*12:01JST インテリックス Research Memo(1):2024年5月期は収益基盤の再構築を実施 ■要約

インテリックス<8940>は中古マンションをリノベーション(再生)してから販売するリノベーションマンション事業の先駆け的企業で累計販売戸数は2.6万戸超と業界最大手である。2016年5月期以降は、アセットシェアリング事業(不動産小口化販売)やリースバック事業を立ち上げるなど収益ポートフォリオの多様化と安定化に取り組み、2021年から省エネリノベーション「ECOCUBE(以下、エコキューブ)」の販売を開始するなど、脱炭素社会に貢献しながら成長を目指す戦略を打ち出している。

1. 2023年5月期の業績概要
2023年5月期の連結業績は売上高で前期比14.1%増の41,236百万円、経常利益で同47.9%減の710百万円と増収減益となった。リノヴェックスマンションの販売件数や平均販売価格が前期を上回ったことで2ケタ増収となったものの、工事費用の上昇や長期滞留物件の処分を進めたことで売上総利益率が低下し、また「エコキューブ」のプロモーション費用を中心に先行投資費用が嵩んだことも減益要因となった。なお、「エコキューブ」の販売件数は150件(リノヴェックスマンション全体では1,152件)と全体の13%を占めたが、省エネ効果や環境、健康面でも優しいという付加価値部分が顧客に十分に浸透するまでには至らず、当初目標の500件には届かなかった。このため、同社は割高感を払しょくした新商品「エコキューブL(エル)※」を2024年5月期より投入し、普及を加速していく計画となっている。

※省エネ計算を行い、断熱材施工に加えて内窓、高機能換気システム、高効率エアコンを装備した「エコキューブ」に対して、「エコキューブL」は新耐震基準で50平方メートル以上の物件を対象に、省エネ計算を行い内窓等により断熱効果を高めた商品。断熱材施工を省略することで、施工期間が短縮化され、追加の内装コストを抑えることが可能となった。


2. 2024年5月期の業績見通し
2024年5月期の連結業績は売上高で前期比17.7%増の48,543百万円、経常利益で同52.3%増の364百万円と増収増益を見込んでいる。リノヴェックスマンション事業の再構築と先行投資事業の拡充を推進し、「効率性」と「収益性」の向上を図ることで収益回復を図っていく。上期はリノヴェックスマンションの在庫適正化に取り組むため143百万円の経常損失となるが、下期は売上総利益率の回復により増益に転じる見通しだ。リノヴェックスマンションの販売高は前期比16.2%増の343億円、販売件数で同8.5%増の1,250件(うち、「エコキューブ」は400件)を目指す。中古マンション業界全体は販売価格の上昇と在庫の積み上がりにより、2024年5月期は厳しい環境となりそうだが、在庫の早期適正化と仕入から販売までの事業期間短縮に取り組むことで収益力の早期回復を図る。また、ソリューション事業は1棟もの収益物件の販売(40億円)だけでなく、リースバック物件の流動化(19億円)や「アセットシェアリング」シリーズの販売(20億円)により増収増益となる見通しだ。

3. 成長戦略
同社は、不動産市場の先行き不透明感が強まっていることや足元の収益状況を鑑みて、2023年5月期からスタートした3ヶ年の中期経営計画の見直しを発表した。基本方針である「循環型リノベーションモデル」の推進については変わりないものの、業績数値目標は2024年5月期の実績を踏まえて再度計画を策定することにした。脱炭素社会の実現に向けて中古マンションも省エネリノベーションの需要が拡大していくものと見られ、「エコキューブ」を戦略商品としてシェア拡大による成長を目指す。なお、株式の市場区分について現在のプライム市場からスタンダード市場を選択する申請を行ったことを発表している(移行日は2023年10月20日)。

■Key Points
・2023年5月期のリノヴェックスマンションは販売、仕入件数ともに前期比で若干増加
・2024年5月期は上期で在庫調整を完了し、下期からの利益回復を目指す
・「既存主軸事業の再構築」と「先行投資事業の拡充」の両利きの経営を推進
・脱炭素化社会に向け需要拡大が見込まれる省エネリノベーションマンションで先行し、中長期的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 インテリックス Research Memo(1):2024年5月期は収益基盤の再構築を実施