「200万円の借金…リボも残っている状況です。どうしたらよいですか?」千葉県・関東近郊で必要な世帯年収と家計改善のポイント

今回は、”千葉県在住で200万円の借金があり、支出を改善したいという30代男性のお悩み”を一緒に解決していきたいと思います。

家計が苦しい状態でも、適切な支出の見直しと資産管理によって将来に向けた安定した生活基盤を築くことは可能です。特に千葉県など関東近郊では、世帯年収や生活費の相場を把握した上で計画的な家計管理を行うことが重要です。借金の返済から資産形成まで、優先順位を付けて具体的な改善方法をご紹介します。


相談者(30代既婚男性)の情報

  • 家族:妻と2歳半の子ども一人

  • お住まいの地域:千葉県

  • 本人年収:700万円

  • 世帯年収:約1,000万円 ※妻年収約300万円

  • 住居:賃貸

  • 車:所有

千葉県など関東の郊外地域では世帯年収は?

まず、収入が平均年収と比較してどれくらいなのかを見ていきましょう。生活に必要な年収額は世帯により大きく異なりますが、一つの目安となります。

「令和5年賃金構造基本統計調査(都道府県別)」によれば、千葉県の24~30歳男性の平均年収(税込)は492万4,300円、35~39歳男性の平均年収は535万400円です。
参考  e-Stat 「令和5年賃金構造基本統計調査 (一般都道府県別_年齢階級別DB)」

また、「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯(世帯主の年齢階級別)2024年分」によれば、千葉県と関東地方の世帯主収入の平均は以下の通りです。

関東地方 月51万8,847円 年622万6,164円
千葉市 月54万1,905円 年650万2,860円
参考 e-Stat 「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯(世帯主の年齢階級別)2024年分」

いずれの調査結果と比較しても、相談者様の年収は千葉県や関東地方に住む同年代の平均より高めです。

そこから税金や社会保険料を引いた手取りは500万円台前半だと思われますが、配偶者の収入(年収300万円、手取り200万円台前半)を加算すれば世帯の手取り年収は約700万円になります。そのことから、年収的には平均的な年収の同年代よりゆとりある生活ができるはずですが、現在の相談者様世帯は借金の返済などで家計が苦しい状態であることがうかがえます。

その解決方法として相談者が知りたいことを短くまとめた上で、優先順位が高い順に並べてみます。

  1. 借金の早期返済と住宅ローンについて

  2. 毎月の収入と支出の改善について

  3. 支出の見直しについて

  4. 資産を上手に増やす方法について

  5. 収入を増やす方法について

ここからは、以上の優先順位順に相談者様の質問に回答していきます。

借金の早期返済および住宅ローンについて

質問
借金を早く返済するための具体的な方法を教えてください。
住宅ローンを組む際に気をつけるべきポイントは何ですか?

ご相談の内容から、現在抱える借金の中でも大きな負担となっているのがリボ払いの借金だと思われます。年利15~18 %もの利息がつくリボ払いは、完済までに払う利息が大きく増えて返済の負担が重くなりがちです。

また、借金が多いと「返済能力が低い」などの理由で住宅ローンの審査が通らない可能性が高くなるため、できれば住宅ローンの審査を受ける前に現在の借金を完済しておきたいところです。それができれば住宅ローンの審査が通る可能性が上がると思われます。

リボ払いの借金を効率的に早期返済する方法としては以下の手段があります。

  1. 新たなリボ払いを行わない

  2. 一括返済する

  3. 毎月の返済額を増やす

  4. 借入額の一部をまとめて返済する

  5. 親族に借金を肩代わりしてもらって後日返済する

1はこれ以上返済の負担を増やさないために極めて重要なことです。店頭やECサイトのクレジットカード払いをいったん封印し、現金払いや現金チャージ式のキャッシュレス決済などにするとリボ払いへの誘惑を断ち切りやすいでしょう。

2~4はいわゆる「繰り上げ返済」で、リボ払い以外の借金にも応用できます。利息の金利が高い借金ほど繰り上げ返済で借金残高が減るペースが速くなります。4については、親族の経済状況によっては検討の余地があります。

現在の世帯年収なら支出を見直して借金返済に充てる金額を増やすことで、早期返済も住宅ローンの早期借入も不可能ではありません。

毎月の収入と支出の改善について

質問
毎月の収入と支出のバランスを改善するにはどのような工夫をすればいいでしょうか?

