地震への備えはどうする? 地震保険の概要、上乗せ補償も紹介

日本は地震列島と言われています。

今年の正月の能登半島沖地震や、8月には宮崎県の日向灘を震源とする地震発生に伴い、気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しました。

もし、大地震への備えの一つとして地震保険への加入が挙げられますが、地震保険だけでは不十分な部分もあります。そこで、地震保険の上乗せ補償を取り扱っている損害保険会社もありますので紹介いたします。

日本は地震列島と言われています

地震保険の概要

地震保険は、地震、噴火またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)に対して保険金を支払います。

地震保険は単独で加入することはできず、火災保険とセットで加入する必要があります(後で追加加入可能)。

政府と民間の保険会社が共同して運営している保険のため、どこの損害保険会社で加入しても保険料や補償内容に差はありません。

なお、火災保険ではたとえ火災により建物や家財が損害を受けても、地震による噴火や津波が原因の損害については火災保険の対象外になります。

補償内容は、建物と家財のそれぞれがあり、地震保険での契約金額は、火災保険の契約金額の30%~50%の範囲内かつ建物は5,000万円、家財は1,000万円が契約の限度額となっています。

さらに、通常の火災保険と異なり、実際の損害額が保険金として支払われる訳ではありません。

損害の程度によって「全損(地震保険金額の100%)」「大半損(60%)」「小半損(30%)」「一部損(5%)」の認定により保険金額が支払われます。

このとから「全損」の判定を受けても、家を再建する費用の全額が出る訳ではありません。地震保険は、あくまで家の建て直しではなく生活再建を目的としているためです。

上乗せ補償(特約)とは?

この補償(特約)は、地震保険の保険金が支払われる場合に、地震保険の保険金と同額が支払われる保険です。

言い換えると、地震により損害が発生した場合、火災保険金額の最大100%(全損の場合)までの補償が受けられることを意味します。

例えば、火災保険金額2,000万円の建物の場合、地震保険での契約金額は最大、火災保険の契約金額の50%の1,000万円となっています。

もし、地震が発生し全損の判定を受けた場合でも、地震保険からの保険金は1,000万円となり2,000万円の建物を再建築することはできません(1,000万円の不足)。

そこで、地震上乗せ補償(特約)にも加入することで地震保険の保険金と同額が支払われますので、この例の場合には、この補償(特約)から1,000万円が支払われます。

地震保険からの保険料と合計すると2,000万円になり計算上は再建築することが可能になります。

ただし、この補償(特約)は、損害保険会社各社の独自の保険になりますので、商品の名称は異なります。保険料は地震保険料の2倍程度の水準になります。

今、ご加入されている損害保険会社にて確認してみてください。

取り扱っていない損害保険会社ありますが、一方で、単独で加入できる少額短期保険(SBI損保:SBIいきいき少短の地震の保険、ヤマダ少額短期保険:ヤマダの災害安心保険<地震補償コース>)もあります。保険料・補償内容ともに上乗せ補償(特約)と比べると低くなっていますが参考にしてみましょう。

地震保険や上乗せ補償(特約)は必要か?

この地震保険は全ての人が加入している訳ではありません。

2022年度の地震保険の付帯率は69.4%(前年度比+0.4%・損害保険料率算出機構算出)で、2003年度以降20年連続の増加となっています。

一方で、約30%は加入していないことになります。地震保険料が高く、補償が全損でも火災保険料の契約金額の最大50%しか支払われない、さらに、全損に該当するケースは少なく、半損・一部損となることが多いのが理由と言われています。

中には、地震が少ない地域に住んでいるという場合もあります。

参照:地震保険料の試算(一般社団法人日本損害保険協会)

また、大きな地震等の自然災害があった場合には、被災者生活再建支援制度の適用を受けられる場合があり、最大で300万円の支給を受けることはできます。

地震保険が不要な人は、耐震等級2以上など耐震性が強い住宅に住んでおり周りの住宅からの延焼リスクが少ない場合、または大地震が発生した場合でも自宅の再建は自己資金と被災者生活再建支援制度でなんとかなりそうな場合だけでしょう。

なお、耐震等級2でも、一部の補修は必要な可能性があります。

それ以外の場合は、日本は地震大国です。地震が少ない地域でも大地震が発生する可能性はありますので、地震保険への加入は要検討でしょう。

地震保険への備えだけでは不安な場合には上乗せ補償(特約)も検討しましょう。

1995年の阪神淡路大震災では、神戸は地震が少ない地域でもありました。

少なくとも、住んでいる地域は地震が少ないからと思い込むのはギャンブルなのかもしれません。

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 地震への備えはどうする? 地震保険の概要、上乗せ補償も紹介