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コスパよく相続税を節税したいなら「生前から対策すべき」4つの理由
相続人の一人に「生前贈与をしっかりしたから、今回の相続ではあげません」と書いたところで、ゼロになった相続人は納得いきません。
むしろ他の相続人の方にも生前贈与が同様にされていたといいます。
相続人である田中玲子(仮名)さんは「こんなこと、遺言者がいうはずがなく、付言に書いてあることは事実と違います」というのです。
付言は法的効力はないものです。あくまで遺言者が思ったことを書いているだけです。
残念ながら、事実と違っていても問題にはなりません。そう筆者は説明し、気づいたことがあります。
理由が正しかったとしても、それを今更、遺言書に書かれ、親にダメ押しされる相続人もつらいものです。
どんな理由を書いても、遺言書作成が争族の引き金の種になるか可能性があります。
そこで、筆者は分け方の理由を書くより「少なくした方の良かった思い出や感謝を書いてください」と提案していました。
少なく書いた相続人に対しても、同様の愛情や感謝があったことを書くことで、遺留分減殺請求(当時)をしないでくれるのではないかという、遺言書作成お手伝い側の思いがありました。
遺言者に、良かった思い出や感謝の言葉を書いておいてくださいと依頼しても、現実は書いてくださる方は少なく、定型の感謝の言葉を書くことになりました。
田中玲子(仮名)さんの父の遺言書も、付言パターン○○から作成したのではないかと推察できました。
そう考えると、遺言者の真の声でないため、確かに「そんなこと言うわけがない」付言となる可能性がある訳です。
遺言者にしてみれば、遺言書の作成は、特定の相続人への相続分を、法定割合の2分の1(直系尊属のみ以外)とすることができ、思いをある意味達成できるのかもしれません。
問題は、遺産に加算する特別受益や、故人の不動産評価で、もめることになりやすいことです。
法改正で、遺留分は現金支払いとなっているのも、請求された相続人には大きな負担です。
遺言者と、少なくされた相続人との感情の問題は、仮に遺言書作成で解決しても、他の相続人さん相互の関係悪化は、遺留分侵害額請求をすることで、結果的にできてしまいます。
だから、筆者は「言わぬが花」で付言事項はなしに方向転換したしだいです。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)
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