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この調査結果は、令和3年度文部科学省の「子供の学習費調査(幼稚園から高校)」、および日本政策金融公庫の「令和3年度教育費負担の実態調査」(ここでは大学のデータを引用)より抜粋して記載しています。
下表にある金額は、子ども一人当たりの学校種別の平均教育費総額を表しています。
大学の平均教育費総額の自宅外通学費423万円の内訳は、下宿やアパートの礼金・敷金や家具・家電等の購入費が39万円、仕送り額が384万円(年96万円×在学年数4年)の合計額で表しています。
調査項目については、大きく分けて学校教育費、学校給食費、学校外活動費の3つに区分されています。
参照:文部科学省
<学校教育費>
・入学金、入園料、授業料、修学旅行費、PTA会費、寄附金、教科書費、通学費、通学用品費、等
<学校外活動費>
・補修学習費 この内訳は、学習塾費、家庭教師費、通信教育費、等
・その他の学校活動費 この内訳は、芸術文化活動費(ピアノ・バレー・絵画等)
スポート等活動費(野球・サッカー・水泳等)
教養等の活動費(習字・そろばん・英会話等)
など、ほぼすべての支出に関する項目が含まれています。
子ども一人が幼稚園から大学まで掛る教育費は、全てのコースを公立(下表ケース1)で自宅通学の場合が約1,000万円、全てのコースを私立(下表ケース2)で自宅通学の場合が約2.6千万円と前者の約2.5倍になります。
これに、全てのコースを私立で自宅外通学の場合が約3,000万円。
これは全てのコースを公立で自宅通学と比べ約3倍の出費となります。
【学校種別教育費を4つのパターンで比較】
ここでは、幼稚園から高校までに支出する年間教育費の内訳を記載しています。
入学金や授業料などの学校教育費の負担は、小中高の私立が大きい傾向にあります。
学習塾代・お稽古代などの学校外活動費については、どの学校種別においても極端な差は見られません。
小学校は私立が突出して支出額が多くなっています。
調査結果の詳細は明らかになっていませんが、理由のひとつには中高一貫校などの受験に備えるための補修学習費の支出増が考えられます。
例えば、教育資金は「いくら」だけでなく「いつ」必要になるのか、その時間軸に沿った資金プランと資金準備が不可欠となります。
教育資金の捻出については、
などの具体的な手段が挙げられますが、それぞれにメリット・デメリットも考慮しなければなりません。
生保、損保JA、かんぽ生命などの金融機関が扱っています。加入年齢は子どもが誕生した時(誕生前もある)から就学前までが一般的です。
学資保険の上限額は基本的に制限がありませんが、15歳未満の子どもの死亡保障金額は1,000万円までが限度です。
親が死亡や高度障害になった場合はそれ以降の保険料は免除されるので安心です。
デメリットは元本割れのリスクもあることです。
教育資金を長期的視野に立って準備できるため、リスクレベルの高い金融商品の運用も検討に値します。
支出時期や金額は大凡予測可能なため、金融商品の選択においては安全性の確保がある程度必要でしょう。
具体的な商品としては「つみたてNISA」の制度を利用した運用なども選択肢の一つです。
教育資金の不足額を補う方法の一つに教育ローンの活用があります。
教育ローンは、国の他、民間の金融機関も数多く実施しています。
そのうち、国の教育ローンについては、融資限度額が350万円、借入金利が固定金利(1.65%:令和3年12月20日現在)、また年収要件については子供の数に応じ世帯の年収の限度額が決められています。
ローンは将来返さなければならない借金なので支出の先送りに過ぎません。
ローンは家計の状況にもよりますが、できれば避けたい方法です。
公的機関および大学や育英団体などの民間機関それぞれに存在していますが、なかでも公的機関の日本学生支援機構の奨学金制度が代表的です。
この制度は「学習意欲をもつ生徒で、学生の経済的負担を軽減するため」を目的としています。
日本学生支援機構が実施する奨学金は、返済の必要のない給付型と返済の必要な貸与型の2つのタイプがあります。
世帯収入の基準はありますが、学習意欲があれば受給可能です。
給付については、入学金や授業料などが免除または減額されるので、給付型が利用できれば最も理想的な形といえます。
第一種と第二種の二つあり、第一種が無利子で、第二種が年利3%上限の有利子(固定金利)が主な特徴です。
対象は短大・大学・専修学校・大学院、留学(但し語学留学は対象外)。選考基準は人物・学力・家計の状況などによって採用の可否が判断されますが、第一種の方が無利子の分、厳しいようです。
貸与額は、学校種別および自宅通学・自宅外通学によっても異なります。
大学の私立で自宅外通学の場合、第一種の最高月額が6万4,000円、貸付総額約300万円となっています。
奨学金の使い道は、入学金や授業料の他、下宿代や教科書代など幅広く、縛りはそうきつくありません。
貸与型奨学金の返済は、卒業後からですが、今後卒業できない又は就職できないなどのリスクも考えなければなりません。
奨学金の活用効果は、単に教育資金の準備として有効なだけに止まらず、子ども自身が返済者となるので、子の自立を促すよい機会ともなり、その利用価値も大きいかもしれません。
志望している大学が親元を離れて通学する場合は、下宿やアパートを借りなければならないため親の仕送りが大きな負担となります。
その支出を少しでも軽減するためには、大学の学生寮、各都道府県の主に育英会が運営している県人寮(東京近郊に集中している)などの施設を利用する方法もあります。
入寮条件に、自宅からの通学が困難なことおよび親の所得などの選考基準はありますが、学生寮は、食事付きが多く、コストだけでなく健康面においてもメリットがあります。
学習塾代や家庭教師代などの学校外活動費を思い切って節約するため、現実的かどうかは別として、親が塾の先生や家庭教師になって子供に教えることです。
親も子ども以上に勉強が必要となるのでハードルが少し高いけれど、これが実行できればその支出を抑えられます。
教育資金は、将来、老後資金を食い潰しその結果、家計破綻ということがないよう、教育にかけるコストと家計のバランスを考慮したライフプランを今から確り立てておきたいものです。(執筆者:CFP、1級FP技能士 小林 仁志)
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