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給与収入しかないのに税務調査を受ける僅かな可能性 余計な税金を支払わないために気を付ける点
所得税基本通達の改正は、次の2点に関する雑所得の範囲を明確化するために行われます。
1つ目の変更点は、「その他雑所得の範囲の明確化」です。
「その他雑所得」とは、公的年金等に係る雑所得及び業務に係る雑所得以外の雑所得をいい、その他雑所得の範囲に、譲渡所得の基因とならない資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。
2つ目の変更点は、「業務に係る雑所得の範囲の明確化」です。
業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化し、事業所得と業務に係る雑所得の判定は、その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定します。
判定対象の所得が、
・ その者の主たる所得でなく、
・ その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合
には、特に反証がない限り業務に係る雑所得として取り扱われます。
改正後の所得税基本通達の取扱いは、令和4年分以後の所得税から適用される予定です。
副業による収入(売上)が300万円以下の事業者については、原則事業所得ではなく、雑所得で計算しなければなりません。
事業所得と雑所得の主な相違点は、次の3つです。
・ 他の所得との損益通算
・ 青色申告特別控除
・ 損失額の繰越し
事業所得で発生した赤字は、他の所得と合算することができます。
たとえば給与所得で400万円の所得がある場合、事業所得で100万円の赤字が発生していれば、合計所得金額は300万円(△100万円+400万円)となります。
それに対し雑所得は、他の所得と損益通算ができないため、雑所得の赤字が100万円あったとしても給与所得と相殺することはできないため、合計所得金額は400万円です。
青色申告特別控除は、最大65万円まで利益から控除できる制度ですが、青色申告は事業所得を得ている人しか申請できませんので、雑所得に分類されてしまうと青色申告特別控除が適用できなくなります。
また青色申告には、最大3年間赤字を繰り越せる制度がありますが、こちらも雑所得に該当すると利用できません。
執筆時点では、所得税基本通達の改正は案ですが、改正が正式に決定すれば令和4年分の確定申告から適用されます。
売上300万円の判断基準は副業により得た収入を対象としているため、本業として事業を営んでいる場合や、副業でも売上が300万円を超えていれば、事業所得として申告できます。
一方、本業のかたわらライターやブロガーとして活動している人については、令和4年分以降は事業所得ではなく、雑所得で申告しなければいけない可能性が高いです。
副業による売上が300万円以下の事業者が事業所得として申告するためには、税務署に対して説明をしなければいけませんので、確定申告対策が必要になってきます。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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