■業績動向

(2) 財務状況
萩原電気ホールディングス<7467>の2022年3月期第2四半期末の財務状況は、流動資産は68,291百万円(前期末比537百万円増)となったが、主に現金及び預金の減少368百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(電子記録債権を含む)の減少6,053百万円、たな卸資産の増加5,590百万円などによる。固定資産は5,521百万円(同66百万円減)となったが、主に有形固定資産の減少3百万円、投資その他の資産の減少46百万円による。この結果、2022年3月期第2四半期末の資産合計は73,813百万円(同471百万円増)となった。

一方で、負債合計は35,968百万円(前期末比321百万円減)となったが、これは主に流動負債のうち、支払手形及び買掛金(電子記録債権を含む)の減少1,981百万円、短期借入金等の増加710百万円、固定負債のうち、長期借入金の増加375百万円などによる。純資産合計は37,845百万円(同792百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加676百万円などによる。この結果、2022年3月期第2四半期末の自己資本比率は48.4%(前期末は47.7%)となった。

(3) キャッシュ・フローの状況
2022年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,107百万円の支出となった。主な収入科目は、税金等調整前四半期純利益の計上1,795百万円、減価償却費137百万円、売上債権の減少6,149百万円など。主な支出科目は、たな卸資産の増加5,589百万円、仕入債務の減少1,980百万円などとなっている。

投資活動によるキャッシュ・フローは、特に大きな投資等がなかったことから28百万円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは567百万円の収入だったが、主な収入科目は長短借入金の増加(ネット)1,084百万円、主な支出科目は配当金の支払額442百万円などとなっている。この結果、現金及び現金同等物は368百万円の減少となり、2022年3月期第2四半期末残高は9,345百万円となった。

2. 2022年3月期第2四半期のセグメント別状況
(1) デバイス事業
売上高は61,138百万円(前年同期比41.2%増)、営業利益は1,188百万円(同29.6%増)、営業利益率は1.9%(前年同期は2.1%)となった※。

※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、売上高は61,150百万円、営業利益は1,189百万円となる。


得意先の自動車生産台数が大きく回復したことにより売上高は大幅な増収となり、それに伴い営業利益も回復したが、営業利益率は若干低下した。これは主に、液晶関連など新商材の拡販に注力していることによる。これらの新商材は競争も激しく経費もかかることから、従来品に比べて利益率が低くなるためだ。同社の方針としては、従来品を伸ばすと同時に新商材にも注力することから利益率自体は低下するものの、セグメント利益の増加を目指すとしている。また、引き続き人材を中心とした投資を継続していることも、利益率低下の要因となっている。なお同社では、「増収増益にはなったが、一時的な自動車生産停止の影響を受けており、これがなければ売上高・営業利益ともにさらに増加しただろう」としている。

a) デバイス事業:得意先別売上高
デバイス事業における得意先別売上高では、デンソー向け35,773百万円(前年同期比23.8%増)、東海理化<6995>向け1,960百万円(同12.9%増)、トヨタ自動車向け930百万円(同16.1%減)、その他8,841百万円(同111.8%増)、海外拠点得意先13,632百万円(同85.1%増)となった。

その他及び海外拠点得意先が大きく増加した要因はデンソーグループ内での商流変更に伴うもので、トヨタ自動車向けが減少したのも同様の理由((トヨタ自動車の広瀬工場向けがデンソーの広瀬製作所に振り替わったため)による。また、その他の中では特にデンソーテン向けが好調であった。

b) デバイス事業:地域別売上高
デバイス事業における地域別売上高は、日本47,505百万円(構成比77.7%、前年同期比32.2%増)、アジア5,701百万円(同9.3%、同115.3%増)、アメリカ6,454百万円(同10.6%、同57.0%増)、欧州1,476百万円(同2.4%、同143.9%増)となった。すべての地域で増収となったが、アジアでは、比較的中国向けが堅調であった。また、アメリカでは、同社製品が採用されている車種の販売が比較的堅調であったことから売上増となった。欧州は売上規模が小さいことから、担当する顧客の状況によって売上高は変動する。この結果、海外売上高は13,632百万円(同22.3%、同85.1%増)となった。

(2) ソリューション事業
売上高は10,466百万円(前年同期比9.9%増)、営業利益は566百万円(同22.2%増)、営業利益率は5.4%(前年同期は4.9%)となった※。コロナ禍の影響からの回復により主要顧客企業で生産が回復基調となり、設備投資や情報化投資を取り込んだことで増収増益となった。事業別売上高では、IT、組込、計測のすべてで増収となったほか、営業利益率もほぼ2020年3月期第2四半期の水準(5.5%)まで回復した。

※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、売上高は10,928百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益は598百万円となる。


a) ソリューション事業:事業別売上高
ソリューション事業における事業別売上高は、ITが3,336百万円(構成比31.9%、前年同期比3.4%増)、組込が5,406百万円(同51.7%、同13.8%増)、計測が1,722百万円(同16.5%、同11.9%増)となった※。組込、計測が大きく伸びた。

※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、事業別売上高はITで3,558百万円(前年同期比10.3%増)、組込で5,586百万円(同17.6%増)、計測で1,783百万円(同15.8%増)となる。


特にITで「収益認識に関する会計基準」変更の影響を受け、この影響を除いた場合は前年同期比10.3%増収となる。組込では、工作機械向け等の回復に加え、各種搬送機器などのマテリアルハンドリング向けが引き続き堅調であったことから2ケタ増収となった。計測は、数年前からデザインインとして継続している長期案件(主にデンソー向け)が引き続き継続していることもあり増収となった。

b) ソリューション事業:業種別売上高
ソリューション事業における業種別売上高では、自動車が3,234百万円(構成比30.9%、前年同期比2.3%増)、FA・産業機器が4,850百万円(同46.3%、同18.2%増)、その他が2,381百万円(同22.8%、同5.6%増)となった※。

※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、業種別売上高は自動車で3,549百万円(前年同期比12.2%増)、FA・産業機器で4,931百万円(同20.2%増)、その他で2,447百万円(同8.5%増)となる。


自動車は主にデンソー向けとなる。FA・産業機器は、工作機械向けの回復に加えマテリアルハンドリング機器メーカー向けの組込関連の製品が好調に推移した。その他はリース案件等を中心に底堅く推移した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 萩原電気HD Research Memo(5):財務基盤は安定、手元の現金及び預金は93億円と豊富