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節税効果の高い「現金以外」の贈与財産2つ 110万以上でも結果的に無税となるケースも
遺言書の作成をお手伝いすれば、当然、費用が発生します。
実は、それだけではないのです。
財産目録を作成すれば、対策のための保険、不動産活用の提案。
実際に相続が発生した時に、相続人以外の第三者が遺言執行者になっていれば、遺言執行費用がかかります。
これが、それなりの金額です。
会計事務所が絡んでいれば、相続税申告の受注にもつながります。
遺言書作成時の手数料よりも、将来の相続発生時に、相続手続き、申告、遺産の活用、土地売却・活用などビジネスチャンスの見込み先となるのです。
もちろんそれ自体は、相続人にとっても、もしもの時の依頼先の確保といった意味で悪いことではありませんが、業界的にはそういった意味合いもあるわけです。
筆者が、遺言書作成に疑問を投げかけるには、実務体験で、苦い思いをしているからです。
そもそも、「遺言書を作成する=他の相続人に、けんかを売る事」だと思うのです。
遺言書があれば、相続人全員の署名押印がなくても遺産分割をすることができます。
でも、遺産分割でもめたら法定割合になるのが、遺言があれば、遺留分として請求できるは法定割合の1/2です(相続人が直系尊属のみの場合は1/3)。
また兄弟姉妹には遺留分がなく、遺言書の作成=他の相続人との不公平となる訳です。
せっかく書いた遺言書が、形式不備で無効になってはいけません。
そこで書き方の本はよくあります。
また遺留分に配慮しておけば、遺留分侵害額を請求されないかもしれませんが、法定割合より少なかった相続人にすれば、遺言書があるため法的に遺留分以上請求できなかったにすぎず、少なかった相続人にしてみれば円満相続ではないわけです。
遺留分の額も意外にもめる要素です。
まず遺産に、不動産があれば、その評価は、必ずしも相続税評価で遺留分の計算をするわけではありません。
また、遺留分算定の基礎となる財産額には、10年以内の生前贈与(特別受益とみなされる)が加算されます。
そのため、現在、相続税対策で暦年贈与が注目ですが、相続人間に不公平がでる贈与を行っていると、争族の原因となり、通帳の履歴の開示を求められることもあります。
そのため、遺言書があれば、安泰な訳ではありません。
※特別受益とは、民法903条に「…婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与…」とありますが特別受益の判断は争点になりやすいです。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)
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