1. プロパーローンとは
  2. プロパーローンと一般的な不動産投資ローンの違い
    1. 資金使途
    2. 契約形態
    3. 保証会社(保証料)の有無
    4. 借入金額の上限
    5. 借入期間
    6. 審査基準
    7. 審査期間
    8. 金利
  3. プロパーローンのメリット3選
    1. 保証料不要でコストを抑えられる
    2. 金利を抑えられる場合がある
    3. 融資限度額がない
  4. プロパーローンのデメリット3選
    1. 審査基準が厳しい傾向にある
    2. 返済期間が短くなりやすい
    3. 連帯保証人が必要なケースが多い
  5. プロパーローンを利用するケース
  6. プロパーローンを利用しない方がいいケース
  7. プロパーローンの審査に通りやすい人の5つの特徴
    1. 頭金を多く準備できる
    2. 個人の信用度が高い
    3. 投資用物件の収益性が高い
    4. プロパーローンの用途をはっきりと伝えている
    5. 借入希望額をできる限り少なくする

プロパーローンは金融機関が保証会社を付けずに独自の基準で提供するローンであり、一般的な不動産投資ローンとは異なる特徴を持っています。

そこで本コラムでは、プロパーローンとはなにか、一般的な不動産投資ローンとの違いやプロパーローンのメリット・デメリットを解説します。不動産投資を検討中の方はぜひ最後までご覧ください。

プロパーローンとは

(画像:PIXTA)

プロパーローンとは保証会社の保証を付けずに金融機関のリスク負担で貸し出すローンです。一般的にそれぞれの金融機関が自社の資金とリスクを負って貸し出すため、標準化された商品とは異なりニーズに合わせて柔軟に設定されることが特徴です。

プロパーローンと一般的な不動産投資ローンの違い

不動産投資ローンは家賃収入が得られる投資用物件の購入をするための専門的なローンですが、プロパーローンは幅広い用途でも利用できる点で大きく異なります。

さらに、プロパーローンは融資ごとに条件や内容が異なる「オーダーメイド型」であり、一般的な不動産投資ローンはある程度条件や内容が決まっている「パッケージ型」であることが多いです。

ここではプロパーローンとアパートローンの具体的な違いを8つご紹介します。

プロパーローン一般的な不動産投資ローン
資金使途明確な制限なし投資用物件の購入
契約形態オーダーメイド型パッケージ型
保証会社(保証料)の有無なしあり
借入金額の上限金融機関、案件毎に異なる年収の7~10倍(金融機関によって異なる)
借入期間個別で設定(短めになることが多い)法定耐用年数(35年)以内
審査基準金融機関で独自投資用物件の資産価値や収益性、本人の属性など
審査期間1か月以上かかることもある1ヵ月程度
金利明確な金利相場がない変動金利で1~3%台
固定金利で1~5%台

なお、不動産投資ローンについては、以下のコラムで詳しく解説しています。
【関連記事】不動産投資ローンとは|組む理由と注意点、融資で重視される項目を解説

資金使途

プロパーローンは資金使途に明確な制限はなく、借り入れた資金を不動産購入以外に利用することが可能です。一方で不動産投資ローンは資金使途が家賃収入を得られる投資用物件の購入に限定されています。

契約形態

プロパーローンの契約形態は審査基準・金利・融資金額などは金融機関や案件毎にオーダーメイドで設計されます。一方で不動産投資ローンは金利や融資条件がある程度決まっているパッケージ型が一般的となっており、案件に関わらず大きく変わらないことが多いです。

保証会社(保証料)の有無

プロパーローンは保証会社が不要なために保証料の支払いが必要ありませんが、不動産投資ローンは一般的に保証会社の保証が必要で、保証料が発生します。保証料は一括で支払う場合は借入金額の約2%、金利に上乗せする場合は約0.2%~0.3%の利息を支払います。 なお、不動産投資ローンで金融機関に対して保証会社から弁済をしてもらった場合でもローン利用者の債務がなくなるわけではなく、保証会社に債務を返済することになります。

借入金額の上限

プロパーローンは金融機関によって案件ごとに独自に査定をするため、借入金額の上限が設定されていないことが多いです。一方で不動産投資ローンは金融機関によって基準は異なりますが、年収の7~10倍が条件となっていることが一般的です。

借入期間

プロパーローンの借入期間は融資期間が明確に決められていませんが、金融機関側でリスクを抑えるために短めの期間となることが多いです。 一方で不動産投資ローンは購入する投資用物件の法定耐用年数以内となっており、最長35年が一般的です。