毎月の収入と支出のバランスの改善にあたっては、毎月の収入と支出の金額をおおむね把握しておく必要があります。と言っても、全ての収支を家計簿につけるのはたいてい長続きしません。それよりも、以下の方法で1ヶ月あたりの収入額と支出額を「見える化」するのがおすすめです。

1:預金口座明細の収入・支出の合計額を計算

夫婦双方の預金口座入出金明細に記載された、1ヶ月分の収入および銀行引き落としの支出(公共料金、クレジットカード利用金額など)の合計額を算出します。

2:クレジットカードと紐づけていないキャッシュレス決済の合計を計算

夫婦双方の「クレジットカードと紐づけていないキャッシュレス決済」の利用明細に記載された1ヶ月分の支払い額の合計を計算します。

3:現金払いの合計を計算

夫婦双方が現金払いした分のレシート(1ヶ月分)の金額と、レシートがない現金払いの金額の合計を出します。レシートがない現金払いはつどメモしておくのが理想ですが、難しい場合は金額がわかる分だけ計算に入れればOKです。

4:1~3で計算した金額の合計を計算

これで1ヶ月あたりの収入額と支出額がわかります。これを1~2か月行うだけでも1ヶ月あたりの収入と支出の金額が数字として「見える化」し、現在の家計の状態がすぐわかって収支をコントロールしやすくなります。また、この作業を毎月行うとさらに家計の収支をコントロールしやすくなるので、ぜひやってみてください。

支出の見直しについて

質問
貯金を増やすために、まず見直すべき支出項目は何ですか?

世帯年収が平均より高めなので、支出の見直しによって借金の返済と将来に向けた資産形成を両立することは不可能ではありません。ただ、借金額がやや大きいので、進学前も進学後も高額なお金がかかる小学校受験や中学受験はせず、高校や大学への進学に備えて今から費用を貯めることも視野に入れる必要があると思われます。

そのことを念頭におきながら、支出の見直しについて優先順位が高い順にお伝えします。

優先順位1位 借金返済

借金があると収入が多くても赤字家計になりがちです。その状態から1日も早く脱するためにも、新たな借金をストップした上で高金利の借金から優先的に返済していきましょう。

優先順位2位 固定費(家賃、光熱費、携帯電話代、定額サービスなど)の見直し

固定費の見直しは、毎月の支出を継続的に無理なく減らせる効率のよい方法です。中でも毎月払う費用を減らしやすいのが、携帯電話会社や契約プランの見直しや、現在利用中の定額サービスの見直しです。それによって毎月数万円の支出を減らせる場合もあります。

車の費用も負担が大きいので、税金含む維持費が安い車種(軽自動車など)への買い替えを検討してもいいかもしれません。家賃については、賃貸住宅の更新時に家賃の減額交渉を行うと、毎月の家賃の負担を下げられる可能性があります。

優先順位3位 流動費(食費・日用品費など)の見直し

工夫次第で支出を大きく抑えることも可能なのが、食費や日用品費などの流動費です。食費については、食品の在庫管理をしっかり行って食品ロスをゼロまたは最小限まで減らすことができれば、ムダな支出を減らせます。

日用品費など食費以外の流動費についても、家にあるものの管理をしっかり行い、「安いから買う」をやめて必要な数だけ買う習慣をつければ支出を減らせる可能性が高くなります。

資産を上手に増やす方法について

質問
将来に備えた資産形成を考えていますが、初心者におすすめの資産運用の方法はありますか?

