24日の香港市場は、主要55銘柄で構成されるハンセン指数が前日比579.24ポイント(2.03%)安の27918.14ポイントと4日続落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)も263.20ポイント(2.37%)安の10847.98ポイントと続落した。ハンセン指数は1月11日以来、約2カ月ぶりの安値水準に落ち込んでいる。売買代金は1901億7100万香港ドルにやや拡大した(23日は1665億8400万香港ドル)。


投資家心理が悪化する流れ。香港政府は24日、「独ビオンテック製の新型コロナウイルス感染症ワクチン『Comirnaty』のパッケージに不具合が見つかった」との通知を受けたため接種を一時停止すると発表した。マカオでも同様に一時停止している。世界経済の回復遅れも懸念。メルケル独首相は23日、コロナ感染拡大を阻止するため、ロックダウン(都市封鎖)を4月18日まで延長すると発表した。すでにフランスも首都圏でロックダウンを再導入している。また米国では、新規感染者数の減少ペースが鈍り、半数近くの州で増加に転じている状況だ。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄はほぼ全面安(55のうち52が下落)。民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)が11.8%安、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が5.8%安、スポーツシューズ生産・販売の安踏体育用品(ANTAスポーツ・プロダクツ:2020/HK)が4.9%安と下げが目立った。吉利汽車に関しては、決算内容の下振れに加え、上海「科創板」重複上場計画の難航観測が引き続き売り材料視されている(前日は6.6%安)。同社株は年初来安値を切り下げた。


セクター別では、海運・空運が安い。太平洋航運集団(2343/HK)が9.0%、中遠海運HD(1919/HK)が8.9%、東方海外(オリエント・オーバーシーズ:316/HK)が5.1%、中遠海運能源運輸(1138/HK)が4.9%、中国南方航空(1055/HK)が7.4%、中国国際航空(753/HK)が6.7%、中国東方航空(670/HK)が5.5%、国泰航空(キャセイ航空:293/HK)が4.7%ずつ下落した。


非鉄セクターも急落。江西銅業(358/HK)が9.4%安、中国アルミ(チャルコ:2600/HK)が8.3%安、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が7.9%安、江西カン鋒リ業(ガンフェン・リチウム:1772/HK)が4.8%安、新疆新キン鉱業(3833/HK)が4.2%安と値を下げた。商品市況安が重荷。この日の上海期貨交易所(上海商品先物取引所)では、銅やアルミなどの先物価格が下落した。


スマートフォン部材・組立の銘柄群もさえない。上記した舜宇光学科技のほか、高偉電子(1415/HK)が5.6%安、富智康集団(FIHモバイル:2038/HK)が4.3%安、瑞声科技HD(AACテクノロジーズ・ホールディングス:2018/HK)が4.2%安、丘タイ科技(Qテクノロジー:1478/HK)が2.8%安、小米集団(シャオミ・コーポレーション:1810/HK)が2.5%安で取引を終えた。


半面、天然ガス関連の銘柄はしっかり。昆侖能源(クンルン・エナジー:135/HK)が4.6%、中国燃気HD(中国ガス:384/HK)が2.1%、港華燃気(タウンガス・チャイナ:1083/HK)が1.0%、新奥能源HD(ENNエナジー:2688/HK)が0.6%ずつ上昇した。昆侖能源が公表した通期決算では、9.2%の増益率を達成し、市場予想を上回っている。特別配当の実施方針も決めた。


一方、本土市場は続落。主要指標の上海総合指数は、前日比1.30%安の3367.06ポイントで取引を終了した。素材株が安い。運輸株、インフラ関連株、不動産株、自動車株、ハイテク株、銀行・保険株なども売られた。半面、証券株は高い。天然ガスや発電の公益株も買われた。

亜州リサーチ(株)


<FA>
情報提供元: FISCO
記事名:「 24日の香港市場概況:ハンセン2.0%安で4日続落、吉利汽車12%安で下げ止まらず