審査基準

プロパーローンの審査は、金融機関のみが事業の収益性などを総合的に判断した上で自社のリスクで融資を行います。一方で不動産投資ローンでは保証会社の審査もあり、投資用物件の資産価値や収益性、本人の属性などが審査の基準となります。

審査期間

プロパーローンの審査期間は金融機関独自で個別に審査をするために、金融機関によって異なりますが長くて1カ月以上かかることもあります。一方で不動産投資ローンはパッケージ型として商品化しており、審査手続きも定型化しているために早くて数週間で終わることがあります。

金利

プロパーローンの金利は案件ごとに設定されるために明確な金利相場はありませんが、不動産投資ローンの金利よりも低い条件で融資を受けられることがあります。一方で、不動産投資ローンはあらかじめ金利が設定されているのが一般的です。金融機関によって異なりますが、変動金利で1~3%台、固定金利で1~5%台が相場となっています。

プロパーローンのメリット3選

(画像:PIXTA)

ここまでプロパーローンと一般的な不動産投資ローンの違いを紹介しました。ここでは、プロパーローンを利用するメリットを解説します。

  • 保証料不要でコストを抑えられる
  • 金利を抑えられる場合がある
  • 融資限度額がない

保証料不要でコストを抑えられる

プロパーローンの一番のメリットは保証料不要でコストを抑えられる点です。一般的な不動産投資ローンを受ける際には信用保証協会や保証会社に対する保証料が発生します。保証料は借入金額に応じて保証料の負担も大きくなるのが一般的です。そのため、融資を受けるための追加コストである保証料を削減できることは経済的に大きなメリットとなります。

金利を抑えられる場合がある

プロパーローンは、不動産投資ローンよりも低金利で融資を受けられることがあります。プロパーローンは金融機関が独自の基準で審査・提供するため、個人の信用状況や担保の評価などに基づいて柔軟に条件が設定されます。そのため、収益性の高い物件や事業者の信用度が高い場合は、金融機関はリスクが低いと判断し、金利を低く設定することがあります。

さらに、プロパーローンは個別の交渉が可能であり、特に金融機関の関係が良好であれば優遇されるケースもあります。例えば、既存の取引実績があり、金融機関との信頼関係が強い場合は不動産投資ローンよりも低金利での借り入れができる可能性があります。

融資限度額がない

プロパーローンのメリットとして融資限度額がない点も挙げられます。プロパーローンは金融機関独自の基準で提供されるため、パッケージ化された一般的な不動産投資ローン商品と異なり、特定の上限額が設定されていない場合があるためです。融資限度額がないとはいえ、実際の融資額は金融機関の判断に依存するためにしっかりと不動産の価値を伝え、金融機関と信用を築くことも重要です。

プロパーローンのデメリット3選

プロパーローンを利用するメリットを解説しました。次に、プロパーローンを利用する場合のデメリットを解説します。

  • 審査基準が厳しい傾向にある
  • 返済期間が短くなりやすい
  • 連帯保証人が必要なケースが多い

審査基準が厳しい傾向にある

プロパーローンは一般的に審査が厳しくなる傾向があります。なぜなら、プロパーローンは金融機関が独自の基準で審査して自己責任でリスクを管理するため、貸し倒れのリスクを最小限に抑えるために詳細な評価をするためです。

長期の融資で実績があることやその他ローンの返済状況が良好であること、不動産などの確実な担保が確保できることなど金融機関がリスクを取っても融資したいと思わせる材料が必要です。そのため、プロパーローンを利用する際は不動産の運用予測の資料など事前に十分な準備を行い、信用力を高めることが重要です。

返済期間が短くなりやすい

プロパーローンのデメリットの一つとして返済期間が短くなりやすい点も挙げられます。プロパーローンは金融機関がリスク管理を厳格に行うために返済期間が一般的な不動産投資ローンよりも短く設定されることがあります。

返済期間が短くなると毎月の返済額が大きくなり、資金繰りが厳しくなる可能性があります。また、短期返済のプレッシャーから転職などの大きな決断がしにくくなることもあるでしょう。そのため、投資用物件の運用計画と返済計画を慎重に立て、事前に金融機関としっかり相談し、返済期間や条件について十分に検討することが重要です。

連帯保証人が必要なケースが多い

プロパーローンでは連帯保証人が必要なケースがあることも注意が必要です。返済能力に不安がある場合や団体信用生命保険に加入しないまたは年齢などの条件で加入できなかった場合に、連帯保証人を立てる必要があります。

連帯保証人は返済不能に陥った際に連帯保証人が代わりに債務を返済しなければなりません。そのため、連帯保証人を探す手間やそもそも連帯保証人を見つけることが難しい場合があります。

