■業績動向

1. 2021年12月期の連結業績概要
ブロードリーフ<3673>の2021年12月期連結業績は、売上収益が20,652百万円(前期比2.4%減)、営業利益が3,395百万円(同17.9%減)、税引前利益が3,233百万円(同15.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益が2,173百万円(同11.9%減)となった。また、2021年12月期末時点でのユーザー数は38,006社(前期末比606社増)と増加傾向にあり、事業実態は好調に推移した。

クラウドソフトウェア「.cシリーズ」への移行をスムーズに行うために、従来ソフトウェア「.NSシリーズ」の契約満了前での更新販売を抑制したこと、一部ユーザーを対象に複数年一括契約から月額サブスクリプション契約への移行を推進したことが減収の主な要因となる。新たなクラウドソフトウェア「.cシリーズ」は2021年10月にリリースし、2022年から本格提供を開始する。売上高の増減要因を分析すると、機器類販売が316百万円減(うち携帯ショップ向け大口案件の反動減が243百万円)、サプライ品が65百万円増、従来ソフトの追加販売・単価アップで756百万円増、月額売上の増加で638百万円増(うちSaaS売上が166百万円増)、自動車系ソフトのサブスクリプション化進捗で1,654百万円減となった。なお、仮にサブスクリプション化を推進せず、複数年リースでの提供を続けていた場合、売上収益は22,140百万円(前期比978百万円増)であったと同社では試算していることから、2021年12月期の減収は想定内であったと言える。

売上区分別では「プラットフォーム」の売上収益が11,479百万円(前期比7.4%増)となった。また、中分類では、SaaSが858百万円(同24.0%増)、PaaS/IaaS(基本)が7,830百万円(同3.6%増)、EDI・決済が702百万円(同1.4%増)、サポートが1,866百万円(同16.9%増)、その他(DX)が222百万円(同41.6%増)となった。SaaSの増加は月額サブスクリプション契約のユーザー数増加による。PaaS/SaaS(基本)では、サブスクリプション化の進展により一括の売上収益は496百万円減少したが、自動車系従来ソフトの追加販売等により579百万円増加、ライセンス総数の増加により192百万円増加した。EDI・決済は、受発注プラットフォームのユーザー数増により21百万円増加した。サポートでは、月額保守サービス契約率の上昇により205百万円増加、サプライ品の販売増により65百万円増加した。

「アプリケーション」の売上収益は9,173百万円(前期比12.4%減)となったが、中分類では、業種別が7,868百万円(同11.3%減)、OTRSが223百万円(同9.6%増)、機器類が1,082百万円(同22.6%減)となった。業種別では、サブスクリプション化の進展により1,158百万円減、自動車系従来ソフトの追加等により330百万円増、非自動車系従来ソフトの販売減により172百万円減となった。OTRSは製造業の需要が回復した。機器類は、2020年12月期の携帯ショップ向け大口案件の反動減243百万円により減収となった。

2. 財務状況
2021年12月期末の財務状況について、流動資産は8,405百万円(前期末比653百万円増)となった。主に現金及び現金同等物の増加290百万円、営業債権及びその他の債権の増加496百万円、棚卸資産の減少148百万円などによる。非流動資産は、26,071百万円(同1,550百万円増)となったが、主に有形固定資産の減少549百万円、開発に伴うソフトウェア資産の増加による無形資産の増加2,123百万円などによる。その結果、資産合計は同2,202百万円増の34,476百万円となった。

負債の部では、営業債務及びその他の債務が29百万円増加、契約負債が258百万円減少、短期有利子負債が1,732百万円増加、長期有利子負債が450百万円減少したことなどから、負債合計は前期末比690百万円増加し8,362百万円となった。資本の部では、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより、資本合計は同1,512百万円増加し26,114百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ブロドリーフ Research Memo(3):月額サブスクリプションへの移行開始により減収減益となるも、想定内