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株価や地価の上昇は資産価値が増えることを意味するので、すでに資産を保有している人にとってはうれしい反面、相続税の視点で考えた場合には税負担が増える懸念があります。
そこで今回は、株価や地価の上昇が相続税にどのような影響をもたらすのかについて解説します。
相続税は、亡くなった人が相続開始時点で保有していた財産に対して課される税金です。
相続財産の総額が基礎控除額以内であれば、相続税の申告・納税は不要ですが、基礎控除額を超える場合には、亡くなった日の翌日から10か月以内に相続税の申告・納税が必要です。
3,000万円+600万円×相続人の数=相続税の基礎控除額
相続財産の価値は財産の種類ごとに評価方法が定められており、基本的に相続開始時点の価値で評価額を算定します。
ただし、株式と不動産については他の財産と比べ、評価方法が少し特殊なので注意が必要です。
上場株式は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する相続開始日の最終価格で評価します。
ただし、相続開始日の最終価格が次の価額の最も低い価額を超える場合には、最も低い価額を相続税評価額にすることができます。
相続開始月の毎日の最終価格の月平均額
相続開始月の前月の毎日の最終価格の月平均額
相続開始月の前々月の毎日の最終価格の月平均額
上場株式の株価が下落し続けている場合、相続開始日の最終価格が最低額となりますので、その価額を相続税評価額となります。
一方、株価が右肩上がりのときは、相続開始日の最終価格ではなく、前月など過去の株価を相続税評価額にすることが可能です。
亡くなった人が保有する上場株式の価値が上がっていれば、その分相続税評価額も高くなってしまいますが、株価が急激に上昇したケースでは、月平均額等を用いることで評価額を抑えられます。
土地の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で評価します。
路線価方式は、国税庁が公表している路線価を用いて計算する方法で、相続が発生した年分の路線価を用いて計算します。
路線価はその年の1月1日を評価時点としており、一般的に路線価の評価額は時価の80%程度に設定されています。
地価の急上昇が即座に路線価に反映されることはありませんが、地価が上がれば路線価も上昇する点には注意してください。
倍率方式は、固定資産税評価額に国税庁が公表している倍率を乗じて評価する方法です。
固定資産税評価額は3年に1度評価替えを実施するため、直近の地価上昇が固定資産税評価額に反映されない年もあります。
宅地の固定資産税評価額は時価の70%程度なので、路線価よりも金額が低いことが多いですが、相続税評価額を算出するためには、固定資産税評価額に国税庁が定めている倍率を乗じなければなりません。
そのため、地域によっては倍率方式で計算した評価額が、時価の80%を超えることもあります。
株価や地価が上昇しても、相続財産の総額が相続税の基礎控除額以内であれば相続税を納めることにはなりませんし、基礎控除額を超えたとしても特例制度の活用すれば相続税の支払いをゼロにできる場合もあります。
ただ特例制度にはそれぞれに適用要件があり、相続が発生してから要件をクリアするのが難しい特例もありますので、相続財産が基礎控除額を超える見込みであるご家庭については、生前から相続税対策を講じることも検討してください。
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