プロパーローンを利用するケース

前述のようにプロパーローンにはメリットとデメリットがありますが、実際にプロパーローンを利用するのはどういう場合でしょうか。プロパーローンを利用するのは以下のようなケースで多いです。

  • 金利、保証料を抑えたい場合
  • 事業の拡大等で多くの資金が必要な場合

プロパーローンは保証料が不要で金利も一般的な不動産投資ローンよりも低いことが多いため、コストを抑えたい人にとって魅力的です。さらに、融資限度額の上限がないために不動産投資ローンの限度額を超えて資金を調達したい場合にも利用されます。

一方、金利も含めたトータルの支払いよりも月々のキャッシュフローを気にする人はプロパーローンが魅力的ではないかもしれません。なぜなら、プロパーローンは不動産投資ローンよりも金利や保証料を抑えられますが融資期間が短めに出る傾向があり、月々の返済が多くなってしまう可能性があるためです。

プロパーローンを利用しない方がいいケース

プロパーローンを利用しない方がいいケースは以下の場合が多いです。

  • トータルの支払いよりも月々のキャッシュフローを気にする場合
  • 個人の属性に不安がある場合

プロパーローンは一般的な不動産投資ローンよりも金利は安いですが、融資期間が短めに出ることがあるために月々の返済額が高くなる可能性があります。また、一般的な不動産投資ローンよりも審査基準が厳しい傾向にあるため、例えば、安定した収入がない場合や信用情報に問題がある場合は審査に通るのが難しいことがあります。

そのため、プロパーローンの利用は将来のキャッシュフローも含めて慎重に検討し、自分の経済状況や投資経験を十分に考慮した上で利用することが重要です。

プロパーローンの審査に通りやすい人の5つの特徴

(画像:PIXTA)

プロパーローンは金融機関にとって貸し倒れリスクがあるため厳しく審査をされます。ここではプロパーローンの審査に通りやすい人の特徴を5つご紹介します。

  • 頭金を多く準備できる
  • 個人の信用度が高い
  • 投資用物件の収益性が高い
  • プロパーローンの用途をはっきりと伝えている
  • 借入希望額をできる限り少なくする

頭金を多く準備できる

頭金を多く準備できることでプロパーローンの審査に通りやすくなることがあります。頭金とは不動産を購入する際に売主に対して支払う資金のことですが、頭金を多く準備できれば借入金額が減り、金融機関の貸出リスクが軽減されるためです。さらに、頭金があることは資金を適切に管理し、将来のリスクに備える能力があることを示すこともできます。金融機関は安定した収入源など個人の財務状況を総合的に評価するため、返済ができなくなるリスクが少ない人と判断してもらえます。

個人の信用度が高い

個人の信用度を高くすることで融資審査を通過しやすくなり、より有利な融資条件を得ることができます。個人の信用度とは過去の借入履歴や返済能力、収入などに基づいて金融機関が個人の返済能力を評価する指標です。例えば、前述のように自己資金や金融資産が多い、勤務先が上場企業や年収が高い、勤務先の経営が安定しているなどの場合には返済する能力があると判断されます。

投資用物件の収益性が高い

投資用物件の資産価値が高いことも審査を有利にするポイントです。投資用物件の資産価値とは、その物件が賃貸や売却などによってどれだけ収益を生み出すかを示す指標です。物件自体の魅力だけでなく、人口密度の高いエリアや交通アクセスの良い場所などそのロケーションも重要です。こうした投資用物件は入居者や購入者が多く見込めるため、資産価値が高いと判断される傾向があります。

プロパーローンの用途をはっきりと伝えている

プロパーローンの借り入れをする目的を明確に伝えることで審査に通りやすくなります。融資の目的が明確であると金融機関は個人の信頼性や返済能力をより正確に評価でき、融資のリスクが最小限に抑えられると判断されるためです。

用途を聞かれた際に「リフォームに使う予定です。見積金額が○○万円であり○○万円の融資が必要で、リフォームによる賃料増加、空室改善で○○円回収できる」など、具体的に伝えると審査に通りやすくなるでしょう。

借入希望額をできる限り少なくする

借入希望額をできる限り少なくすることも審査が通りやすい人の特徴です。前述の頭金のように借入希望額が少ない場合、金融機関は融資のリスクが低いと判断するためです。さらに、金融機関は融資額が少ないほど万が一貸倒れが発生した場合でも被害を最小に抑えられます。そのため、金融機関は融資の条件を緩和しやすくなり、審査の通過率が高くなるでしょう。

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情報提供元: manabu不動産投資
記事名:「 プロパーローンとは?不動産投資ローンとの違いや審査に通る人の特徴を紹介