8日の香港市場は、主要55銘柄で構成されるハンセン指数が前日比333.27ポイント(1.16%)高の29008.07ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が38.90ポイント(0.35%)高の11109.48ポイントとそろって反発した。売買代金は2811億2700万香港ドルに拡大している(7日は1710億500万香港ドル)。


経済回復期待が改めて意識される流れ。足もとで公表された中国の経済指標は良好な内容が多く、主要企業の業績も上向きつつある。6日に発表された3月の財新中国サービス業PMI(民間集計)は54.3となり、予想以上に前月から改善した。先行して発表された同月の財新製造業PMIは下振れたものの、景況判断の分かれ目となる50は11カ月連続で超過。国家統計局などが集計・公表した製造業PMIと非製造PMIも、予想を大きく上回っている。また、世界経済をけん引する米国で、金融緩和策の長期化観測が強まっていることもプラス材料だ。中国の金融引き締めを警戒した売りが先行したものの、下値は堅く、指数は中盤からプラスに転じている。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が7.1%高、電動工具メーカー大手の創科実業(テクトロニック・インダストリーズ:669/HK)が5.6%高、生命保険業務のAIAグループ(1299/HK)が6.2%高、乳製品メーカー中国大手の中国蒙牛乳業(2319/HK)が4.4%高と上げが目立った。


セクター別では、食品飲料や酒造、家電など消費関連が高い。上記した中国蒙牛乳業のほか、統一企業中国HD(ユニプレジデント・チャイナ:220/HK)が6.2%、康師傅HD(ティンイー:322/HK)が1.4%、青島ビール(168/HK)が4.5%、華潤ビールHD(291/HK)が3.7%、百威亜太HD(バドワイザーAPAC:1876/HK)が3.5%、海信家電集団(921/HK)が4.2%、創維集団(スカイワース・グループ:751/HK)が1.5%ずつ上昇した。


非鉄セクターもしっかり。新疆新キン鉱業(3833/HK)が7.1%高、江西銅業(358/HK)が5.4%高、中国アルミ(チャルコ:2600/HK)が4.4%高、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が2.2%高と値を上げた。政府の環境対策による生産調整で、市況が引き締まると期待されている。非鉄金属業界では、中国有色金属工業協会が6日、北京市内で第4回第1次会員代表大会を開催。その席上で、ある幹部が「中国当局は『非鉄業界のカーボンピーク実施案』の策定に入った」などと現状を説明した。


他の個別株動向では、石炭生産で国内2位の中国中煤能源(1898/HK)が2.8%高。同社は第1四半期利益が3倍に膨らむとの見通しを示している。

半面、中国不動産セクターはさえない。万科企業(2202/HK)が3.7%安、融創中国HD(1918/HK)が2.4%安、合景泰富集団HD(KWGグループ・ホールディング:1813/HK)が2.2%安で引けた。財政部が7日、不動産税導入の方針を明らかにしたことが嫌気されている。


そのほか、インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が1.5%安(寄り付きは2.5%安)。筆頭株主でオランダ電子商取引(Eコマース)会社のプロサスは、保有するテンセント株の一部、1億9200万株を前日終値からディスカウントした価格で売却した。出来高は概算2億4738万株に膨らんでいる(前日は2717万8000株)。


一方、本土市場は3日ぶりに反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.08%高の3482.55ポイントで取引を終了した。素材株が高い。消費関連株、医薬品株、エネルギー株、海運株、保険・証券株なども買われた。半面、不動産株は安い。銀行株、公益株、インフラ関連株、ハイテク株の一角も売られた。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 8日の香港市場概況:ハンセン1.2%高で反発、消費関連に買い