2022年春に成人年齢が18歳に引き下げられ、さまざまな変化がありました。

中でも大きい一つが、18歳から自分の責任でローンを組めるという点ではないです。

「18歳からローンを組むときに注意すること」

「18歳でローンを組むために覚えておくべき3つのリスク」

現在、ネットや報道でも新成人に向けて、お金を借りることについてさまざまな記事があります。

具体的に何を注意し、どんなリスクがあるのでしょうか

この記事では「お金を借りて返せなくなったら、自分の身になにが起きて、最後にどんな結末になるのか?」を説明していきます。

お金を借りることへの不安を抱えているなら、返せなかったときの「バッドエンド」を知っておくのも大事です。

ここからはカードローンを例に、返済が遅れたところから、最後の「結末」と、さらにその後に待ち受けていることまで時系列で解説します。

基本的にはお金を借りて返せなかった場合に共通することが多いので、ぜひ覚えておいてください。

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バッドエンドまでのスケジュール

1. 督促~返済の催促は段階的にきびしくなる

2. 代位弁済~バッドエンドの結末

3. 代位弁済のあとで~あとのほうが大変

(1)  督促

ローンでも事業資金融資でも、借りているお金が返せなくなり、毎回の返済日に遅れることを「延滞」と言います

返済が延滞すると、お金を貸した銀行などから返済を求められるようになり、これが「督促(とくそく)」(返済の催促)と呼ばれます。

そして延滞は、その回数が増えて長期化するほど段階的に厳しくなっていきます。

督促レベル1:電話

督促も、初めのころは「返済をお忘れではないですか?」など問い合わせといったニュアンスです。

実際、返済を忘れてしまうことはありがちな失敗なので、いきなりきびしく言われることはありません。

ただし注意しなければいけないのは、絶対に督促を無視してはいけないという点です。

返済が遅れるようになり、電話で連絡したところ返済となった(「延滞が解消した」と表現します)場合は、それほどネガティブに記録されることはありません。

しかしながら、電話連絡で入金を督促されたのに入金しなかったり、電話に出なかったり(不在着信への折り返しをしない場合も)すると督促を無視したと記録される場合があるからです。

ここまで、記録と強調したのには理由があります。

お金を借りると、申し込みから返済している間、そして終わり(すべて返し終わる完済もおわりですし、代位弁済も一つの終わりです)まで、いろいろな情報が記録されていきます。

こうした融資に関する個人の信用に関して記録された情報が「個人信用情報」です。

個人信用情報とは「一人の人間がお金を借りて返すまでの通信簿」ともいえ、延滞やこの後説明する代位弁済などが記録されていきます。

督促レベル2:督促状

延滞の回数が増えたり、電話連絡でも返済しなかったりすると、今度は文書による督促が来るようになります。

ここでも文体はあくまで丁重ですが「このまま返さないと大変なことになるよ」という内容はしっかりと盛り込まれています

ここでも督促状を無視してはいけない理由は電話連絡と同様ですが、文書で督促されると事態はさらに緊迫度を増したことになるので注意が必要です。

銀行からの郵便物について

ちなみに銀行や消費者金融などから郵送される督促状などの文書は、本人のもとに届けば内容を伝えたことになることを、覚えておいてください。

例えば督促状などは「転送不要」という形式で郵送するのが一般的です。

転送不要とは、転居や転勤などで郵便の転送届を出していたとしても、転居先への転送をしてもらえない取り扱いのことです。

督促状を転送不要で郵送して、届け出住所にちゃんと配達されれば、銀行などの債権者は、そのことで督促状を受け取ったと見なします。

また「転居先不明」などで郵便物が返却されてきても、債権者は督促状を発送したことで相手にその意思を伝えたと考えます

これを「送達」と言い、督促状を郵送したなら、実際に本人が目を通したかどうかは関係なく、本人が受け取って内容も承知したことになるのです。

たとえば転勤などで長期間家を空けるのに郵便局へ転送届を出さなかったり、銀行に住所変更の連絡をしなかったりしていると、督促状が郵便受けに放置されたまま、あるいは債権者に返却になる恐れもあります。

もちろんこのようなケースでも、転居したことを銀行など債権者に伝えていなかった場合には、対応は厳しいまま変わらないので注意してください。

第17条(届出事項の変更)
  1. 借主は氏名、住所、勤務先、勤務地、電話番号その他の当行に届け出た事項に変更があったときは直ちに当行所定の方法により届け出るものとします。
  2. 借主が前項の届出を怠ったため、当行が借主から最後に届出のあった氏名、住所にあてて通知または送付書類を発送したにもかかわらず、延着または到達しなかった場合には、通常到達すべきときに到達したものとします。また、借主の責めに帰すべき理由により配達された郵便物が受領されないなどの場合も同様とします。(MUFG三菱UFJ銀行

(2) 代位弁済

電話連絡、文書の督促でも延滞が続いた場合には、代位弁済に進みます。

カードローンや住宅ローン、またそれぞれの銀行や保証会社によって代位弁済になる状態(これを「代弁適状」代位弁済を適用できる状態と呼びます)は異なりますが、多くの場合延滞の回数が基準を超え、督促しても改善されない場合には代位弁済となってしまいます

