「マイナ保険証」と「マイナ免許証」の3つの相違点と共通する問題点

ここ数か月はニュースサイトを見ていると、マイナ保険証(健康保険証として利用するための登録を済ませたマイナンバーカード)の記事が、よく掲載されています。

直近ではマイナ保険証よりも、マイナンバーカードに運転免許証の機能を持たせたマイナ免許証の方が、記事の数が多いような印象を受けます。

その理由としては2025年3月24日から、マイナ免許証を使えるようにする方針を、警察庁が明らかにしたからです。

マイナ免許証の保有者(現行の運転免許証も保有する方は除く)は、住所変更の手続きを市区町村役場だけで実施すれば良く、警察署などに行く必要はありません

優良運転者などに該当するマイナ免許証の保有者は、更新する時の講習をパソコンやスマホから、オンラインで受けても良いのです。

マイナ免許証と現行の運転免許証を比較してみると、手続きの面ではマイナ免許証の方が優れているとわかります。

マイナ保険証とマイナ免許証を比較してみると、次のような3つの相違点があるだけでなく、共通する問題点もあるのです。

マイナ保険証とマイナ免許証を比較してみます

相違点1:ICチップの役割

医療機関の窓口でマイナ保険証を使う時には、顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置いた後に、次のいずれかの方法で本人確認を実施します。

・ マイナンバーカードのICチップ内に格納されている利用者証明用電子証明書の、4桁の暗証番号を入力する

・ マイナンバーカードのIC チップから読み取った顔写真と、顔認証付きカードリーダーが撮影した顔写真を照合する

本人確認が完了すると医療機関は支払基金 ・国保中央会から、オンラインで患者の資格情報を取得します。

また医療機関が取得する患者の資格情報は、大部分が健康保険証の表面に記載された情報と同じですが、医療費の負担割合も含まれるのです。

そのため診療を受けた時の自己負担が、本来の割合(医療費の1割~3割)になるのです。

マイナ保険証を使う時は、マイナンバーカードのICチップが重要になります

ICチップの中には資格情報が記録されていないため、医療機関は本人確認が終わった後にオンラインで、患者の資格情報を取得するのです。

マイナ免許証を選択すると、マイナンバーカードのICチップの中に、運転免許証の番号、種類、条件、有効期限、顔写真などの情報が記録されます。

警察官がマイナ免許証の保有者に運転免許証の提示を求める時は、ICチップに記録された情報を端末に表示させるのです。

マイナ保険証とマイナ免許証の両者において、ICチップは重要になりますが、このようにICチップの役割が違うのです。

相違点2:一本化の有無

健康保険証は2024年12月2日に新規発行が停止され、そこから最長1年の猶予期間が過ぎた後に、マイナ保険証に原則一本化されます。

マイナンバーカードを取得していないなどの理由で、マイナ保険証を使えない方には、健康保険証の代わりに資格確認書が交付されます。

健康保険証は近いうちに廃止されるため、マイナ保険証と健康保険証の両者を保有できるのは、あと少しの期間になるのです。

現行の運転免許証は廃止されないため、3つの選択肢(マイナ免許証だけを保有する、現行の運転免許証だけを保有する、両者を保有する)の中から選べます。

健康保険証のように原則一本化されなかった理由は、海外では現行の運転免許証を保有していないと、運転できない国があるからのようです。

マイナ免許証と現行の運転免許証の両者を保有すると、次のように運転免許証を新規取得や更新する時の手数料が、片方だけよりも割高になります。

【新規取得する時の手数料(2025年3月24日以降)】

マイナ免許証だけの取得者:1,550円

現行の運転免許証だけの取得者:2,350円

両者の取得者:2,450円

【更新する時の手数料(2025年3月24日以降)】

マイナ免許証だけの保有者:2,100円

現行の運転免許証だけの保有者:2,850円

両者の保有者:2,950円

手数料の金額や、2箇所で住所変更などの手続きを実施する点を考慮したうえで、どれにするのかを決めた方が良いと思います。

相違点3:カードがない期間を穴埋めする制度

マイナ保険証を使っていた方がマイナンバーカードを紛失すると、再交付されるまでの1か月くらいの間は、医療機関でマイナ保険証を使えません

診療を受けた時の自己負担が、医療費の10割になる可能性があります。

本来の割合で診療を受けたい場合、事前に次のようなところに申請して、マイナ保険証を使えない方に交付される資格確認書を受け取るのです。

【健康保険】全国健康保険協会、健康保険組合

【国民健康保険】市区町村、国民健康保険組合

【後期高齢者医療】広域連合(窓口は市区町村)

マイナ免許証には資格確認書のような、マイナンバーカードがない期間を穴埋めする制度がないのです。

マイナ免許証だけの保有者がマイナンバーカードを紛失した場合、現行の運転免許証の再交付を受けないと、1か月くらい運転できないのです。

政府は特急発行・交付という仕組みを創設し、1週間以内(最短5日)にマイナンバーカードを再交付する予定なので、今後は運転できない期間が短くなると思います。

共通する問題点:ICチップが原因のトラブル

マイナ保険証とマイナ免許証は共通して、マイナンバーカードのICチップが重要になります。

ICチップが破損したり、これを読み取る端末などに不具合があったりすると、必要な場面で使えなくなるのです。

例えばマイナ保険証が使えなければ、診療を受けた時の自己負担が医療費の10割になる可能性があります。

ICチップが原因のトラブルは、マイナ保険証とマイナ免許証に共通する問題点であり、マイナ保険証は実際にトラブルが発生しています。

マイナンバーカードを持ち歩くと、ICチップが入った部分に傷が付いたり、衝撃が加わったりする場合があるため、家の中だけで使う時よりも破損しやすくなります。

ICチップが原因のトラブルは、マイナ保険証やマイナ免許証が普及するほど増えるかもしれません

厚生労働省はICチップが破損した時などに、医療費の自己負担を10割から本来の割合にするには、次のようなものをマイナ保険証と一緒に提示すれば良いとしています。

・ マイナポータルにログインした後にダウンロードできる、各人の資格情報が記載されたPDFファイルを表示したスマホの画面

・ 資格情報のお知らせ(今後に市区町村や健康保険組合などから交付される、各人の資格情報が記載された書類)

マイナ免許証だけの保有者がICチップを破損した時などに、このような代わりの方法を使えるのかは、よくわからなかったのです。

もし代わりの方法が使えなかった場合、警察官から提示を求められた時に困るため、マイナ保険証と同様の方法が新たに作られるかもしれません。

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 「マイナ保険証」と「マイナ免許証」の3つの相違点と共通する問題点