■フォーバル<8275>の中長期の成長戦略

1. DX推進の成功のカギは人材の確保
政府は「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)」において、日本の未来を拓く4つの原動力として、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策を掲げている。特にデジタルに関してはデジタル庁の創設などをはじめとして取り組みにより、DXの機運は高まっている。一方で、DX推進人材の不足は顕著になっている。

同社では、これまで“中小・小規模企業向けのDXアドバイザーの第一人者”として、アイコンサービスをはじめIT人材教育など多面的な活動を行ってきた。しかし、アイコンサービスの契約先は4万社強であり、全国300万社以上の中小・小規模企業のDX化には、より大きな組織が必要となる。また、IT人材だけでも全国で数十万人不足していると言われており、同社とOEM企業だけでは、マンパワー不足である。“GDXアドバイザー”構想は、産学官の協力により全国でDXとGXに詳しい人材を育て、マッチングした中小・小規模企業を支援する仕組みである。当面は全国で向こう3年間に1万人のGDXアドバイザーを選定・育成する目論見である。

2. 大学と連携したDX人材の育成スキームを開始
同社では、産官学の連携により全国に伴走型の支援ができるGDXアドバイザーの育成に取り組んでいる。複数の大学との連携が既に始まっており、2022年6月に電子学園、2022年8月に札幌大谷大学社会学部地域社会学科とそれぞれ連携協定を締結した。学生に向けたDX/GDXの理解促進、DXに関するプログラム(インターンシップを含む)の策定、DXアドバイザー資格の講習実施、DX人材の輩出を目的としている。これまで長きにわたり、デジタル化推進人材の育成・輩出を行ってきた経験を育成プログラムづくりに生かす。また、中小・小規模企業とDXを学んだ学生との橋渡し(就業支援)も、将来的に行いたい考えだ。

3. DX人材が不足する地方の中小・小規模企業DXの支援を加速
GDXアドバイザーによる活動はDX人材の不足する地方から実践が始まり、実績が積み重なってきた。2022年4月以降のプレスリリース事例だけでも、長崎県西海市、鹿児島県さつま町、愛媛県、福岡市、札幌市など多数の自治体との協業実績が挙げられる。同社の役割としては、生産性向上を目指したDXの研修、DX化専門家によるオーダーメイド型の伴走支援、DXやAI・IoT等の先端技術の体験の場の運営、相談業務や相談内容に応じたIT企業とのマッチング、メディア等を用いたDX普及・啓発活動(Webサイト・SNSの運用)など支援業務の幅も広がっている。

成果も伴ってきており、2年目に入る自治体との取り組みも出てきた。特に同社の差別性として、伴走型支援により現場で成果を出せる点、人材育成や組織づくりまで落とし込める点などがあり、高く評価されている。同社では、よりアドバイザー人材が不足する地方で成功モデルを作り、GDX人材の育成と中小・小規模企業とのマッチングを全国的に普及させる構想である。

4. AI会計システム「eco会計クラウド」をリリース
同社は2022年8月に、「eco会計クラウド」をリリースした。 「eco会計クラウド」は、現役税理士の小野弘明氏の開発により生まれた自動仕訳の特許技術(特許第4783200号)を用いた、電子帳簿保存法に簡単に対応できるAI会計システムである。2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、電子取引で受領した取引関係書類は、電子データとしての保存が義務付けられるようになった。罰則規定があるため、2023年12月までにすべての事業者が保存方法を遵守する必要がある。「eco会計クラウド」は、企業が既存の会計ソフトを取り替えず証憑登録(電子帳簿保存法対応)だけでも利用可能な点で利便性が高い。独自のスキャン機能及び仕分け機能により、作業量の劇的な削減(同社調べでは3分の1程度の作業量)を実現している点も注目に値する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 フォーバル Research Memo(6):DX人材が不足する地方での中小・小規模企業DX支援を加速