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2025年は5年に1度の年金改正の年になるため、2024年後半辺りから厚生労働省は、いくつかの改正案を発表しています。
その中でもっとも注目なのは、厚生年金保険に加入する要件のひとつである106万円の壁を、撤廃するのか否かだと思います。
ただ改正が実現したとしても、106万円の壁が撤廃される時期の目安は2026年10月になるため、すぐに実施されるわけではありません。
一方で雇用保険は2024年に複数の改正が実現しているだけでなく、2025年中に実施される改正もあります。
こういった改正の多くはマイナンバーカードがあると、利用しやすくなると思うのですが、その理由は次のようになります。
失業した時に雇用保険から支給される失業手当としては、次のような4つがありますが、「失業手当=基本手当」と考える方が多いような印象を受けます。
自己都合で退職した方が基本手当を受給するには、退職日以前の2年間に雇用保険の被保険者であった期間が、通算して12か月以上必要になります。
一方で倒産や解雇などで退職した場合には、退職日以前の1年間に雇用保険の被保険者であった期間が通算して6か月以上あれば、基本手当を受給できるのです。
その他の違いとして倒産や解雇などで退職した場合、ハローワークで受付を済ませてから7日間の待機期間が経過すると、基本手当を受給できるようになります。
しかし自己都合で退職した場合には、待機期間の後に給付制限があるため、当面は基本手当を受給できないのです。
給付制限は3か月程度だったのですが、2020年10月からは5年間のうち2回までは、給付制限が2か月に短縮されました。
2025年4月からは退職前の1年以内や、退職した後に教育訓練を受講すると、自己都合で退職しても給付制限がなくなります。
また5年間のうち2回までは給付制限が1か月に短縮されるため、従来よりも基本手当を受給しやすくなります。
雇用保険からは育児休業を取得した方に対して、育児休業給付や出生時育児休業給付という2つの給付金が支給されています。
2025年4月からは次のような給付金も支給されるため、育児休業に関連した給付金は4つになるのです。
2歳未満の子を養育するために時短勤務している方に対して、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給する制度です。
育児時短就業給付を受給するには原則的として、育児時短就業を開始する日の前2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算して12か月以上必要になります。
女性は産後休業後8週間以内、男性は子の出生後8週間以内に、夫婦共に14日以上の育児休業を取得すると、休業開始前賃金の13%が最大で28日間支給される制度です。
給付率が67%(育児休業開始から180日目まで)の育児休業給付に加えて、出生後休業支援給付も受給できると、休業開始前賃金の80%をカバーできます。
また育児休業の期間中は事業主の申し出によって、社会保険料の徴収が免除されるため、休業前と給与の手取りがほとんど変わらなくなるのです。
出生後休業支援給付を受給するには原則として、出生後休業を開始する日の前2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算して12か月以上必要になります。
2025年10月以降に雇用保険の被保険者が、教育訓練を受講するために休暇(無給)を取得した時は、賃金の一定割合が教育訓練休暇給付金として支給されます。
給付額は退職した時に支給される基本手当と同額であり、給付日数は雇用保険の被保険者であった期間に応じて、90日、120日、150日のいずれかになります。
また教育訓練休暇給付金を受給するには、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上必要になります。
その他に雇用保険に加入していないフリーランスなどに対して、教育訓練費や生活費を融資する制度が、2025年10月に開始される予定です。
融資の上限額は年間240万円、利率は年2%になりますが、教育訓練を受講した後に収入が増えた場合には、残債務の一部が免除される案が検討されています。
60~65歳までの間に支払われる賃金が低下した時に、その低下分を雇用保険が補ってくれる、2つの高年齢雇用継続給付があります。
1つ目は雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある方が、60歳以降も一般被保険者として、継続的に雇用されている時に支給される高年齢雇用継続基本給付金です。
2つ目は雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある方が、60歳以降に退職した後に、基本手当を100日以上残して再就職した時に支給される高年齢再就職給付金です。
前者の高年齢雇用継続基本給付金が支給されるのは、60~65歳未満の各月の賃金が、60歳時点の賃金と比較して、75%未満に低下した場合になります。
また60~65歳未満の各月の賃金が、60歳時点の賃金と比較して、61%以下に低下した場合には、各月の賃金額の15%程度が最大で65歳まで支給されます。
このように高年齢雇用継続給付の最大の給付率は15%になりますが、2025年4月からは10%に引き下げられるのです。
そのうえ給付率は今後も引き下げられていき、最終的には高年齢雇用継続給付が廃止される可能性があります。
自己都合で退職した方が、基本手当を受給する時の給付制限を1か月にするには、5年以内に2回を超えないようにする必要があります。
また2025年から新たに始まる、育児休業や教育訓練に関連した給付金を受給するには、雇用保険の被保険者であった期間が一定以上必要になります。
これらの要件を満たしているのかが気になった方は、マイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインしてみるのです。
その理由としてはマイナポータルにログインすると、雇用保険被保険者番号、雇用保険の加入記録、雇用保険の保険給付の記録などを確認できるからです。
仮に要件を満たしていなかった場合には、退職する時期を遅らせたり、教育訓練を受講したりするなどの対策を立てられます。
また2025年1月からは勤務先が電子申請を行っている場合、基本手当を受給する時に必要な離職票を、マイナポータルを通じて受け取れるようになります。
こういった点から2025年の雇用保険の改正は、マイナンバーカードがあると利用しやすいと思うのです。
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