28日の中国本土市場は値下がり。主要指標の上海総合指数は、前日比26.28ポイント(0.93%)安の2786.90ポイントと4日続落した。約2年4カ月ぶりの安値水準を切り下げている。上海A株指数も下落し、27.60ポイント(0.94%)安の2918.63ポイントで取引を終えた。

米中貿易摩擦の警戒感が投資家心理を冷やす流れ。中国企業による対米投資制限を巡っては、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が「大統領は中国に対する姿勢を緩めていない」と発言している。7月上旬に開催される見通しの米中通商会議に関しても、協議は難航するとの不安感が改めて強まった。人民元安の進行も、引き続き売り材料視されている。

時価総額上位の金融株が下げを主導。中国工商銀行(601398/SH)が2.1%安、中国建設銀行(601939/SH)が2.3%安、中国平安保険(601318/SH)が1.2%安で引けた。成長性の高いハイテク関連の一角や医薬関連も安い。電子・通信機器メーカーの航天信息(600271/SH)が2.7%、業界大手の江蘇恒瑞医薬(600276/SH)が4.7%ずつ下落した。消費関連株や不動産株、自動車株、インフラ関連株なども売られている。

空運株もさえない。中国東方航空(600115/SH)が3.1%安、中国国際航空(601111/SH)と中国南方航空(600029/SH)がそろって2.6%安と続落した。空運各社はドル建て債務の比率が高いだけに、人民元安の進行がマイナス材料となっている。中国人民銀行(中央銀行)は朝方、人民元の対米ドル基準値を6日連続で元安ドル高水準に設定。上海外国為替市場では、元レートが約半年ぶりの元安水準で推移している。元安が輸入コスト増につながるとして、紙パルプ株も値下がりした。

半面、石油関連株の物色は続く。中国石油化工(600028/SH)が2.5%高、中国石油天然気(601857/SH)が2.7%高で引けた。原油上昇がプラス。昨夜のWTI原油先物は3.2%高と続伸し、約3年7カ月ぶりの高値を付けた。第5世代(5G)ネットワーク関連の一角もしっかり。通信機器メーカー大手の*ST大唐電信科技(600198/SH)が5.1%高、光ファイバー製造の烽火通信科技(600498/SH)が2.3%高と上昇。また、深セン市場に上場する通信機器メーカーの中興通訊(ZTE:000063/SZ)は6月13日に取引再開して以降、0.5%高と小幅ながらA株相場が初めて反発している。*ST大唐電信科技は28日、同社の親会社が業界大手グループと合併することを発表。業界再編により5Gの商用化が進むと期待された。

一方、外貨建てB株の相場は値下がり。上海B株指数が0.10ポイント(0.04%)安の287.97ポイント、深センB株指数が7.35ポイント(0.70%)安の1040.44ポイントで終了した。


【亜州IR】




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情報提供元: FISCO
記事名:「 28日の中国本土市場概況:上海総合0.9%安で4日続落、金融株が下げ主導