*16:15JST 藤商事 Research Memo(5):業界全体が緩やかな縮小傾向を辿るなか、スマート遊技機の開発力が成長のカギ(2) ■藤商事<6257>の今後の見通し

(2) スマート遊技機(スマートパチンコ/スマートパチスロ)について
スマート遊技機と従来の遊技機との大きな違いは、スマパチについては玉が封入され循環式となったこと、スマスロはメダルレスとなったことが挙げられる。ともに遊技に必要な玉やメダルの貸出がなく、電子情報を元に遊技ができるため、感染防止対策になるほかプレイがしやすく不正防止対策にもなるなどメリットが多い。ホール運営側は初期導入コストが掛かるものの、出玉やメダルの持ち運び、計数管理など店舗スタッフの業務が減少することで人件費の抑制につながる。また玉やメダルの補給装置が不要となるため省スペース化が図れるほか、店舗レイアウトも自由度が増すといったメリットがある。メーカー側にとっては、スマート遊技機で魅力的な新機種を開発しシェアを拡大できる好機となる。

なお、スマート遊技機導入の目的の1つとして、業界の健全化が挙げられる。各遊技機の出玉情報等を新たに設置された第三者機関「遊技機情報センター」で一元管理することで、のめり込み対策や不正防止対策を行う体制を構築している。業界の健全化が進めば、客層の広がりが期待できる。当初は2~4年で大半がスマート遊技機に置き換わると想定していたが、パチンコホール事業者の経営状況が厳しく投資余力が限られるなかで、当初の想定よりも緩やかなペースで導入が進んでいる。

(3) 市場シェアの動向
同社では商品戦略として、ユーザーを年齢層別に分け、各ターゲットに合わせてジャンルを強化している。また、主力タイトルの開発・育成によりラインナップを拡充し、パチンコ・パチスロ遊技機の双方で販売シェア拡大を図る方針だ。特に、最近は「とある魔術の禁書目録」のように若者世代を中心に人気のある「アニメ」ジャンルのIPを活用した新機種の開発に注力し成果に結び付けており、今後もこうした戦略を継続していくと思われる。

同社の販売シェアは人気機種の販売時期によって変動があるものの、パチンコ遊技機は年間4~5機種のペースでメインスペックの新機種の投入に加えて、シリーズ機種の追加スペックを投入しており、ここ数年は7%前後の水準で安定して推移している(2024年3月期は7.0%)。2021年3月期以降は「とある」シリーズが高い人気を継続しており、「アニメ」ジャンルでの主力機種としてブランドを確立したと言える。従来得意としてきた「ホラー」や「萌え」に加えて、主に若者世代をターゲットとした「アニメ」ジャンルのラインナップを今後も強化することで、販売シェア10%以上を目指す考えだ。

一方、パチスロ遊技機はパチンコ遊技機で販売実績のあるタイトルを中心に年間2~3機種のペースで新機種を投入することを基本方針としている。2023年3月期以降は「アニメ」ジャンルを中心に投入し、一定の稼働実績を残すなどシェア拡大に向けた体制が整いつつある。特に、2023年3月に発売した「Lゴブリンスレイヤー」がヒットしたことで、パチンコホールからの評価も高まったようだ。こうしたことから、同社は開発ラインを増強し2026年3月期以降は3タイトル以上のタイトルを安定して投入する方針で、現在3%台に留まっている販売シェアを5%以上に引き上げていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 藤商事 Research Memo(5):業界全体が緩やかな縮小傾向を辿るなか、スマート遊技機の開発力が成長のカギ(2)