- 週間ランキング
【住宅ローンの金利タイプ】変動を選ぶ?それとも金利が上がっても固定のまま?
住宅ローンの借り入れ可能額は、
・年齢
・年収
・現在の借り入れ
の3つの情報を元に計算を行います。
年齢は、住宅ローンの借入申込書(正式審査)を記入する日の満年齢で考えます。
住宅ローンの返済期間は最長80歳が一般的なので、79歳-満年齢が最長返済期間になります。
同じ融資額の場合、返済期間が長い方が月々の返済額が低くなるので、借り入れ可能額も大きくなります。
年収は、会社員や公務員等の給与所得者は、前年の税込年収になるので、直近の課税証明書に記載されている年収となります。
銀行等の住宅ローンでは、前年の年収が記載された課税証明書が発行されない1月~5月の借り入れの場合は、前年の源泉徴収票の年収を採用することもあります。
個人事業主等の確定申告者は、前年度の確定申告書の所得が年収になるので、直近の納税証明書その2に記載されている所得金額となります。
銀行等の住宅ローンでは、個人事業主や歩合比率の高い給与所得者の場合、直近2期~3期分の年収を加味して総合的な年収判断をしています。
現在の借入れは、
を踏まえて借り入れ可能額を計算します。
上記の書類から、現在の借り入れについて、
を確認します。
※【フラット35】の場合、事業用ローン、アパートローン(共同住宅)は返済比率に含まない
総返済負担率(以下、返済比率)とは、申込人の年収に占める年間合計返済額の割合のことを指します。
年間合計返済額は、現在の借り入れの年間返済額とこれから利用する住宅ローンの年間返済額を合わせた合計額です。
【例】年収400万円、現在の借り入れ合計額が月々5万円、購入する住宅ローンが月々10万円の場合
年間合計返済額が180万円(15万円×12カ月)
返済比率は45%(180万円÷400万円)になります。
返済比率は、年収と住宅ローン商品ごとに決められているので、返済比率オーバーの場合は、返済比率に収まる範囲の借り入れ額にする必要があります。
全期間固定金利型【フラット35】の場合は、以下の通り、返済比率が一律で決められています。
(図1)
変動金利型の場合は、返済比率を金融機関が公表していませんが、概ね以下の範囲になっています。
(図2)
返済比率を算出する際には、これから利用する住宅ローンの年間返済額を計算する必要がありますが、計算に用いる金利は何%にすれば良いのでしょうか。
この計算で用いる金利を審査金利と言います。
審査金利は、全期間固定金利型【フラット35】の場合は、本審査を行う月の適用金利です。
例えば、令和5年3月の適用金利は、融資率90%以下、返済期間21年~35年の場合、年1.96%となるので、審査金利も1.96%を用いて計算します。
借り入れ予定額が4,000万円、35年返済の場合、審査金利1.96%の毎月の返済額が13万1,685円なので、年間返済額は158万220円となります。
変動金利型の場合は、審査金利を金融機関が公表していませんが、概ね3.00~4.00%の範囲になっております。
令和5年3月現在の変動金利型は、適用金利が0.3%台になっているので、審査金利とは大きく乖離をしていることがわかります。
変動金利型は、将来の金利上昇を踏まえるため、【フラット35】よりも審査金利が高く設定されている点は注目するポイントです。
例えば、借り入れ予定額が4,000万円、35年返済の場合、仮に審査金利が3.50%の金融機関であれば、毎月の返済額が16万5,316円となり、年間返済額は198万3,792円です。
・年齢
・年収
・現在の借り入れ
上記の内容を元に、返済比率と審査金利を当てはめて計算をします。
変動金利型と固定金利型の借り入れ可能額を算出してみましょう。
返済比率は、
(図1)
(図2)
を参考とし、審査金利は、次の通りとします。
・変動金利の審査金利:3.50%
・固定金利の審査金利:1.96%
・会社員 前年年収:500万円
・年齢:40歳
・現在の借り入れ:車のローン(毎月3万円)
40歳のため、最長返済期間は35年間まで可能
返済比率:変動も固定も35%
変動金利の借り入れ可能額:2,802万円
固定金利の借り入れ可能額:3,518万円
・個人事業主 前年所得:350万円
・年齢:47歳
・現在の借り入れ:事業用ローン(毎月3万円)
47歳のため、最長返済期間は32年まで可能
返済比率:変動金利が25%、固定金利が30%
固定金利の【フラット35】は、事業用ローンを返済比率から除外できます。
変動金利の借り入れ可能額:990万円
固定金利の借り入れ可能額:2,494万円
住宅ローンの借り入れ可能額は、全期間固定金利型【フラット35】の方が大きくなることがわかりました。
住宅ローンの当初返済額は、変動金利型の方が固定金利型よりも低い水準ですが、将来の金利上昇を踏まえてリスクヘッジをする必要があることが理解できるでしょう。
この仕組みから、
【変動金利型を選択する場合】
【固定金利型を選択する場合】
ということが身をもって体験できるため、借りすぎの抑止力になるかもしれません。
今回の記事では、住宅ローンの借り入れ可能額の計算方法を解説しましたが、夫婦や親子の収入を合算して借り入れ可能額を増額させることもできます。
但し、注意しなくてはならないのは、家族構成や家計の状況を踏まえた計算になっていないことです。
家族でライフプランを作成し、将来キャッシュフローを見える化することで、必要な時期に必要なお金がいくら必要なのかがわかり、そのために必要な毎月の貯蓄額や老後資金への投資や備えも明らかになります。
住宅購入予算や住宅ローンの借り入れ額は、これらの将来予測をした上で身の丈に合った金額を算出するようにしましょう。(マネープランニングを始め様々な事業を経営するFP 駒崎 竜)
【実録】10年目の悲劇!戸建てマイホームの巨額メンテナンス費用 総額100万円の内訳
マイホームを考え始めた人のための超基礎知識「注文住宅と建売住宅の違い」
【賃貸の初期費用】本当に支払わないといけない? 主な8つの費用を解説します。