2024年からスタートする新NISAは、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる大改正となりました。

現行制度で投資を始めたばかりの方のために「つみたてNISA」の出口戦略を紹介したいと思います。

つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度で、2018年1月からスタートしました。

つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されているのが特徴です。

2023年4月27日時点の対象商品は227本あり、インデックスファンド192本、アクティブファンド27本、ETFが8本となっています。

つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として一定の投資信託を購入することができますので、積立購入額が年間40万円を超える部分は課税口座での購入となります。

各年に購入した投資信託を保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)が購入した年から数えて20年間は課税されません

【筆者も驚いた】すでにNISAを始めている人も知っておきたい「新NISAのすごいところ」

つみたてNISAのメリット

つみたてNISAで積立てすると、20年間非課税で運用することができます。

通常は、利益に対して20.315%の税金が発生しますので、メリットと言えます。

例えば、過去5年間の運用成績が年率5%(5年)だとします。

このファンドを過去5年前から毎月3万円の積立投資をしていた場合、

  • 投資元本の累計が180万円
  • 資産価値が204万8,683円

204万8,683円で売却できた場合、つみたてNISA枠で投資をしているため、

24万8,683円(204万8,683-180万)

利益は非課税となります。

課税口座で投資をしていた場合は、5万519円の税金(24万8,683×20.315%)がかかりますので、手残りは19万8,164円となります。

 

つみたてNISAのデメリット

つみたてNISA対象の投資信託では、自分流の投資スタイルで運用できません

それは、債券型投資信託が対象商品にはないからです。

投資のリスクを減らす方法の一つに分散投資があります。

分散投資には、「資産」の分散や「地域」の分散、「時間」の分散という考え方があります。

投資対象となる「資産」には、株式や債券、不動産等がありますが、それぞれの資産は、常に同じ値動きをするわけではありません。

一般的に、株式と債券とでは、経済の動向等に応じて異なる値動きをすることが多いと言われているので、値動きの異なる株式と債券を組み合わせて投資を行うのが「資産」分散です。

例えば、株式型投資信託が値下がりした場合には、債券型投資信託の値上がりでカバーする、といったように、保有している投資信託の間で生じる価格変動のリスクを軽減できます。

つみたてNISA対象商品の中には、投資信託の運用者が、様々な資産(債券も含む)や地域を対象に投資を行う「バランス型」のものもあります。

しかし、投資家のリスク許容度診断※を元に、株式型(不動産型含む)投資信託と債券型投資信託の購入(保有)割合(投資スタイル)を決めることが大切です。

※リスク許容度診断:投資目的、運用資金の性格、年齢、家族構成、世帯年収、金融資産、投資経験、投資への興味、価値観等を元に、投資スタイルの決め手にすること

つみたてNISA、20年後の出口戦略

つみたてNISAは、非課税期間の20年間が終了したときには、NISA口座以外の課税口座(一般口座や特定口座)に非課税期間終了時の時価で払い出しされます。

2020年に投資した40万円分の投資信託等は、2040年まで非課税で運用ができます。

2021年の投資は2041年まで、2022年、2023年の投資は2042年・2043年までと、それぞれ1年間ずれて行きます。

2020年の投資分は、2040年で非課税が確定しますので、それまでの分配金や値上がり益は非課税となります。

2020年の投資分は、2040年で売却せずに運用を継続できます。

その場合、非課税期間終了時の時価で課税口座に払い出しがされますので、2041年の時価から売却するまでの値上がり益については、売却時に課税がされます。

このように、つみたてNISAは、20年間の非課税制度にはなりますが、購入した投資信託等の運用が20年間で終わってしまう投資ではありません。

21年目以降に売却する場合

投資開始日からの値上がり益が課税されるわけではなく、課税口座に払い出しされた時の時価から値上りした部分や分配金が課税対象となります。

例えば、40万円分の投資信託を年率5%で30年間運用できた場合、20年後の非課税期間終了時に売却すると、資産価値(時価)が106万1,319円の計算となり、

66万1,319円(106万1,319-40万)分

資産を増やせたことになります。

30年後に売却すると、資産価値(時価)が172万8,776円。

66万1,319円+66万7,457(172万8,776-106万1,319)-13万5,593(66万7,457×20.315%)=119万3,183円。

79万3,183円(119万3,183-40万)分

資産を増やせたことになります。

税金を考慮しても、長期投資による運用効果は大きいと言えます。

特徴を知り賢く運用

  • つみたてNISAでの投資は、20年間で運用が終わるのではない
  • 21年目以降に売却する場合、投資開始日からの値上がり益に課税されるのではない
  • 20年より30年間運用した方が、税金を考慮しても運用効果が高い

2024年以降は、新NISAの成長投資枠を活用して債券型投資信託を購入すれば、資産分散を行えるため、つみたてNISAや新NISAのつみたて投資枠のデメリットを補うことができます。

「貯蓄から投資へ」のNISA制度を活用し、長期・分散(資産・地域・時間)投資を行うことで、よりよい人生設計をしましょう。(マネープランニングを始め様々な事業を経営するFP 駒崎 竜)

 

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 つみたてNISAは20年以内に売却しないとどうなるの? メリットデメリット、20年後の出口戦略を解説