東京証券取引所の「取引時間」が70年ぶりに延長!その狙いや影響を解説

11月に入り、今年も残り2か月となりました。

東京証券取引所の取引終了時刻2024年11月5日からは15時30分までとなります

取引終了時刻の延長は1954年以来の70年ぶりとなり、僅か30分とは思われるかもしれませんが、今までは15時の取引終了で動いていました。変更内容を知っておく必要があります。

終了時刻延長の狙い・目的は

終了時刻延長の狙い・目的は?

今回の制度変更は、「市場を巡る環境変化や多様化する投資家のニーズに対応するとともに、市場利用者の利便性や国際競争力、レジリエンスをさらに高めていく観点から実施する」(東京証券取引所ホームページより)とされています。

具体的には、取引時間を少しでも長くすることで、投資家の取引の機会が増えるとともに取引が活発になりやすくなります。

それ以外には、東京証券取引所の取引時間延長前の取引できる時間は5時間30分と世界の主要取引所の取引時間の中ではかなり短い状況です。ニューヨークの取引時間は6時間30分、ロンドンが8時間30分など、そしてシンガポールは7時間となっていることから、国際競争力を強化させることが挙げられます。

もし、今後システム障害が発生した場合でも、当日中にシステムが復旧し、少しでも取引できる時間が確保できる可能性も高めています。

2020年10月1日には、東京証券取引所のシステム障害により全銘柄の売買が終日停止してしまいました。日本ではPTS取引での売買も可能ですが、東京証券取引所での取引量が圧倒的に多くなっているため、終日売買できないリスクを減らすことが必要とされています。

15時25分~の取引注文は注意

取引終了時刻が延長されても、午前(前場)の取引(9時00分~11時30分)と12時30分から15時25分までの午後(後場)の取引注文は従来通りです。前場、後場のそれぞれの最初の売買後は、売り注文の値段と買い注文の値段が一致するごとに売買取引が成立していきます。

注意が必要なのは、15時25分の取引からです。この5分間はこれまでの売買取引とは異なります

15時25分から5分間は売買を成立させないで、注文受付時間を設定します(プレ・クロージング)。その後15時30分に板寄せ(注文受付時間内に集まった売り注文と買い注文を一度に突き合わせて、もっとも多く売買取引成立する値段を決める)を行い、終値が決まります(クロージング・オークション)。なお、15時25分~15時30分の間は新規注文や注文の変更・取消が可能です。

なお、先物オプション(デリバティブ市場)も8:45~15:45へと変更になり、立会時間が30分延びることになります。それに伴い夜間立会時間の始まりが17:00~翌6:00へと変更になり、夜間立会時間の始まりが30分後ろ倒しとなります。

取引時間中の決算発表が増加する

決算発表はその内容によっては株価が大きく変動することがあります。そのため、株価を乱高下させないために取引時間終了後の午後3時または午後3時以降に発表するところが80%近くを占めています。

取引終了時刻が延長されることで、午後3時30分以降に決算発表を遅らせるかどうかは企業ごとで異なります。したがって、取引時間中に決算発表が行われるケースが今後、増加していくことが予想されています。決算内容や銘柄によっては、その企業の株価だけでなく日経平均株価やTOPIXなどの指数にも影響を及ぼすケースもあるでしょう。

取引終了時刻が延長されることで、どのような影響が出てくるのかは数か月経過しないことには見えてこない部分もあるでしょう。短期投資だけでなく、長期投資の場合でも売買する時には影響が出る可能性もありますので、注意はしておく必要があります。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 東京証券取引所の「取引時間」が70年ぶりに延長!その狙いや影響を解説