預金凍結 ~ 代位弁済の前に

代弁が決まると、その銀行にある預金は入出金などすべての取引ができなくなり凍結されてしまいます。

これは銀行系カードローンの場合に起こることですが、銀行が保証会社に代位弁済で債務を全額肩代わりしてもらうときに、まず銀行の預金口座にあるお金をカードローンの融資金返済に充当させます。

これを「預金の相殺(ソウサイ)」といいますが、相殺する前に預金を取引不能にしないと、本人に出金されてお金がなくなってしまう恐れがあるからです。

ちなみにこうした処理は銀行のスケジュールで実施され、本人が知らないうちに預金凍結されてしまうのが一般的です。(事前に本人が知れば出金されるから)

給料も引き出しできないことがある

凍結の場合、預金口座はその人が銀行に持つ全支店・すべての口座を凍結します。

預金凍結されると銀行に給料の受取口座があると、非常に困る場合があります。

なぜなら預金凍結の対象には給料の振り込みも含まれるので、勤務先が給料を振り込んだのに、入金されずに返却されてしまうことがあるからです。

この場合には、銀行から勤務先に対して給料振り込みができなかったと連絡されるので、会社から事情を聞かれたり、会社の人事担当者が銀行に問い合わせて預金凍結が発覚してしまったりする恐れもあります。

経験豊富な人事担当だと、こうしたケースはよくあることで感づかれてしまうことがあります。

また給料が振り込まれたあとで預金凍結されると、すぐには出金できなくなってしまう場合もあります

給料は生活の根源なので、たとえ代位弁済の予定になっていたとしても、給料を全額相殺されるケースはまずありません

しかしこの場合も、出金させてもらえる日時を銀行から指定され、原則として窓口が営業している時間に本人が来店するなど、すべて銀行の指示に従わなくてはいけません

給料が振り込まれてから預金凍結されても、本人から依頼がなければ出金対応されることはありません

ですから連絡しないで(あるいは忘れてしまうと)代位弁済で相殺されてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

代位弁済の処理

代位弁済の事務的な流れは以下の通りです。

1. 保証会社から資金(代位弁済金)が銀行に振り込まれる

2. カードローンの残金と利息、損害金が精算され、銀行のカードローンは消滅する

3. このとき本人の預金があれば相殺して返済に充当する(前述・金融機関の場合)

4. ローン用のカードや、相殺された口座の通帳・キャッシュカードは使用できなくなる

5. 代位弁済された事実が記録される

(3) 代位弁済のあとで

カードローンや住宅ローンなど保証会社の保証がある融資では、このように代位弁済により融資残金を保証会社が全額肩代わりします。

肩代わりとは言っても、もちろん融資がなくなるわけではありません。

代位弁済されたあとは、保証会社に返済をしていくことになります。

そして個人信用情報に代位弁済の事実が記録され、これがもっと「大変なこと」なのです。

個人信用情報と「金融事故」

個人信用情報とは、ローンやクレジットを扱う銀行などの金融機関、信販会社や消費者金融が加盟する情報登録機関に、返済状況や事故(代位弁済や失踪、自己破産などを「事故」または「金融事故」と呼びます)の事実が記録されるものです。

金融機関や信販会社では、新しい融資やクレジットの申し込み審査で、この個人信用情報をチェック(「照会する」とも)します

ちなみにローンやクレジットの申込書やサイトの申込みページで「個人情報の取扱いに同意しますか?」というチェック欄を見たことがあると思いますが、この時に同意することで個人信用情報をチェックされることに同意したことになるのです。

異動、ブラックリスト

個人信用情報にはさまざまな事実が一定期間記録されますが、(通常とは異なる動きという意味で)延滞や代位弁済などの事故は「異動」(または「異動情報」)として登録されます。

異動は信用情報機関(*)であるCICの場合で、信用情報機関により呼称は異なります。

個人信用情報に異動の記録があると、融資の審査ではまず間違いなく審査落ちとなります

これが俗に「返済できなかったらブラックリストに載る」と言われることです。

実際にはブラックリストなどというものは存在しないのですが、ここまで説明したローンの代位弁済や自己破産など「お金を借りて返せなかった過去があると、次の融資は非常に困難になる」ことはぜひ覚えておいてください。

*信用情報機関:個人信用情報を取り扱う専門の情報機関で、クレジットカードなどの情報を扱う「CIC」、消費者金融や信販系の「JICC」、銀行融資関連の「KSC」などが代表的です)

参照:個人信用情報のCIC/信用情報とは

バッドエンドを迎えないために

ご利用は計画的に

新成人に銀行員からお伝えしたいのは、この一言に尽きます。

「なんだ、当たり前のことじゃない」と感じられるかもしれませんが、この「ご利用は計画的に」にはいくつもの教訓、アドバイスが凝縮されているのです。

・ 借りる前に、いくら借りれば足りるか? 借り過ぎていないか計画する

・ お金を借りて何回(何年)で返していくか?を計画する

・ 返済が長期になるなら、結婚や転職など将来も考えて、返し続けていけるか計画する

・ どうしても返せないときは、他に借金することなどはせず、親や兄弟など身内に相談して助けてもらえそうか? 考えてみる

これ以外にも、計画はいくつでも、そしてその人それぞれにあると思います。

お金を借りるのは悪いことではありません。

大事なのは「借りても返せるか?」をしっかり考えて決断することです。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 【成人年齢18歳】お金を返せないとどうなる? バッドエンドまでのカウントダウン