世帯年収を見る限りでは、借金があっても投資による資産運用は可能だと思われますが、その場合はローリスクな資産運用を行うことが必要条件となります。その条件に合った資産運用の方法は以下の3つです。

  • NISA(非課税投資制度)

  • iDeCo(個人型確定拠出年金)

  • 預貯金(定期預金・積立定期預金)

以上の中で30代の資産形成に最もおすすめなのがNISAですが、iDeCoも老後に向けた資産形成に適しています。また、預貯金(定期預金や積立定期預金など)は金利が低い分運用で得られる利益も低めですが、元本割れのリスクがない安全性の高さは他の2つにないものです。

では、それぞれの資産形成方法の主な特徴について簡単に説明します。

NISAの主な特徴

・NISA口座は一人あたり1金融機関で1口座だけ開設できる

・NISA口座には2つの投資枠があり両方の投資枠を同時に利用できる

<つみたて枠>
長期分散投資に適した積立投資信託を年間120万円まで購入・非課税運用できる投資枠

<成長投資枠>
上場株式や投資信託などの投資商品を一括や積立で年間240万円まで購入・非課税運用できる投資枠)

・1口座あたりの非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠の限度額は1,200万円)

・非課税限度枠で運用する投資商品の運用益には課税されない(通常は20.315%課税)

・投資商品の売却で生じたNISA投資枠の空き部分は翌年以降に再利用できる

・NISA対象商品の多くは信託報酬以外の手数料がかからない

・NISA対象の個別株には売買手数料が無料のものがある

・運用益に課税されないので損失が出ても損益通算はできない(※)

※株の売買の利益(譲渡所得)がマイナスになっても、損益通算の対象となる他の所得から損失した金額を控除できない

金融庁より

相談者様はまだ借金が残っているので、毎月少額ずつ積立投資信託を購入・運用するつみたて枠での投資がおすすめです。それによって、無理のない範囲で効率的に資産形成ができるでしょう。また、投資初心者には特定の市場の動きに連動する「インデックス型」や、債券や株式など複数の資産が含まれる「バランス型」の投資信託がおすすめです。
参考 NISA特設サイト「NISAを知る」

iDeCoの主な特徴

  • 20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者が加入できる

  • 掛け金が所得税控除の対象となる(小規模共済等掛金控除)

  • 運用益に課税されない

  • 拠出限度額がある(厚生年金加入者は最大2万3,000円)

  • 各種手数料がかかる(金融機関により金額は異なる)

  • 60歳までお金を引き出せない

参考 iDeCo公式サイト
「iDeCoってなに?
「iDeCoのメリット」
「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」

預貯金(定期預金・積立定期預金など)の特徴

  • 元本割れのリスクがない

  • 預金金利が低いので運用益も低い

  • 運用益(利息)に20.315%課税される

  • 複数の金融機関に資金の預け入れや運用ができる

借金がある間はNISAと預貯金での資産形成がおすすめです。また、30代で厚生年金加入者であることから、iDeCoは借金完済後に加入を検討しても遅くはないと思われます。

収入を増やす手段について

質問
収入を増やすために今できることはありますか?

相談者様は現在借金があり生活がやや苦しい状況です。その場合は今後も安定した収入が見込める今の仕事で収入を上げる方法だけ考えた方がいいでしょう。会社の業務や昇進に必要な資格の取得や現在の業務とは異なる業務への挑戦など、今の仕事でスキルアップすると収入アップにつながります。勤務先が資格取得の費用を払ってくれる場合は、それを利用しましょう。

NISAでの投資でも運用益による収入アップが見込めるので、当面はその2つで収入を増やすことをおすすめします。

安定した生活基盤を築くために ─今からできる家計改善のステップ─

1馬力で700万円、2馬力で年収が1,000万円あれば、千葉県など関東近郊でも十分な生活水準を維持できる可能性があります。ただし、現在借金がある場合は、まずは高金利の借金から返済を進めることが最優先です。その上で、固定費や食費などの流動費の見直しを図り、NISAなどを活用した資産形成を始めることで、より安定した生活基盤を築くことができます。

まずは収支の見える化から始めて、優先順位をつけながら着実に進めていくことが重要です。特に教育費や住宅購入など将来の大きな支出に備えるためにも、今から計画的な家計管理を心がけましょう。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 「200万円の借金…リボも残っている状況です。どうしたらよいですか?」千葉県・関東近郊で必要な世帯年収と家計改善のポイント