。(執筆者:角野 實)
情報提供元: マネーの達人