*12:01JST コニシ Research Memo(1):2025年3月期は全セグメントで増益、売上高・営業利益は過去最高 ■要約

コニシ<4956>は、「ボンド」ブランドで知られる国内トップクラスの接着剤・シーリング材メーカーである。一般家庭用が有名だが、産業用、住宅・建材用、建築・土木用と幅広い製品を揃えており、主たる市場は住宅・建築・土木関連である。

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高135,876百万円(前期比2.2%増)、営業利益10,649百万円(同3.5%増)、経常利益11,194百万円(同3.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,084百万円(同10.1%増)となった。売上高と営業利益は、「収益認識に関する会計基準」(以下、収益認識基準)適用後で過去最高となった。セグメント別では、「ボンド」は主力の住宅向けが低迷したものの建築用シーリング材や自動車、電子・電機向け接着剤が伸長し、また販売価格の改定も行い、増収増益となった。「化成品」は、原材料価格の低下に伴い売上高は減少したが利益幅を確保したことから増益となった。「工事事業」は、公共事業を中心としたインフラ及びストック市場の補修・改修・補強工事が引き続き好調に推移し、工事の進捗も良好であったため、増収増益となった。設備投資の増加に伴い減価償却費は前期比263百万円増加したが、これを吸収して営業増益を達成した。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績予想は、売上高142,000百万円(前期比4.5%増)、営業利益10,670百万円(同0.2%増)、経常利益11,200百万円(同0.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,100百万円(同0.2%増)を見込んでいる。セグメント別では、主力の「ボンド」は、住宅用は弱含みの可能性があるが、市場開拓による販売数量増により増収増益、「化成品」は増収及び経費削減による増益を見込む。「工事事業」は土木関係や補修・改修・補強需要が堅調に推移すると予想されるが、工期の長期化による利益計上時期の遅れによって減益を予想する。設備投資額は、前期比では減少するが依然として高い水準にあり、減価償却費は3,129百万円(前期2,082百万円)と大幅に増加する見込みだ。そのため、営業利益の伸びは小幅に止まっているが、過去最高を目指す方針を打ち出しており、EBITDA(償却前営業利益)は前期比8.1%増を予想している。中期経営計画に沿って事業内容は順調に拡大している。

3. 中期経営計画:2027年3月期に売上高1,500億円、営業利益115億円を目指す
同社は、2024年5月に、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表した。最終年度における定量的な目標値として、売上高1,500億円、営業利益115億円、EBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却費)145億円、ROE9.0%を設定した。この間の設備投資額(3期累計)は、事業拡大・効率化を目的とした成長投資を中心に150億円を計画しており、さらに株主還元も120億円(自己株式取得50億円、配当70億円、3期累計)を行う予定だ。今後、これらの計画・目標がどのように進捗するか、定量的な目標の達成だけでなく、定性的にも同社がどのように成長するかを注目したい。少なくとも終了した2025年3月期及び進行中の2026年3月期の内容は、この計画に沿って順調に進捗している。

■Key Points
・国内最大級の接着剤・シーリング材メーカー。販売先は産業用、住宅・建材用、建築・土木用と幅広い
・2025年3月期は前期比3.5%の営業増益で過去最高を更新、2026年3月期は0.2%増予想だが、EBITDAは8.1%増の見込み
・中期経営計画を発表済み:2027年3月期売上高1,500億円、営業利益115億円を計画

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 コニシ Research Memo(1):2025年3月期は全セグメントで増益、売上高・営業利益は過去最高