「住環境としての価値」と「資産価値」
マイホームを購入するということは、新しい住環境を手に入れる、と同時に「土地建物」という資産を持つということです。
一生に1回あるかないかのマイホーム購入。
・ これくらいの広さは欲しい
・ こんなデザインの家に住みたい
・ これくらいの庭が欲しい
などなど…
土地や建物にいろいろな希望を持つことは当然です。
マイホームを持つ価値
よく賃貸と持家の比較と言われますが、マイホームを購入することによって得られる住環境の違いは、単純に家賃と住宅ローンの返済の比較では見えない価値があります。
特に、日本は賃貸マンションの間取りや広さ、設備など、欧米などと比べて、持家とは差があります。
賃貸マンションの場合、オーナーさんは、事業としてマンション経営を行い、少ない投資で利益を出すことを考えるわけです。
ですから、建物の設備などに大きなお金をかけない、間取りなども収益性を優先する賃貸マンションが多いのはある意味当然ともいえます。
持家を建てる場合
一方、持家の場合、人生で1回あるかないかの買い物です。
自分のお金で自分自身が住む家を建てるわけですので、自分が満足できる住環境を手に入れるためそれなりのコストをかけます。
なので、一般的には賃貸より持家のほうが住環境としては充実しているということになります。
これは、賃貸と持家を比較するときに目に見えない「住環境としての価値」の違いであり、マイホームを購入することによって得られる価値でもあります。
そして、マイホームが持つもう1つの価値が、「資産価値」です。
ただ、自分の家が資産である、といえるには、違う言い方でいうと「交換価値」がなければなりません。
つまり、
・ 自分のもつ資産を売却して「お金」に変える
・ 人に貸して「収入」を得るということができる
というように資産であるマイホームをお金に交換できる必要があるということです。
簡単に言うと、これがマイホームの持つ「資産価値」です。
購入予算の範囲内で買うには…
では、マイホームを購入する際の物件選びや家づくりで、「住環境という価値」と「資産価値」のバランスどう考えるか?
当たり前ですが、人それぞれマイホームを購入するための「予算」があります。
普段、相談を受けていて、物件探しや家探しの際、自分の「住環境という価値」にこだわり、「資産価値」も必要…となると、予算的にオーバーしてしまうことがあります。
資産価値を左右する条件として重要なものは、「立地」です。
購入する地域や交通利便性などが資産価値に大きく影響します。
そういった立地条件が良い場所に自分が建てたい建物を建てる、もしくは購入するとなると、予算的にきつい、という状況になることはあります。
かといって、無理に予算を上げてはいけません。
自分の適正なマイホームの購入予算をしっかり把握し、その範囲内で物件探しや家づくりをすることが必要です。
住宅購入後の人生設計を考える
予算的な制約もそうですが、現実的には、不動産は、1つ1つが異なるもので自分の求める100点満点の物件はマーケットに存在しないことも多いです。
そういう意味では、マイホームを購入するということは何かを優先し、何かをあきらめるという作業でもあります。
マイホームを購入して、
「住環境としての価値」
「資産価値」
という2つの価値を手に入れるとするなら、自分が何を優先するかということを決めなければなりません。
そして、その優先順位を決める1つの大きな基準となるのは、住宅購入後の人生設計(ライフプラン)です。
例えば、将来的に住宅を売却することを想定するかどうかによって、「資産価値」をどこまで求めるかは変わります。
最後に
将来的にその住宅に住む家族構成の変化によっても求める「住環境としての価値」も変わってくると思います。
先のことは分からないよ、と思われるかもしれませんが、マイホームという大きな買い物をするに当り、ご家族の将来設計を考えてみることも必要かもしれません。
そうすることによって、物件選びや家づくりについて、のちのち後悔することも少なくなるのではないでしょうか。(執筆者:吉満 博)
情報提供元: マネーの達人