*15:41JST ウェーブロックHD Research Memo(11):アドバンストテクノロジー事業で売上高100億円を目指す ■ウェーブロックホールディングス<7940>の今後の見通し

3. 事業セグメント別成長戦略
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアル事業では、収益基盤の強化施策として生産性向上を目的とした生産体制の再構築(RP東プラとの協業含む)や、流通チャネルの最適化(樹脂加工品のECサイトを運営する(株)チームライクとの協業等)による販売効率の向上に加えて、競合優位性があり差別化が可能な製品・サービスを育成することによって、原材料価格の動向に左右されにくい強固な事業基盤の構築を目指している。不採算品目の削減については価格改定により2024年3月期で目途を付け、今後はアライアンス戦略なども推進しながら、早期に目標に近づけていく考えだ。

一方、新規分野としては環境関連ビジネス(地中熱ビジネス、環境対応製品)の育成と海外市場の開拓を進める。海外市場の開拓については、新型コロナウイルス感染症拡大での渡航制限があったため遅れていたが、今後はRP東プラとの協業も含めた展開が期待される。同社はアジア各国に日本製の付加価値の高い農業用資材を販売することを目指している。

(2) アドバンストテクノロジー事業
アドバンストテクノロジー事業では、注力製品である金属調加飾フィルムで技術的競合優位性を確保するための開発投資を継続しつつ、多様な顧客ニーズに対する提案力の強化と小ロット多品種生産でも収益力を維持・向上していくための設備投資・人材投資に取り組んできた。販売戦略としては、米、欧州の販売拠点の体制強化を図り、生産体制についても米系顧客からの要請で2023年春から米国現地生産を開始するなど、順調に進んでいるものと評価される。

金属調加飾フィルムは、電波透過性並びに光透過性、意匠性の高さに加えて、環境にも優しいという長所がある。自動車業界ではCO2排出規制や環境規制などを背景に、EV車の普及だけでなく環境負荷の高いメッキ加工品の代替として金属調加飾フィルムの採用がエンブレムやリアスキッドプレートなどの外装品に徐々に広がっており、同社にとって受注拡大の好機となっている。積極投資に伴う減価償却負担はあるものの、短中期的には利益ベースでも成長軌道に乗るものと期待される。また、高透明多層フィルムについても自動車のCID向けだけでなく、HUDの搭載車種増加による成長期待は大きい。これら製品の成長によって同事業の売上高は2023年3月期実績の45億円から数年後には100億円規模に成長しているものと弊社では予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 ウェーブロックHD Research Memo(11):アドバンストテクノロジー事業で売上高100億円を目指す