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顧客業種別の売上高は、金融分野が約3.5割、製造分野が2割弱、サービス・流通分野が3.5割、公共分野が1割弱である。同社の強みは、「課題解決力」「洞察力」「統合力」を高めた高付加価値サービスの提供にあり、特にクレジットカード決済のシステム開発・運用で高い実績を有する。大手クレジットカード会社とは強固な関係を構築し、決済や与信などのシステムを幅広く支えている。また、そのノウハウは他クレジットカード会社にも応用されている。サービス・流通分野では電気・ガスなどのエネルギー関連を中心に幅広い業種を顧客とし、バックオフィス系(会計・人事など)のシステムを中心に提供している。
市場環境は、デジタル変革(DX)需要の拡大を背景に成長が続いている。約10年前より、ITの役割はコスト削減から事業強化・成長支援へと変化し、業界平均成長率は上昇した。こうした外部環境と、同社のソリューション力の強化など内的要因を背景に、成長が続いている。
2025年3月期は、売上高571,687百万円(前期比4.1%増)、営業利益69,047百万円(同6.9%増)、当期純利益50,012百万円(同2.3%増)であった。大型開発案件のピークアウトの影響はあったものの、顧客のDXをはじめとするIT投資需要への対応やサービス提供の推進により増収増益となった。
2026年3月期第1四半期は、売上高140,316百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益16,353百万円(同16.3%増)、四半期純利益12,520百万円(同17.2%増)であった。IT投資需要への対応とサービス提供の推進により堅調に推移した。生産性向上施策も奏功し利益率が改善した。受注高はソフトウェア開発を中心に100,352百万円(同9.8%)、受注残高は157,304百万円(同7.7%)と好調に推移している。
2026年3月期通期の業績予想は、売上高582,000百万円(前期比1.8%増)、営業利益73,000百万円(同5.7%増)、経常利益73,000百万円(同3.5%増)、当期純利益49,000百万円(同2.0%減)を見込む。増収により、経常利益段階までは増益を見込んでいるが、当期純利益は、前期に特別損益で36億円のプラスがあった反動で、若干の減益となる見通しである。
同社は2024年に、2032年までの長期経営方針を策定し、第1ステージとして3ヶ年の中期経営計画「Frontiers 2026」を開始した。フロンティア開拓を基本方針とし、市場開拓と事業領域の拡大を起点に付加価値を伴った持続的成長を目指す。最終年度の2027年3月期には、売上高6,200億円、営業利益810億円、ROE16%超を目標として掲げている。主要施策は、サービスのフルバリューチェーン化、成長領域への経営資源集中、高付加価値化、海外事業の加速などである。さらに、知的財産の蓄積や、コンサルタント700名体制の構築を含む人材投資を推進する。これらの成長戦略を支えるため、3年間で累計1,000億円の成長投資を計画し、そのうち700億円をM&Aに割り当て、新技術や顧客基盤拡大を目的とした案件を積極的に模索している。海外戦略は、ASEANを中心に現地企業との連携を通じてビジネス拡大を図り、最終年度の海外売上高は2024年3月期比約3倍となる1,000億円を目指している。
株主還元については、総還元性向50%を基本方針としている。2025年3月期の年間配当金は70円(配当性向32.6%)を実施し、13期連続増配とした。2026年3月期はさらに6円増配の年間76円(同35.0%)を予定している。また、自己株式取得は2025年3月期に64億円実施(総還元性向49.8%)した。2026年3月期は、資本構成の適正化を図ることを目的とした分を含めて420億円(同120.5%)を計画しており、株主還元姿勢を強化している。
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