※1 コンテンツデータによるユーザー体験分析ツール。ユーザーが「ページ内のどこのコンテンツに注目しているのか」が分かり、嗜好性を数値化することで、顧客のより詳細な属性を分析する。 ※2 Customer Data Platformの略。複数のデータソースから顧客データを収集・統合管理し、それらのデータ分析によって個々の顧客に適したマーケティングやカスタマーエクスペリエンスを提供するプラットフォーム。 ※3 顧客データの収集・統合・活用をノーコードで可能にするプラットフォーム。データエンジニアの稼働を抑えることでCDP関連の開発コストや運用コストの削減に寄与する。
a) 「UNIVERSE」の概要 「UNIVERSE」は業界や業種ごとに多種多様な消費者の好みや購買プロセスを分析し、そこから得られた知見を活用することによって顧客が抱えるマーケティング課題の解決を支援するサービスである。「UNIVERSE」は同社が開発した2つの独自プラットフォーム「UNIVERSE DATA PLATFORM」「UNIVERSE Ads」により構成される。
「UNIVERSE DATA PLATFORM」には、消費者のライフスタイルの変化を捉えるデータ、消費者の性別・年齢などを推定したデモグラフィックデータなど一般的なデータ群に加えて、業界・業種に特化した大量のデータが蓄積されている。2024年9月期末時点で225を超える外部データ保有企業・メディアから閲覧履歴などのデータを収集・集約しており、これらを分析することによって消費者の複雑な購買行動を分析している。UNCOVER TRUTHの連結化により、同社が保有する企業の顧客データなどの分析・活用が可能となった。これら大量のデータを組み合わせた分析を通じて、消費者の多様な購買・消費行動をより多角的で深度のあるマーケティング支援が可能となる。
「UNIVERSE Ads」は、「UNIVERSE DATA PLATFORM」が導き出したインサイトを活用し、RTB(Real Time Bidding)という広告配信技術を用いて顧客ごとに適切な消費者に向けて広告配信を行うプラットフォームである。中核となるのが、同社のAIによる最適化アルゴリズムである。これは、企業の製品・サービスのカテゴリ、広告の掲載面の品質やコンテンツの内容、配信のタイミング、広告クリエイティブの形式(静止画・動画・ネイティブ広告など)など広告の費用対効果を決定付ける要因を変数として解析し、費用対効果を最大化する設計となっている。これにより、リアルタイムで消費者の特性に応じた広告を最適な価格で配信することが可能となっている。また、複数のSSP(Supply-Side Platform)との接続に対応しており、月間2,000億を超える配信先に対して広告を届けることができる点も、ターゲティング精度の向上に寄与している。
「UNIVERSE DATA PLATFORM」「UNIVERSE Ads」の連携により、顧客の業界業種に応じたマーケティングプロダクトの提供が可能となり、同社は複数の業界に特化したプロダクトを開発し、顧客へサービス提供を行っている。たとえばBtoBマーケティング支援「シラレル」は、企業の特定部門の役職者を推定し直接アプローチできるプロダクトである。人材業界に特化した「MARBLE」は、求職者のWeb行動履歴や関心領域を基に、潜在層へのリーチを可能にしている。飲料・食品業界に特化した「Pantry」は実店舗での購買データを活用し、広告が商品購買に与える影響を可視化できる。自動車業界に特化した「IGNITION」は、消費者の比較検討から購買直前までの段階に応じたアプローチが可能である。エンタメ業界に特化した「Circus」は、作品ジャンルや監督、俳優など消費者の趣味嗜好に基づいたマーケティングを可能にする。美容・化粧品業界に特化した「Vesta」は、美容への関心や購買行動を基に、広告配信から効果測定までを一括で支援する仕組みを備えている。現在の業界特化型プロダクトは19業種に展開しており、特定の企業や業種に大きく依存しない仕組みを構築している。