(3)DXソリューション事業 a) シルバーマーケティング支援 「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーネットワークを活用してアンケート等による定性・定量調査や要介護高齢者へのサンプリング等を行うことで、顧客企業のマーケティングリサーチやプロモーション支援等を展開している。「ケアマネジメント・オンライン」はケアマネジャーの業務支援を目的としたポータルサイトで、介護保険法改正を含む介護に関連する最新情報や、業務に必要なツール・マニュアルなどを提供しており、ケアマネジャー業務に欠かせないツールとして定着している。業務支援ツールのブラッシュアップや外部企業とのタイアップによってコンテンツの質・量を継続的に高めており、2023年10月にはChatGPTを活用した書類作成支援ツールを、2024年5月にはChatGPTを活用した介護報酬改定に対応できる新機能をローンチした。これらの機能はケアマネジャーの業務生産性を向上させることから利用者からの評判が良く、問い合わせも多いという。ChatGPTを活用した新機能のほかにも、ヤマト運輸(株)が提供する「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」との連携(2023年12月)や(株)クラピスの「くらしのパートナー」サービスとの提携(2024年3月)を開始するなど、ケアマネジャーの負担の軽減や業務効率性の向上に貢献している。継続的なコンテンツの拡充によって会員数は順調に増加しており、10万人超のケアマネジャーが会員登録している。今後も、同ポータルサイトの訴求力を高めていくことで、プラットフォームとしての魅力を向上していく。
b) 仕事と介護の両立支援 働きながら介護をする人が増加するなかで、介護が理由で離職・転職する人が増加している。こうした状況下で、同社は企業の福利厚生サービスをパッケージ※にして提供し、仕事と介護の両立を支援している。2025年3月期においても日立グループ5社、伊藤忠人事総務サービス(株)、東京ガスネットワーク(株)、稲畑産業<8098>、日本電算機販売(株)、(株)光アルファクス、大浩ホールディングス(株)、中央日本土地建物(株)など、順調に導入企業数が拡大し、2025年3月期末時点で導入企業数は250社超、会員数は235万人超となっている。企業のESGやSDGsに対する関心が高まるなか、従業員の生活の質や満足度の向上を実現するためにサービス導入を検討する企業が増えていると考えられる。また、厚生労働省は2024年5月に、介護離職の防止などを目的に育児・介護休業法を改正し、2025年4月からすべての企業に対して従業員への仕事と介護の両立支援制度の周知や、労働者への研修など雇用環境の整備を義務付けた。こうした政府方針の下、同サービスに対する顧客からの引き合いが順調に増加しているため、同社では既述の法改正を想定した中小規企業向け「わかるかいごBizライト」のサービスを新たに開始している。
c) メディカルソリューション 製薬メーカーや医療機器メーカー向けに疾患啓発や利用状況などのマーケットデータを提供する、医療用薬品マーケティング支援サービスを展開している。「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーのネットワークを活用し、メディカル領域に特化したケアマネジャー会員向けのWebアンケートや、「ケアマネジメント・オンライン」内で啓発コンテンツの展開等を行っている。同社はメディカルソリューションの事業化によってWebソリューション事業を拡大すべく、2023年3月期から営業活動を強化しており、製薬企業・医療機器メーカー向けのセミナー開催やプロモーション活動に注力してきた。同事業の外部環境の見通しは良好であり、足元の新規受注は順調でさらなる業績寄与が期待される。「医薬品等の品質、有効性及び安全性を確保することなどによって保健衛生の向上を図る(国民の健康を保ち生命を守る)」ことを目的に制定された薬機法において、ネット広告に対する規制が厳しくなっているなか、同社のビジネスモデルは「ケアマネジメント・オンライン」に登録しているケアマネジャーというリアルの資産に対してアプローチできるため、同サービスの相対的な優位性も高まると期待される。また、シルバーマーケティング支援と同様に、バリューチェーンの上流工程から関与することで、単価上昇と収益性の改善に取り組んでいる。