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業務上や通勤途上によらない理由で負傷または疾病により働けなくなった場合は、社会保険加入者に限り、傷病手当金の活用が可能です。
傷病手当金は法改正を経てより制度の拡充が図られました。今回は傷病手当金の基本論点と複数の疾病を患った場合の傷病手当金について解説します。
傷病手当金とは、私的な病気や怪我が理由で働けなくなってしまい、その間の生活を保障するため、健康保険法上設けられた制度です。
端的には私的な理由の病気や怪我によって、会社を休まざるをえなくなり、かつ、その間、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給される制度です。
似て非なるものとして、労災保険法上の休業(補償)給付がありますが、こちらは業務上や通勤途上での怪我や疾病によって働けなくなった際の生活保障となるため、働けなくなった「原因」によって対象となる制度も異なります。
身近なケースとしては働けなくなった「原因」は要件を満たしているものの、休業期間中の全期間、有給休暇を申請した場合は、結論として収入は基本的に減ることがありません(残業代はないのでしょうが)ので、傷病手当金としての給付はありません。
また、傷病手当金は医師より労務不能である旨の証明を受領しなければなりませんが、労務不能とはまでは言えないといったケースも想定されます。
他のケースとして、制度的な部分にはなりますが、傷病手当金は継続して3日間の待期期間が設けられています。
労務不能ではあるものの、3日の待期期間が終了する前に労務不能状態ではなくなったといった場合は待期期間を満了していないため、制度の活用はできません。
まず、制度的な論点として、複数の疾病等を患っていたとしても、複数の傷病手当金を二重に受け取れるわけではありません。
また、傷病名が複数であっても、関連のある傷病は同じ疾病とみなされる場合があります。
また医学的にも因果関係がなく、複数の傷病として診断されており、かつ、同期間中に傷病手当金の支給申請が行われる場合は、日額の高い傷病にかかる傷病手当金が支給され、 その他の傷病手当金は支給されたものとみなされることとなります。
まず、労災保険は労働災害や通勤災害によるケースが対象です。
よって、仕事中や通勤途中に起きた怪我や疾病は労災保険となります。
他方、健康保険は仕事中や通勤途中を除いた日常生活上で患った病気や怪我による医療サービスが対象であり、原則として労働に関連しない疾患が対象となります。
考え方として、会社を休んだ日が「連続して3日間」なければ成立しません。
例えば、連続して2日間会社を休んだ後、3日目に仕事を行った場合には、「待期3日間」は成立しないということです。
繰り返しになりますが、傷病手当金の待期期間は「通算」ではなく「連続」です。
なお待期期間には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれ、給与の支払いがあったか否かは関係ありません。
傷病手当金は待期期間の要件で誤解が生まれるケースが少なくありません。
また、複数の疾病を併発している場合や、そもそも労災保険と健康保険どちらの対象になるのか判断がつかないといったケースもあります。
また、1年以上の加入期間があれば、資格喪失後(例えば会社を退職せざるを得なくなった)も継続給付という形で受給することが可能です。
ただし、資格喪失時に傷病手当金を受けていることや受ける要件を満たしていることが必要であるため、退職時に出勤した場合は資格喪失後の継続給付の要件を満たさなくなります。
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