21日の香港市場は値上がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比475.91ポイント(1.73%)高の27953.58ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が234.54ポイント(2.17%)高の11027.13ポイントとそろって4日続伸した。売買代金は1305億7500万香港ドルに拡大している(20日の売買代金は868億3700万香港ドル)。

中国の政策期待が広がる流れ。中国は内需の底上げに向け、新たな「消費の成長分野」を探る方針だ。国務院(内閣に相当)は20日、「消費体制構造を改善し、個人消費潜在力をさらに引き出すための若干意見」を正式に公布している。通貨高もプラス。香港ドルの対米ドル相場は今月上旬まで許容変動幅(7.75~7.85香港ドル)下限で推移していたが、徐々に上昇し、この日の午後には一時7.79香港ドル台に急騰した(前日は7.84香港ドル台)。上昇率は2003年9月以来の大きさとなっている。香港の各指数は為替の動きをにらみながら、上げ幅を拡大させた。

ハンセン指数の構成銘柄では、民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)が11.0%高、石炭最大手の中国神華能源(1088/HK)が6.7%高、香港不動産デベロッパー大手の新世界発展(17/HK)が5.8%高と上げが目立った。時価総額上位の金融株も買われている。吉利汽車は一部メディアに財務不安が指摘されていたものの、これを嫌気した売りは限定された。中国の消費刺激策が期待されている。新世界発展に関しては、20日発表の通期業績で純利益が前年比3倍に膨らんだことが改めて材料視されている。

業種別では、消費関連がしっかり。百貨店チェーン中国大手の百盛商業集団(パークソン・リテール:3368/HK)が8.2%高、ブタ肉生産で世界トップの万洲国際(WHグループ:288/HK)が5.8%高、乳製品メーカー中国大手の中国蒙牛乳業(2319/HK)が5.5%高家電量販チェーン中国大手の国美零售HD(493/HK)が5.3%高、白物家電大手の海信科龍電器(ハイセンス・ケロン・エレクトリカル:921/HK)が4.7%高、食肉・ハム加工大手の中国雨潤食品集団(1068/HK)が3.9%高で引けた。

空運・海運セクターも高い。中国南方航空(1055/HK)が6.9%、中国東方航空(670/HK)が6.5%、中国国際航空(753/HK)が6.4%、太平洋航運集団(2343/HK)が7.0%、中遠海運HD(1919/HK)が4.1%ずつ上昇した。ドル建て債務の比率が高い中国の空運各社にとって、元高は追い風。中国人民銀行(中央銀行)は朝方、人民元の対米ドル基準値を2日続けて元高方向に設定した。上海外国為替市場でも元高方向に進んでいる。

本土市場は急反発。主要指標の上海総合指数は、前日比2.50%高の2797.48ポイントで取引を終えた。大型金融株が相場をけん引。消費関連株や空運株、不動産株、医薬株、自動車株、インフラ関連株なども物色された。

【亜州IR】



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情報提供元: FISCO
記事名:「 21日の香港市場概況:ハンセン1.7%高で4日続伸、吉利汽車が11%上昇