「節税」と「脱税」は税金の支払いを抑える目的は同じでも、性質は大きく異なります。

脱税行為については税務調査で指摘されるだけでなく、金額によっては逮捕される可能性もあるので危険です。

今回は節税と脱税の違いと、節税行為が認められないケースについて解説します。

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節税は法律の範囲内で税金を抑える行為

節税は、法律で規定された範囲内で税金の支払いを抑える行為をいいます。

税法には納税額を減らすための控除や特例制度などがあり、それらを利用して税金を減らすことは認められています。

節税に該当する行為であれば、納税額が大幅に減少することになったとしても税務署から指摘されることはありません。

一般的に提唱されている税金を抑える方法の多くは節税に該当しますので、適用できる場合には積極的に活用した方がいいでしょう。

脱税は法律から逸脱した方法で税金を抑える行為

脱税は、法律で認められていない方法で税金の支払いを抑える行為をいいます。

事業者であれば売上の一部を除外したり、経費を水増しすることで実際よりも利益が少ないように見せかける行為が脱税に該当します。

違法な手段で税金逃れをすれば税務調査で指摘され、加算税等のペナルティが課されます。

脱税額が多い場合には、マルサでも知られている国税局査察部が強制調査を実施し、脱税の摘発だけでなく、刑事告発することもあるのでご注意ください。

税務調査で節税行為が否認されてしまうケース

納税者が合法だと思って講じた税金対策が、税務調査で否認されることもあります

節税行為が否認されるケースの一つとしてあるのが、法律の解釈誤りです。

特例制度は要件を満たした場合のみ適用することが認められますが、例外的に適用できないケースを設けている制度も存在します。

経費計上については、納税者と税務署の見解相違により否認されることもあるため、特例制度や経費計上の可否の判断が難しいときは、専門家の意見を聞くことも大切です。

税金を抑えたいなら「脱税」ではなく「節税」をすること

脱税しても、税務署に見つからなければ問題ないとの意見が一部にはあるかもしれません。

しかし、脱税をすれば税務調査で摘発される可能性がありますし、税務署の脱税を行った納税者への対応は厳しいです。

税務調査の対象期間は通常5年なのに対して、脱税犯の調査期間は7年に延長され、申告誤りを指摘された際には重加算税の対象となるため、ペナルティがより重くなります。

納税額を少しでも抑えたい気持ちは誰しも持っていますが、対策する際は脱税ではなく節税による手段を用いてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 「節税」と「脱税」の違い。税金対策は法律で認められた範囲でやること