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障害手当金とは、病気やケガで障害を負った場合、その障害の程度が障害年金の対象とならない程度に軽い障害が残った時に、一時金として支給されるものです。
支給額は、障害厚生年金3級支給額の2倍の金額で最低保証額として、117万2,600円(令和3年10月現在)支給されます。
この制度は、厚生年金特有の制度で、国民年金だけに加入(自営業者・フリーランスの方や会社員・公務員に扶養されている配偶者)している方には、障害手当金の制度はありません。
障害手当金をもらうためには、下記の要件を満たしていることが必要です。
・ 厚生年金に加入していて、その加入期間中に初診日があること
・ 初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと、または年金加入
期間中のうち保険料の滞納期間が3分の1未満であること
・ 初診日から5年経過までの間に、その病気やケガが治っていること
・ 病気やケガが治ったときに、障害認定基準の障害手当金に該当する障害の状態であること
参照:厚生労働省(pdf)
・ 病気やケガが治ってから、5年以内に請求をすること
・ 治った日に厚生年金、国民年金(障害、老齢、遺族)の受給権者でないこと
・ 治った日に同じ傷病で、労働基準法・労災補償保険法・船員保険法による傷害補償、公務員の災害補償に関する補償を受けていないこと
障害手当金の申請は、障害の状態よりもその症状が完治し、どの程度固定されたかが問題となります。
だから、症状が固定したと主治医が確認をしたら、即申請ができます。
申請は、ダラダラと引き延ばしてしまうと、5年の時効にかかってしまいますので、治って症状が固定した日から5年以内にしましょう。
申請は、障害厚生年金の申請として行います。
「年金がもらえるほどの状態ではない」と言う方もいるかもしれませんが、障害年金の対象となるのか、障害手当金の対象となるのか、または認定されないのかの違いだけで、決めるのは審査をする日本年金機構の認定医です。
受給ができるかどうかを判定する書類ですので、かなりボリュームがあり、書いた内容も重要なポイントとなります。
最近多い精神疾患とがんについて説明をします。
障害手当金の対象となる障害の状態について、がんであれば「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」に該当します。
精神疾患であれば「精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加える ことを必要とする程度の障害を残すもの」に該当するのではという意見があります。
しかし、ほとんどのケースでは、両方とも障害手当金の対象とはなりません。
なぜなら、精神疾患やがんのケースでは、完治の判断が非常に難しく、また障害の状態が固定するわけではなく、その時々の状態で変わっていくからです。
何度も言いますが、障害手当金は症状が完治し、その状態が固定した場合に受給できるのです。
では、どうなるかというとズバリ障害年金の対象となります。
精神疾患で言えば、うつ病、双極性障害、統合失調症等その状態が続いて労働に支障をきたせば、年金の対象となります。
また、がんも初期の段階では無理なケースが多いのですが、末期に近づくとさまざまな症状がでてくるため、障害年金の認定基準に該当するようです。
よく言われているのが、
というものです。
これは、間違いです。
症状が固定したのにさらに悪くなるのはありえないということからまかり通っているようです。
いくら症状が固定しても、日常生活を送る中で障害の状態が、悪化するのは起こりうることです。
ただしこの場合、「完治して症状が固定した」という認定が間違っていたことになりますので、障害手当金を返して、新たに障害年金の支給を受けることになります。
この障害手当金の返納に関しては、さまざまなケースがありますので、年金事務所に問い合わせることをお勧めします。
病気やケガで障害を負ってしまった場合、受給できる障害手当金。
重要なことは、治って症状が固定したことです。
症状が固定したかどうかは、主治医が確認しますが、申請をしても「固定していない」と判断されて申請が通らないケースが多々あります。
申請をする前に本当に症状が固定したかどうかを主治医に確認をし、それとともに主治医に書いてもらう書類の内容の確認も、認定を受けるためには重要なポイントとなります。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)
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