■要約

1. 総合保証サービス会社で、保証事業とソリューション事業を展開
イントラスト<7191>は、東証1部上場の総合保証サービス会社で、家賃債務保証を中心に、介護費用保証、医療費用保証、養育費保証など、連帯保証人の代替としての保証事業を幅広く展開する。また、家賃債務保証で培ったノウハウで、独自の業務支援サービスを提供するソリューション事業にも注力している。社会に有益な商材を提供する総合保証サービスを展開し、大手の不動産管理会社との取引が多く、社員1人当たり利益が高いなどの点で、同業他社と一線を画している。2016年12月に東証マザーズに上場、2017年12月には早くも東証1部に昇格している。

2. 2021年3月期第3四半期決算は、コロナ禍のなか、7期連続の増益を確保
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けつつも、2021年3月期第3四半期累計期間の売上高は3,061百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益は841百万円(同12.0%増)と大幅増収増益を達成した。売上高の内訳は、保証事業が1,672百万円(同28.1%増)、ソリューション事業が1,388百万円(同6.4%増)であった。コロナ禍の影響により、新規顧客開拓の一部に遅れが生じたものの、2020年4月に発出された緊急事態宣言以前の営業が奏功して医療費用保証が大幅に進展したことや、主力の家賃債務保証の新規契約数が増加したことから、保証事業が大きく伸びた。また、営業利益段階では、基幹システムの入れ替えや養育費保証の市場開拓への投資は計画通り進める一方で、その他の費用増加を抑制した。高い自己資本比率(73.8%)と無借金経営で強固な財務体質を誇り、収益性も業界平均を大きく上回っている。

3. 2021年3月期も大幅増収増益で、5期連続の増配を計画
2021年3月期業績予想については、2020年10月に発表した修正予想通り、売上高4,250百万円(前期比17.2%増)、営業利益1,166百万円(同14.1%増)と、大幅な増収増益を計画する。売上高は、保証事業では、医療費用保証や家賃債務保証が順調に推移している。一方、ソリューション事業については、コロナ禍の影響により新規顧客の開拓の遅れが響いている。損益面では、貸倒費用が抑制されたことや、リモートワークの推進に伴い人件費、通信費等が抑制されたことで、期初予想を上方修正している。ただ、同社は例年、慎重な業績予想を発表していることから、修正予想を上回って着地する可能性もあると見られる。業績が順調であることから、中間配当を5.5円に増額修正し、期末配当の5.0円と合わせ、年間10.5円と5期連続の増配を計画し、配当性向は同社の目指す30%に近づく見通しだ。

4. 中期経営計画では、重点戦略を着実に実現
同社は、中期経営計画「Zero to One」(2019年3月期-2021年3月期)を推進中であり、主力事業の家賃債務保証の成長、独自の推進ドライバーであるソリューションサービスの拡大、新市場として医療費用保証・介護費用保証の育成、次世代市場創出を目指した保証ビジネスの多業種展開などを重点戦略として掲げている。また、計数目標として、売上高5,000百万円、営業利益1,250百万円、営業利益率25%を目指している。コロナ禍の影響もあり、計数目標にはやや届かない可能性もあるが、重点戦略は順調に進捗しているようだ。2021年3月期決算発表時には、次期中期経営計画を発表する予定である。引き続き、家賃債務保証の安定成長持続、医療費用保証・介護費用保証を次の柱に育成、養育費保証の市場創設などが重点戦略として盛り込まれる見通しであり、発表内容に注目したい。

■Key Points
・総合保証サービス会社で、保証事業とソリューション事業を展開。大手管理会社との取引が多く、同業他社に比べ収益性が高い。
・2021年3月期第3四半期決算は、コロナ禍のなか、医療費用保証と家賃債務保証が牽引して大幅増収増益を確保。自己資本比率が上昇し、高い健全性を維持。
・第2四半期決算時に、2021年3月期業績予想を上方修正、大幅な増収増益を見込む。5期連続の増配を計画し、配当性向は目標の30%に近づく。
・中期経営計画(2019年3月期-2021年3月期)では、計数目標はやや未達の見通しながら、重点戦略を着実に実現。次期中期経営計画に注目。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 イントラスト Research Memo(1):総合保証サービス会社として、新たなビジネス創出のパイオニアを目指す