製粉カテゴリの売上高は106,367百万円(前期比2.9%減)で、売上総利益は同1億円増加した。海外向け小麦粉と外食市場向けパスタの販売が好調であった。海外向け小麦粉については、インバウンド消費から継続する需要への対応である。訪日時に体験した日本式ベーカリーを帰国後も楽しみたいニーズがあり、日本式パンの人気が高まっている。そもそも日本人は異文化と日本文化と融合させ独自の新しいものを作り出すことが得意で、ジャパナイゼーションされたパンの人気はうなずける。日本製の小麦粉で作れば再現性が高いため、品質が安定している同社の海外向け小麦粉販売が増えたと言える。高需要に的確にリーチすることで販売量に加え利益面での寄与も大きい。2025年6月にはパン職人の祭典「ベーカリー・エキスポ・ジャパン」にオフィシャルパートナーとして参加した。メインコンテンツである世界最高レベルの国際ブーランジェコンクールでは、独自の配合と粉砕方法で風味や旨味を引き出した同社の「ble du A(ブレドA)」が使用された。パンの本場フランスからも参戦しており、同社商品の高評価が世界に拡がる絶好のチャンスである。外食市場向けパスタについては、人手不足等社会情勢の影響もあり、コストバリューの高さだけでなく、オペレーション等の課題にも対応できる課題解決型商品が顧客に受け入れられ、販売実績が増えてきた。2024年3月期に外食向けに展開したパスタソリューションでは、顧客ニーズに即して原料と工程を深掘りし、短時間の調理で本物の「美味しさ」を再現する商品を開発した。顧客に寄り沿うソリューションが結実し、2025年3月期に業績寄与が加速したと考えられる。一方、プレミックスの販売量が足元6期で減少している。要因の1つが小売りの総菜売り場向けに推進していたプレミックス天ぷら粉販売の落ち込みで、背景にはコロナ禍を境とした売り場構成の変化がある。対策として、同社中国のグループ会社で冷凍フライ品向け天ぷら粉やミックス粉を製造し、海外で国内向け冷凍総菜を手掛ける企業へ供給している。なお、調理冷凍食品輸入量のうち、2024年の家庭用フライ類については前年比20%以上増加しており、輸入国はタイ、中国、ベトナムが上位を占めることからも収益拡大の機会は大きい。