投資信託で、よくわからないのは分配金の「受取型」と「再投資型」ではないでしょうか。

新NISAでどちらがいいかと聞かれると、それぞれ特徴がありますが、「増やす」には「再投資型」を選ぶと複利の力で増えやすいと伝えます。

分配金の受取方法の、きほんの「き」を説明します。

新しく生まれ変わるNISAはなぜここまで注目されているのか?ポイント4つと高い節税効果について解説

投資信託の分配金の「受取型」と「再投資型」

投資信託を買付する時、迷うのは分配金が出る投資信託で、「受取型」と「再投資型」のどちらを選べばよいかという点です。

それぞれに違いがあります。

受取型 … 分配金を受け取る(単利)

再投資型 … 分配金を再投資する(複利)

受取型でのメリットは、都度、分配金が受け取れることです。

定期的に分配金をもらえるので「おこづかい」のようです。

再投資型でのメリットは、受け取る分の分配金を元本に加えて投資ができます

いわゆる「複利効果」があります。

単利では元本のみを投資するのに対して、複利では、出た分配金も元本に組み込んで投資するわけなので、資産額が年数を経るにつれて増えていきやすいです。

2年後には差がつく「受取型」と「再投資型」

結論から伝えると、投資信託で「資産を増やしたい」のなら、「再投資型」を選びましょう。

理由は、2年後から「受取型」と「再投資型」で資産額に差がついてしまうからです。

元金100万円、年利4%、年数10年の場合をシミュレーションしてみました。

※つみたてNISAやNISA口座のような非課税のとき

※それぞれ同じ投資信託で、基準価格は変化がないとき

≪画像元:初心者ドットコム

1年後 … 受取型104万円、再投資型104万円

2年後 … 受取型108万円、再投資型108万1,600円

3年後 … 受取型112万円、再投資型112万4,864円

4年後 … 受取型116万円、再投資型116万9,859円

そして、

8年後 … 受取型132万円、再投資型136万8,569円

10年後 … 受取型140万円、再投資型148万244円

最初は同じ額の100万円を預けていても、受取型(単利)と再投資型(複利)で考えると、10年後には8万244円の差があります

わかりやすく説明

受取型(単利)と再投資型(複利)の違いをわかりやすく説明します。

1年後

受取型 … 年4万円の分配金を受け取る

再投資型 … 年4万円の分配金を元本に加えて再投資する(元本は104万円になる

2年後

受取型 … 100万円を投資して年4万円を受け取る → 合計108万円になる

再投資型 … 104万円を投資して年4万1,600円を受け取る

(104万円×4%=4万1,600円)

→ 108万円1,600円になる

同じ条件でも、2年目以降は「複利」の力を受けられ、1,600円の違いが生まれます。

一覧表でも明らかですが、3年目では4,864円の差額になり、10年目では、単利で140万円になっているのに対して、複利では148万244円になり、8万244円の差が生まれています

新NISAで「受取型」と「再投資型」を比較すると

2024年から始まる新NISAで、投資信託を「積み立て」する予定の人も、この「受取型」と「再投資型」を考えると、資産をより増やしていきたいのなら「再投資型」を選びたいところです。

≪画像元:金融庁

新NISAでは、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円、年間で360万円の枠があります。

毎月5万円を積み立てる場合

毎月5万円、年利4%で積み立てる場合を考えてみます。

年間60万円がためられ、1,800万円のNISA枠を埋めるには30年かかります。

単利の場合

単利を計算すると、毎年、60万円の4%、2万4,000円の分配金がもらえる計算です。

1,800万円をためた時、単利では2万4,000円×30年分、72万円が分配金としてもらえます。

複利の場合

≪画像元:金融庁

複利の場合はどうでしょうか。

計算すると、最終積立金額は3,470万2,470円になるとわかりました。

計算が難しいのでシミュレーションの力を借りましたが、3年目は投資元本の180万円のほか、10.9万円が運用収益として加算されていて、6年目には360万円のほか、46.1万円が運用収益として加算されています。

元本だけでなく、「分配金も再投資」することで、グラフのうち、最初はゼロだった黄色の分配金部分が年数を経るにつれて伸びていることがわかります。

毎月10万円を積み立てる場合

毎月10万円を積み立てる場合で考えてみます。

年間120万円で、1,800万円のNISA枠を埋めるには15年かかります

単利の場合

単利を計算すると、毎年、120万円の4%、4万8,000円の分配金がもらえる計算です。

1,800万円をためた時、単利では4万8,000円×15年分、72万円が分配金としてもらえます

複利の場合

≪画像元:金融庁

こちらも複利の場合を考えてみます。

計算すると、最終積立金額は2,460万9,049円とわかりました。

複利計算では、分配金を元本に組み込んで、その金額がさらに分配金を“生み出す”ことで、単利(受取型)よりも資産が増えることがわかることでしょう。

NISAでは簿価残高方式で管理

新しいNISAでは、投資枠を「簿価残高方式」で管理します。

購入したタイミングの金額を基準にする点でも、再投資型にメリットがあります。

例えば、100万円を投資、年利4%の投資信託、2年後だと

受取型では … 108万円になっている

再投資型では … 108万1,600円になっている

解約したとしても、受取型では108万円、再投資型では108万1,600円と受け取れる金額に差があり、しかも、どちらも購入時は「100万円」なので、“どちらも”翌年100万円の枠が復活します。

そう考えても、途中で新NISA枠の資産を売ると考えても、再投資型に魅力があるとわかります。

同じ投資信託でも、受取型(単利)と再投資型(複利)では、2年後であっても、「非課税の対象金額が違う」ため、増やしたいのなら再投資型にすべきことに気づいてもらえたと思います。

資産を増やしたいなら再投資型に注目を

新NISAで投資信託を買付しようとは思ってみても、「受取型」と「再投資型」でどちらがいいのかなど、はじめての人にとってはわからないことが多いはずです。

もちろん、月々、計画的に貯めて資産形成していくことが肝心ですが、資産を増やすことを考えるなら再投資型

特に、新NISAでは非課税枠が1,800万円あり、長期間の積立をする人が多いはずです。

単利と複利の違いをシミュレーションしてみるだけでも金額がかなり違います。

違いを理解して、2024年の準備を今からはじめましょう。(執筆者:節約生活スペシャリスト 谷口 久美子)

インデックス投資へ抱きやすい大いなる2つの誤解

【投資の成否を分けるのは手元現金の量】「何に投資するのか」よりも大切なこと

【iDeCo】優遇措置・節税効果などの税金面から徹底分析 メリット、デメリット、注意点も解説

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 【投資、きほんの「き」】新NISAでの投資信託 「受取型」と「再投資型」の違い どちらを選ぶのが良いのかを解説