先日の日曜日、原因不明の渋滞に巻き込まれ「どうしたんだろう?」と思っていたら、住宅展示場が新しくオープンし、その入場待ちが原因でした。
住宅購入を検討している人の多さと、ローンが借りやすくなっている現状とを、痛感しました。その一方で、
「皆さんは、住宅の予算を決めてから展示場に足を運んでいるのだろうか?」
と心配になりました。
住宅購入を考えるときの注意点は2つあります。
注意点1 家を見に行く前に「住宅購入予算」を決めましょう
住宅は人生最大の買い物なので「後悔したくない」という心境から、ついつい設備を増やしたり、最高グレードの設備にしがちです。
「間取りをこうしよう」
「素材はこうしよう」
「こんな設備がほしい」」
など、住宅購入はお金をかけようと思えばきりがありません。
予算を決めないと「現実」が見えなくなる
購入予算を決める前に住宅展示場に足を運ぶと「いくらまでなら買える」という現実ではなく、「いくらの家がほしい」という希望が先に立ってしまいます。
希望を叶えるために努力することは素晴らしいことですが、現状(現実)を把握しておかないと、無理をしてでも「どうにかしよう」と考えてしまいます。
感覚的に払えそうな金額でも、「実際に数字を計算すると厳しい」という事は往々にしてあります。
注意点2 低金利で試算すると借り過ぎてしまう
住宅購入でまず気になるのは、月々の返済額です。そして、ほとんどの方は、月々の返済額を試算してもらうのが、住宅販売会社の営業マン(ウーマン)ではないでしょうか。
彼(彼女)らは、「家を販売してナンボ」なので必然的に試算の前提が、月々の返済額を抑えたモノになりがちです。
月々の返済額は計算方法によって変わります。
金利
低いほど月々の返済額は低くなる。一般に、変動金利が最も低く、固定期間が長いほど金利は高くなる。
変動金利の場合
平成28年11月現在、銀行の貸出金利は0.6~0.8%ですが、過去の平均は4.0%です。金利が低くなればなるほど、上昇する圧力(可能性)は高まります。
過去平均の4%で試算していただいたほうが安全・安心なのですが、永らくゼロ金利で推移している現状を考えると、なかなか4%で試算するのも現実味がありません。
しかし今現在の金利そのままで35年分を計算するのは危険です。
3,000万円を35年ローン 金利1.0%で借りる
月々の返済額は約8万4,690円。
現在の変動金利の店頭金利2.5%で計算
月々の返済は約10万7,250円となります。
差額は月々2万2,560円です。月々2万円のマイナスは大きな問題となります。
借入期間
借入期間が長いほど月々の返済額は低くなる。分割払いは回数が多いほど、1回の支払額が低くなる。
一般的な月々返済額の試算の前提条件
「変動金利の35年ローン」ではないでしょうか。
住宅ローンは最長で35年。もしくは完済時76(80)歳未満までです。
返済期間は借り手の考え方や、状況・年齢によります。
具体的には
・ 何歳まで働ける(働きたい)のか
・ いつリタイアするのか(できるのか)
・ 貯金がいくらあるか
・ 退職金や年金がいくらあるか
を考えなければなりません。
借入期間は決してみな一律なものではありません。
予算決定のポイント3つ
1. 手取り月収の6か月分は預貯金として残しておく
住宅購入の場合、購入額は自己資金と、住宅ローンで借りられる額の合計が最大値となります。
ただし、不測の事態、予算に落とし込めていなかった支出を考慮すると、預貯金の全額を頭金として入れるのは危険です。
2. 手取り月収の最大35%まで
手取り月収の35%はあくまで最大値で、理想は25%以内に収めたい。
住居費を先に35%確保するのではなく、その他の予算を先に振り分け、その残りが理想の居住費となります。
そのときに、子供にかけられる教育費の総額や、自分の老後に必要なお金のうち、年金や退職金で賄えない分のお金を、必要となる時までの期間(月数)で割って、月の予算に落とし込んでください。
例えば、子供を幼稚園から大学までオール私立で通わせたい場合、2,000万円の費用が掛かるとしたら、2,000万を22年(0歳児の場合)×12か月で割った約7万6千円を月々の家計に落とし込みます。
3. 最低でも手取り月収の5%は貯蓄する
不測の事態に対応するために、月々手取り月収の5%、できれば10%は貯蓄できるだけの余力を残しておきたいものです。
収入の範囲内で何とか生活していた人が、慶事や弔事が重なったため、消費者ローンを借りて御祝儀や弔慰金にあて、一気に赤字家計に転落した方がいるそうです。
結婚式が月に2件重なることは十分あり得ますし、そうなると6万~10万円は支出しなければなりません。
ほんの10年前、一人一人がパソコンやスマホを持つなんて誰が想像したでしょうか? 20年超の長い期間、何が起こるか、どう変わるかは分かりません。貯蓄という余力は、緩衝材となります。
おわりに
月々ローンに回せる額を決めるには、まず「どう生活していきたいのか」ライフプランを、夫婦・家族で決めなければなりません。
この作業が一番大切で難しいのですが、ライフプランさえ決まってしまえば、住居費に充てられる額、返済期間を決めるのは簡単です。
あとは住宅金融支援機構や各金融機関のローンシュミレーションで「月々の返済額」「金利」「返済期間」を入力すれば借りられる額が導き出せます。
高額な買い物だからこそ、予算を決めてから物件を見に行きましょう。 (執筆者:田島 稔之)
情報提供元: マネーの達人