週明け31日の香港市場は、主要55銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比27.39ポイント(0.09%)高の29151.80ポイントと続伸し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が95.57ポイント(0.89%)高の10889.12ポイントと3日ぶりに反発した。売買代金は1522億3500万香港ドルとなっている(28日は1727億4300万香港ドル)。


中国本土の株高が相場を支える流れ。上海総合指数が中盤からプラスに転じる中、ハンセン指数もそれに連れ引けにかけて買いが優勢となった。人民元高の進行、新型コロナウイルスワクチンの接種ペース拡大などが手がかり。中国国家衛生健康委員会の専門家チームトップを務める鍾南山氏によれば、中国コロナワクチン接種率は2021年末までに約80%に達する可能性があるという。経済活動の早期正常化も期待される状況だ。なお、朝方公表された5月の中国指標では、製造業PMIがやや下振れる半面、非製造業PMIはやや上振れている。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、飲食ポータルサイトの美団(メイトゥアン:3690/HK)が10.9%高、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス:2269/HK)が5.4%高、医薬品メーカーの石薬集団(1093/HK)が4.5%高と上げが目立った。美団が公表した1〜3月期決算は赤字幅が拡大したものの、嫌気する売りは限定的。売上高が予想を上回ったこともあり、先行きの業績成長に対する期待感が広がった。


「ニューエコノミー」関連銘柄もしっかり。ITやハイテクなどで構成されるハンセン科技指数は1.8%高と反発した。主要な構成銘柄では、上記した美団のほか、騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が2.9%高、百度集団(バイドゥ:9888/HK)が2.5%高、小米集団(シャオミ・コーポレーション:1810/HK)が2.3%高、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が1.7%高と値を上げている。


医薬品セクターも高い。上述した薬明生物技術や石薬集団のほか、四環医薬HD集団(460/HK)が10.8%、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス:6185/HK)が8.5%、百済神州(ベイジーン:6160/HK)が8.9%、広州白雲山医薬集団(874/HK)が4.2%ずつ上昇した。


他の個別株動向では、子供用品大手の好孩子国際HD(グッドベビー・インターナショナル・ホールディングス:1086/HK)が30.9%高。中国の産児制限緩和が材料視された。


半面、空運やカジノのレジャー関連はさえない。中国南方航空(1055/HK)が4.7%、中国東方航空(670/HK)が4.1%、中国国際航空(753/HK)が3.6%、国泰航空(キャセイ航空:293/HK)が1.3%、銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント:27/HK)が3.2%、金沙中国(サンズ・チャイナ:1928/HK)が2.8%ずつ下落した。


そのほか、重電グループ大手の上海電気集団(2727/HK)が17.8%安と急落。同社は30日、子会社の上海電気通訊技術について、ある顧客に対する売掛金の回収が困難となっていると公表した。未回収となれば、グループ全体で83億人民元(約1430億円)の損失を計上する恐れがあるという。


一方、本土市場は反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.41ポイント高の3615.48ポイントで取引を終了した。ハイテク株が高い。医薬品株、紙パルプ株、非鉄株、防衛関連株、公益株、不動産株、自動車関連株の一角なども買われている。半面、金融株は安い。運輸株、エネルギー株も売られている。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 31日の香港市場概況:ハンセン0.1%高で続伸、美団11%上昇